3.2 The Rules Have Changed – あのエマーソンプロジェクト 3 の続編がリリース

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3.2 The Rules Have Changed

Twitter はあまりに勢いよくタイムラインが流れていくので、気がついた時に読むくらい。が、たまに自分にとって重大なニュースが流れて、目が釘付けになるツイートがあるもんだ。その日はこのツイートがそうだった。

3(スリー)というバンドについて

ELP ことエマーソン・レイク・アンド・パーマーが解散した後、1980年代に入ってカール・パーマーが参加したエイジア(ASIA)、イエスやジェネシスなど、ブリティッシュプログレッシブグループがポップス&ロックフォーマットを使って全米チャートに食い込んでいた。エマーソンもエマーソン・レイク・アンド・パウエル(1986年)でバンドを復活させるも空中分解。Emerson Lake and Powell ツアー後の 1988年に結成したのが「3(スリー)」である。

キース・エマーソン、カール・パーマー、そしてロバート・ベリー(Robert Berry)により結成された。当初はグレッグ・レイクをメンバーとしたオリジナルトリオ再結成という流れだったのだが、グレッグが離脱、この 3(Emerson, Berry & Palmer)が誕生、アルバム To the Power of Three をリリースした。

3(Emerson, Berry & Palmer)

当時のキースのインタビューでも「商業的なポップフォーマットを使っている」「一度売れてしまえば、後は好きなことができる」と発言しているだけあって、エイジアのようなクラシックをフィーチャーしたロック路線の非常に聴きやすいアルバムだ。さほど売れなかったし、本人も本意ではなかったのだろうこのアルバムだが、実は名曲揃いだ。

このアルバムはリアルタイムで聴いてたけど、まだレコードで発売されていた頃。A面に針を落とした 1曲目の Talkin’ Bout、のっけから「僕たちエイジアの路線を狙ってみましたー!」というイントロからはじまり、きちんと 4分で終わる楽曲でスタート。ELPファンなら聴き始めた時は「マジかよ」と思うのだが、途中の間奏のエマーソン節を聴いてなんとか納得する、といった感じでアルバムは幕を開ける。ELP を彷彿させない聴きやすい曲が満載で、女性コーラスが入ったり、カバーがあったり、オーケストラヒットが使われていたりと、彼らなりに頑張ってる感じが健気だ。

でも、Desde la Vida という気合いの入った組曲(たったの7分だけど)も収録されているし、ラストの On My Way Home の最初のピアノはとにかく切なくて美しい。シンプルでかつ高度な構成のピアノイントロは、「あー、エマーソンはソングライティングも凄いんだなぁ」と思わせることうけあい。僕の親友は「自分の葬式の時はこの曲をやってくれ」と言っていたのを思い出す。

ELP が3人の個性による「バンド」であったのに対し、3(Emerson, Berry & Palmer)はエマーソンプロジェクトとしての色が非常に強い。幻魔大戦のサウンドトラック より聴きやすく、当時の最新デジタル楽器によってレコーディングされたこのアルバムはエマーソンファン、特に実際にキーボードを弾いていたファンには人気が高いアルバムだと思う。

3.2 The Rules Have Changed

前置きが長くなったが、この 3(Emerson, Berry & Palmer)のロバート・ベリーがリリースするのが 3.2 / The Rules Have Changed だ。カールは参加していないけど、キースとの未発表楽曲素材を中心に「キース・エマーソンが憑依した感じ」で作ったアルバムだ。リリース予定日は 2018年8月10日、ソングリストは以下の通り。

  1. One by One
  2. Powerful Man
  3. The Rules Have Changed
  4. Our Bond
  5. What You’re Dreaming Now
  6. Somebody’s Watching
  7. This Letter
  8. Your Mark on the World

キースと僕は新しいアルバムがどのようになるかビジョンをまとめたんだ。3(スリー)が世に出てから30年になるけど、キースが僕のためにセッションをしてくれたり、または電話で話したりということが何度もあってね。この新しいアルバムは 1988年から過去に書いた 3曲、キースが最後に書いたいくつかの新曲、そしてキースが亡くなった後に僕が一人で書いた曲で構成されているんだ。

作曲している時、レコーディングしている時、その曲を演奏している時に、僕はひとつのことを心に思い浮かべていた。このフレーズ、キースだったらどうするかな、って。そのことが僕を突き動かし導いてくれた。僕の創造性を費やしたよ。僕にとって、このアルバムのためにその僕たちのビジョンを実現することはとても大切だった。僕はキースが僕を通して作り上げたと信じている。僕がソロを演奏した時、特に彼を感じたよ。僕たちが一緒に取り組んだ曲だけど、ソロはレコーディングで即興で演奏していたから。ソロでは彼のフレアを聴くことができると思う。ソロは僕がプレイしてるけど、同時に彼によってプレイされているんだ。僕はキースのようなプレイヤーに近づけたとは決して言わない。だけど、サウンドや僕の演奏には彼のスピリットを感じてもらえると信じている。僕はこのアルバムをとても誇りに思う。なんとか彼も誇りに思ってくれていると考えたいんだけど。

“Keith and I developed together a vision of what the new album would be like, explains Berry. “There were many times over the past 30 years since 3 had come out that Keith either played on a session for me or we just talked on the phone. The new album consists of some past 3 writing from 1988, some newly written last efforts from Keith, and some songs written exclusively by me after Keith’s death. “

“Every second I worked on writing, recording, and performing those songs I had one thing on my mind,” says Berry. “The phrase… ‘What would Keith do’…drove me, it guided me, it consumed my creativity. It was so important to me to fulfill our vision for this album. I believe Keith worked through me. I especially felt him with me when I did the solos. The songs we had worked on together but the solos were to be improvised while recording. You will hear his flare coming through on the solos. The solos are played by me, but, at the same time, also by him. I would never say I was even close to being the player Keith was. But I believe you can hear his spirit in the sound and in my playing. I am so proud of this album. I can’t help but think somehow he is proud of the results too.”

数曲は少なくとも作曲者が Robert Berry & Keith Emerson とクレジットされているが、彼の言葉通り、キースとのアイデアパーツをもとに、エマーソンに捧げる個人的なトリビュート、という感じのようだ。既に予約は始まっていて、iTunes で予約すると 1曲先行してゲットできる。

3.2 The Rules Have Changed

3 のツアー最中にベリーがツアーバスの置き去りになる事件があったんだけど、迎えにいった時のベリーの不安そうな顔をみて爆笑していたキース。30年前にそんな仕打ちを受けてもトリビュートが出るんだから、良かったなと思うよ、ほんと。

コメント

  1. 波形研究所 所長 takefumi より:

    ツイッター元ネタのいーえるP@TinySymphony こと、@ELPTinySymphony さんから追加の情報。
    Robert Berry の facebook
    https://www.facebook.com/robert.berry.9822

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