さよなら Evernote

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さよなら Evernote

Evernote が終わりつつある。つい先日、無料プランのノート上限を大幅に制限するなどプラン改定をおこなったことが話題になっているが、自分も Evernote の利用を停止した。Evernote が嫌になったり、絶望したから他のサービスに乗り換えた訳ではなく、自分の情報資産を保全するために受動的に対応した、というところだ。きっと、多くのユーザが同じ心境だと思う。

Evernote の彷徨

JOT SCRIPT EVERNOTE EDITION STYLUS

自分は2009年からのユーザなので、日本語版が提供される少し前から使っていることになる。元来 PIM – Personal Information Manager のようなソフトウェアは好きだったので、長く使ってきた。

Evernote の歴史は長く、創業者フィル・リービンが CEO だった時代に個人サービスから法人サービスへの進出、周辺アプリケーションの拡充、ハードウェア・グッズの販売などベンチャー企業からメガ企業に成長すべく手を尽くしてきた。フィル・リービンが日本への理解も深く日本支社を作ったり、日本の会社とのコラボレーションを多く実現していたのを思い出す。

Apple Newton ユーザだった自分としては「良いものがメジャーになるとは限らない」、いやむしろ「(自分が)良いと思ったものは大体においてダメになる」という法則みたいなものを感じ取っていて、多角化し日本においてメジャーな存在になっていく Evernote を「大丈夫なのかなぁ」と少しばかり心配に感じていた。特にドコモの出資は、なんというかな、説明すると仕事に支障が出るのだが、そうそう音楽業界でいう Gibson が出資した、みたいな意味を持ち、「うまくいってくれよ」と願うばかりであった。

Evernote は早くからサブスクリプションというビジネスモデルを採用していたのだが、このサブスクはサービスが成長し続けることが事業継続の前提になっている。市場には限りがあり永遠に成長することは難しいので、機能を向上しながら値上げする(上位プランを設定する)・周辺サービスに事業を広げる、という手法をとる。しかし、Evernote にユーザが求めていたことは早期の時点に達成されてしまい、事業領域を「個人の情報管理」と定義したビジネスモデルから脱却できなかったんだろう。

Evernote は個人の情報管理市場のナンバーワンにはなったが、市場を少し違った観点からみると、チーム情報管理、タスク管理、情報のナレッジ化、情報サービスにおける連携ハブなどスペースが十分にあったし、システムが旧設計だった Evernote は Notionなど新興のサービスに市場を食われる、という状況が続いた。

フィル・リービンは2015年に CEO を辞任、後任のクリス・オニールが経営を立て直すべく構造改革を続けたが、事業を好転させるインパクトを与えられず、昨年「 Evernote が売却されたらしい」というニュースが飛び交った。企業の運営母体が変わったことが積極的に周知されなかった(Evernote の買収に関するよくある質問が掲載されたのは翌年)ことから市場の不審を招き、今年の夏には米国事務所をクローズするなど、悪い話が続いている。

Evernote の利用を諦め、Notion へ

Notion

個人的には Evernote が売却された時点から、本格的に他サービスへの移行を試行していた。Evernote に蓄積している膨大な情報をなるべく原型をとどめる形で移行することが優先事項であり、移行先のサービスがまた事業不振になられても困るので、尖ったサービスを展開するベンチャーのサービスは除外した。OneNtote、Notion、アップルのメモ、Google Keep などだ。

結論としては、Notion に移行したのだが、データ保全・データの再現性という観点で最も優れていたのはアップルのメモだ(笑)。WebClip も含めかなりの精度で再現してくれる。ENEX 形式 (.enex)で移行すると良い。

Evernote のデータを ENEX形式 (.enex)でノートブック単位で書き出し、それをデジタルアーカイブとして保存、再現性はイマイチだが Notion にも移行した。Notion はノートの作成日について Evernote のノート作成日を引き継いでくれるので、情報の時間軸が確保させることができる、というのが大きかった。

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Notion はノートアプリというよりデータベースなので、Evernote の代替ではなく、Notion として使っている。一時期、「双方は別物」議論が巻き起こったが、情報管理が情報活用になった、というところ。コンテンツデータベースの会社に勤めているくらいだからデータベースはむしろ体に馴染んでいるんだけど、情報をインプットする時点では活用方法を設計している訳ではないので、やはり「ノート・メモ」的な使い方はしている。ノートメモもタスク管理もデータベースもイケる、というところが便利だ。Notion の残念なところは WebClip が絶望的にダメなところかな。ここはなんとかして欲しい。

さよなら Evernote

Evernote
今年はじめに Evernote から Notion に環境を移行したのだが、Evernote から乗り換えたぜ!的なキャンペーンははらなかった。Evernote がワンチャン、復活してくれればそれでも良かったし。

そんな感じで年末を迎えたが、冒頭のプラン改定の話だ。またこの分野は大規模言語モデル・生成 AI というイノベーションが進行している分野なので、大きく投資できない Evernote に勝ち目はない(Evernote の AI は現状でも酷いものだし、ユーザのコンテンツを積極的に利用できないサービスポリシーも足枷になっているのだろう)。

年払いの Evernote の更新時期が近づいてきたこともあり、昨日、長くお世話になった Evernote の有償プランを解約した。無料プランのスペックでは、情報管理サービスとしては使えない。

さよなら、Evernote 。長い間、お世話になった。Evernote ブランドの新サービスでまたユーザになる日が来ればいいな、と思っている。

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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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