べリンガーもクローン新製品を発表、Roland SH-101 の個性を紐解く

RECORDING

Roland SH-101 のクローン、BEHRINGER MS-101-RD が発売された。ベリンガーのレジェンダリーなシンセをクローンとして復活させる「クローン戦争」の次なる刺客。


7/31 から国内販売が開始されるとのことです。

MS-101-RD

BEHRINGER MS-101-RD

価格は Sweetwater で希望小売価格 $494.99、店頭価格 $329.99 で販売している。

この MS-101 のベースとなっているのは、Roland SH-101 だ。今回はこの Roland SH-101 を深堀りしてみたい。

Roland SH-101 の想い出

SH-101 は 1982年に発売されたローランドのシンセサイザーだ。中学生時代にシンセサイザー見たさに横浜のヤマハに通ってたのだが、そこで華々しく飾っていたのがこの Roland SH-101 だった。グレーのモデルの他、ブルーやレッドのモデルがあり、「ぶらさげて弾けるショルダーキーボード」ルックスが最高だった。

Roland SH-101

当初は「このシンセサイザーを自分の1台目にしよう」と心に決めていた。

が、実際に音を出してみてひっくり返ることとなる。このシンセ、モノフォニックなのだ。ピアノあがりの少年だった当時、1音しか音が出ない、和音が弾けない、という概念自体が理解できなかった。当時発売されていたシンセサイザー、JUNO-106、YAMAHA DX-7 、みなポリフォニックだったし。短音しか発音できないシンセサイザーというカテゴリが全く理解できなかった。

結果、KORG POLY-800(こいつもショルダーで弾ける)が記念すべきシンセ1台目となるのだが、Roland SH-101 は最強のルックスと不思議な仕様として強く記憶に残った。

Roland SH-101 を深堀り

Roland SH-101 は VCO-VCF-VCA ENV、LFO すべての1系統という非常にシンプルなつくりになっている。VCO には Curtis Electronics CEM3340 が使われている。当時のハイエンドシンセサイザー(Sequential Prophet 5、Moog Memorymoog、Roland Jupiter-6 など、最近では BEHRINGER Neutron が採用している)に広く使われていたチップ。

Roland-Sh-101-VCO

オシレータの波形は切替式ではなく、スライダーによるバランス式なのが特徴。スライダーによるバランスがとれるので、矩形波、ノコギリ波、サブオシレータの3つがあると言えなくもない(あとノイズ)。意外なのがサイン波がない。矩形波とノコギリ波という選択が SH-101 をキャラクター付けていると思う。ノコギリ波はローランドの看板ともいえる波形だね。後述の VCF のフリケンシーで丸めてあげればサイン波っぽいのは出るし、という判断だろう。

Roland-Sh-101-detail

モジュレーションにRANDOM(ランダム)があるのも面白い。記憶では LFO の RATE がシーケンスやアルペジエータのテンポを兼ねていた気がする。

VCF はローパスフィルタとレゾナンスのみ。これがよく効くんだな。変調する帯域をうまく選んでいるだと思う。

シンセサイザーの構成としてはサブオシレーターを搭載しているとはいえ、あまりにシンプルで、出せる音の幅に限界があり、正直にいって数日触れば十分把握できるシンセサイザーである。しかしサウンドは強力。TB-303 のような変化の激しいウニウニベースやポルタメントシンセリード、矩形波シーケンスにと、シンプルながら思った音が一発で出る、というシンセ。

外部との信号は CV/Gate で MIDI はなし。このシンプルなアナログシンセサイザーに 100ステップ・シーケンサー、アルペジエータも内蔵している。ローランドとしては初の電池駆動モデルでもある。

Roland MC-202 の音源は SH-101 という話を聞くが、これは回路的にも別物と思う。MS-202 にはノイズがなかったり、LFOシェイプに違いがあるから。パッケージングとしてはカワイイんだけどね。

Roland SH-101 のクローン


SH-101 は Roland 自らクローンをリリースしている。ソフトウェアでは SH-101 PLUG-OUT、ハードウェアでは Roland Boutique SH-01A だ。SH-01A は SH-101 の基盤を ACB により再現、4音ポリというスペックを実現している。

Roland Boutique SH-01A

ちなみに BEHRINGER MS-101 は SH-101 と同構成ならがら、発音部仕様に差異がある。オシレータに三角波が追加されている(外部オーディオ入力も追加)のと、VCF 部に FM 変調のソースが追加されている。おそらくシーケンサやアルペジエータの再生スピードも LFO に引きずられるような仕様ではないと思う。

SH-101 を再現したソフトウェアは千差万別なので追いきれないが、ここ日本では Roland SH-101 の中古は豊富だし、SH-01A のような安定した機種もある。個人的には、Roland SYSTEM-1 を持っているので、SH-101 のインパネの具合も含めて所有感はあるんだけど。

キーボーディスト以外のミュージシャンにより評価された名機

Roland SH-101 は業界では定番的な存在になっている。が、商業的には成功しなかったんだと思う。比較的攻めの低価格で若者がショルダースタイルで自由にプレイするシーンをイメージした機種だが、実際に評価されたのはダンスミュージックのミュージシャンによってだ。

Roland TR-808 / TB-303 のようなアイコニックな扱いは受けていないが、Roland SH-101 をベースや効果音に使うミュージシャンは非常に多い。Aphex Twin や Orbital 、DaftPunk などのエレクトロニックシーンやヒップホップの音楽では定番機器といっても良い。

下記記事は SH-101 がミュージシャンにどう受け取られていたかを理解するためにいい記事だと思う。

Instrumental Instruments:Roland SH-101
リリース当時は大失敗に終わったが、次世代のダンスミュージックプロデューサーたちと共に独自の道を歩んでいったクラシックアナログモノシンセを取り上げる

SH-101 のベースサウンドは定番でオイシいサウンドだが、実際、キーボーディストの大半は自分のメインパートがシンセベースだとは思っていない。機動的なシーケンサーとスライダーによる直観的なインターフェイスを目の前にしても、当時のキーボーディストは Roland SH-101 のオイシい使い方を発明することは出来なかったんだと思う。

TB-303 のシンセ部は SH-101 に比較ならないほどにシンプル。でも、伝説的な機種となった。Roland SH-101 はその強烈なコンセプトとルックス(とサウンド)で時代に一石を投じた機種だったと思う。

Behringer MS-101

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