第五の権力 “Googleには見えている未来”(エリック・シュミット/ジャレッド・コーエン:著 櫻井 祐子:訳 ダイヤモンド社)を買いました。
Google の Eric Schmidt 初の著書ということで話題になった The New Digital Age: Reshaping the Future of People, Nations and Business の翻訳本です。Google の成功本ではなく、内容は結構シリアスな情報社会本のよう。
邦題は「第五の権力」ということですが、師匠が日本経済新聞で書評を書いてます。
「立法、司法、行政、及び国民に対して同等の影響力を持つ報道機関は、4つの権力とされる。本書が描くのは、オンラインでつながった個人が「第5の権力」を手にする未来である。( – 中略 – )本書はこのパワーシフトを考察する視点と、情報技術が開くチャンスよりも、リスクに焦点をあてている点で一線を画す。【書評:富士通総研 湯川氏】
という紹介がなされています。目次も次の通り。 Google が先陣を切った情報社会の変革のその先の社会について考察されています。最先端の人はこういう景色をみて現代の仕事をしているんだ、とそら恐ろしくなったり。
第1章 未来の私たち
・デジタル技術で健康になるのか
・私たちの「朝」が変わる
・2つの世界に同時に暮らす 他
第2章 アイデンティティ、報道、プライバシーの未来
・政府や宗教はどうなるのか
・性教育よりも大切な教育
・ウィキリークスは増殖する?
・報道の危機─メディアは生き残れるか
・データの削除は可能か、不可能か 他
第3章 国家の未来
・インターネットに国境が生まれる
・中国によるグーグルへのサイバー攻撃の裏側 他
第4章 革命の未来
・つながった社会では、革命は増えるのか
・デジタル社会における、リーダーの条件
第5章 テロリズムの未来
・誰もがテロリストになれる時代
・サイバーテロリスト養成キャンプ
・プライバシーとセキュリティのせめぎ合い
・オンラインでの人心獲得作戦 他
第6章 紛争と戦争の未来
・自動化される戦争
・パルスで意思疎通を行う兵士
・ロボットと無人航空機で様変わりする戦争 他
第7章 復興の未来
・復興のプロトタイプ
・バックアップとして機能する「仮想政府機関」
・NGOバブルの崩壊
・銃をとりあげ、スマートフォンを渡せ 他
今日の日経本紙1面もそういうネタでしたが、リーマンショック以来の復活を遂げつつある米国では企業のイノベーションが進み、世界中の情報が瞬時に得られる社会では従来型の事業手法では太刀打ちできなくなっている、と。アマゾンが投入するというスマホは「端末を売る時ではなく、利用者が使った時にお金を稼ぐ」モデル。ローカルモーターズは世界中のデザイナーや技術者から車のアイデアを集め製造する。既に「産業の垣根が崩れる破壊的な変化が起きている」時代は来ているのだ、と。
ネットワーク経済性を最大限に活用することが求められる時代から、それがもはや常識となり、企業、市民団体、国家、そして犯罪集団やテロリストまでの形態が変化する時代へ。インターネットワーキングが実現する未来の負の部分に着目しているということで、その考察には期待してます。
それにしても、共著の Google Ideas のディレクター Jared Cohen 、32歳ですよ。若い、若いなぁ。米国国務省顧問から Google へ。外交問題評議会の非常勤シニアフェロー。実にユニーク。人間、ここまでやれるんだ、と遠い目に。じっと手を見ます。
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