Flickr が SmugMug に買収された。ユーザには買収の経緯を説明したメールが届いていると思う。ただちにサービスに変更が加えられることはなく、Flickr は独立したサービスとして運営されるが、SmugMug にデータを移行したくないユーザは期日までに手続きが必要だ。
ポイントは以下の通り(詳細は Flickr agrees to be acquired by SmugMug – Q&A)
- Flickr は SmugMug に買収された。我々はとてもエキサイトしている(なんで買収されるとアメリカ人はエキサイトするんだろう)。
- アカウントやシステム( URL を含め)は当分の間、現状を維持。
- 2018年5月25日からは SmugMug のサービス規約により運営されることになる。
- それを望まない人は 2018年5月28日までに退会すること。
- Camera Roll にアップロードしたデータはダウンロードできるので忘れずに。
- SmugMug の規約を読んで欲しい、フォトグラファーフレンドリーな規約だと考えている。
- SmugMug と Flickr を統合する計画はない。
- Flickr のフリーアカウントの提供は当然、継続する。
- Flickr Pro サブスクリプションサービスの内容に変更はない。45日のトライアルを試して欲しい。
- 移行プロセスにおいては Yahoo ID でログインする必要がある。が、Yahoo アカウントと分離する計画であり、将来的には選択できるようになる。
- SmugMug アカウントと Flickr アカウントはすぐにマージされることはない。
- Flickr スタッフは継続して雇用している。
Flickr の歩み
Flickr は今から14年前の 2004年に Ludicorp がスタートしたサービス。フォトアルバム・ホスティングサービスとしては後発である。当時、大手プロバイダやポータルサイトがデジタルライフスタイルを構成するオンラインサービスを競い合っていた時代で(Apple は iTools とか出してたね)、翌年 2005年には Yahoo! により買収され、インフラや認証など Yahoo! ベースに移行した。
利用には米国の Yahoo! アカウントが必要だったことから、日本では「通」向けのサービスという位置づけが強く、一般には馴染みが薄かったのだと思う。Yahoo!買収後、インフラの安定化やプリントサービスの提供などサービス強化に乗り出すが、その後の Yahoo!の影響を受け低迷、結果としては Tumblr と同じくメジャーサービスにはなれなかった。
Facebook や Twitter 、Pinterest のようなメジャーサービスではないが、ソーシャル全盛期にありながら、写真家に特化したことで、それなりのファンはいるのではないかと思う。ソーシャルメディアやフォトコマースに目もくれず(そのようなリソースもなかったのかもしれないが)、写真共有サービス一筋でやってきた。
結局は Yahoo!の売却先であった Verizon/Oath から SmugMug に再び売却されることになった。
Flickr はどうなる?
正直、SmugMug というサービスを知らなかったんだけど、こちらも老舗(2002年にスタートしているので Flickr より古いね)の写真共有サービスを提供している。フォトグラファーに特化した有償サービス。アルバムサービスに加え、写真の販売が可能だ。
Flickr の日本語サポートは他国に比べてプライオリティが低い(例えば Flickr アプリって日本では配布されていないよね)。これ便利なんだけど。SmugMug も特段、日本に向けた展開に力を入れている訳ではないので、まぁ、変わらずなんだろうと思う。
「写真を撮って写真共有サイトにアップして見に来てもらう」という流れが、Facebook や Twitter、LINE のようなソーシャルサービスが普及するにともなって、「ソーシャルリンクの友達や家族に写真を見てもらう」とアクションの前後が逆になったこと。動画に比べて静止画は眺めていてもそれほど楽しくなくキッズがハマるものではなかったこと。これらを考えると近い将来に Flickr が「通」の世界から抜け出ることはないように思う。
フォトストレージサービスとしてはもっと早く Adobe に買収されていればなぁ、と思うけど、まぁ、それはパラレルワールドの世界の話だ。
僕は Flickr Pro ユーザ。Flickr はもう10年近く使っている。代替するサービスもないし(Googleフォトは Google の画像教師データにされちゃいそうだし、なんか違う感じが)、現状で満足しているので楽しく Flickr を使っていきたいと思う。
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