DRM なしの音楽の世界

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各所で話題になっている通り、EMI Group が 4月2日のカンファレンスで「DRM フリーの高音質な楽曲を販売する」ことを発表しました。 EMI Music launches DRM-free superior sound quality downloads across its entire digital repertoire が EMI のリリース、 DRM フリーの音源を販売する iTunes を運営する Apple Inc からも Apple Unveils Higher Quality DRM-Free Music on the iTunes Store – DRM-Free Songs from EMI Available on iTunes for $1.29 in May とリリースが出ています。これは驚きました。

リリースの内容を総括すると、

  • EMI Group は DRM フリーの楽曲を販売する
  • 対象は EMI が扱うデジタル販売用楽曲/音楽ビデオのすべて
  • 販売は iTunes Store だと5月から、以下は iTunes Store でのプライシング
  • DRM フリー版(256kbps AAC 1,29ドル)と従来の DRM 版(128kbps AAC 99セント)の2つの選択肢
  • DRM 版から DRM フリー版へのアップグレードが可能(差額30セントで)
  • iTunes Store 以外での販売ルートでも順次拡大、AAC の他、WMA / MP3 でも提供可能

という感じです。 EMI 凄い、凄すぎるよ。(参考:カンファレンスのオーディオデータとレジュメ


消費者としては EMI の英断を大歓迎。既存のすべてのデジタル楽曲を対象にするということは、販売した後の楽曲の扱いを想像するに、よく決断したと思います。個人的には CD を買い続けるでしょうから、そもそも DRM フリーなのですが。

気になるのはビジネス面。今回のポイントは「 EMI の決断」であり、 Apple がどれだけこのディシジョンに絡んでいたかは分かりませんが、 2月の Thoughts on Music という書簡を発表するあたり、 EMI (をはじめとする各社)の事業方針転換を察知、もしくは仕掛けていたと思われます。

「アップルを意識しすぎず冷静に」/吉岡オーディオ事業本部長が語る「ウォークマン再生」(AV Watch)を読んでも感じるのですが、ビジネスはルールを作る者が一番強いんです。「いい機器を作ることができる」のと「業界構造の構築にイニシアティブを持っている」のでは次元が違います。特に音楽や映画などの権利関係ビジネスでは顕著です。

例えば、素晴らしい機器を作れても「映像の扱いは事業部が違う」「音楽配信事業は他社、グループ会社の仕事」「パソコンとも連携できるし、オーディオコンポとも連携できますし(どっちがいいんだ)」なんてやっていたら、「音楽を楽しみたい」という消費者の最終価値感/ライフスタイルを満足させることはできません。プロセスの上流から下流まで提供する会社の方がコンシューマー市場ではうまく対応するでしょうし、投資判断もダイナミックにできるようになります(例えばミュージックプレーヤーで儲けて音楽配信サービス構築に投資などの判断が可能)。

EMI にしても業界をくつがえす懸けに出ているのだし、売上が伸び悩む音楽業界においては「他社先行」という意思決定が重要なのかもしれません。 Apple にしても、DRM フリー、単品楽曲と差額でアルバム購入可能(Complete My Album)と新しい iPod を販売するよりも、ルールを規定する方にフォーカスしているように見えます。

ワールドワイドで見れば、日本は携帯電話向けの音楽配信という業態を作ったのですが、これは今では単なるローカルルールになってしまいました。厳しいビジネス環境の中、いかに大胆な意思決定を行えるかが経営力というもの。日本はまた差を広げられてしまいました。

なんとか巻き返して欲しいものです。

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