たまたま書店で手にとり、迫力のある装丁、面白そうな設定、「ネットで話題に!」と書いてあるポップをみて Twitter で検索したら「面白い!」「読み始めたけど凄い!」という書き込みもあり、買ってみました。最近は経営理論やビジネス書、啓蒙書ばっかりだったんだけど、久しぶりの冒険小説。SF はいいよね。
確かにレビューにもある通り、米国、アフリカ、日本を舞台にしたダイナミックな設定、創薬や軍事など緻密な描写、先が読めない展開とハリウッド映画を観るような小説です。読み進めると「うわぁっ!そうなのか!」「そうくるか!」と底知れない深みが増す展開は凄い。しかも二転三転で展開するのではなく、新たな深層が明らかになるタイプ、そう底が抜ける感じ。
「創薬化学を専攻する大学院生・研人のもとに死んだ父からのメールが届く。傭兵・イエーガーは不治の病を患う息子のために、コンゴ潜入の任務を引き受ける。二人の人生が交錯するとき、驚愕の真実が明らかになる――。」
人類と超人類の頭脳戦、という設定が凄い。日本人が描くグローバルな冒険モノはどこか嘘っぽくて、外国人が登場人物に出てくると、どこか恥ずかしくなってくるものが多いんだけど(なので繊細な心理描写やどこか空想的な小説を読むことなる)、ジェノサイドは描写力もあり、迫力満点でまさに映画を観てる感じ。
基本的には科学的なバックグラウンドを意識して書かれているので、物語の鍵となる「創薬」や登場人物の行動に無理がなく、自然に引き込まれます。書籍としては分厚いけど、ボリュームを感じさせない文体と展開に一挙に読めました。この夏、最高の娯楽でしたよ。
最近、本を読んでないなぁという人、何かスカッとした本が読みたいなぁという人にお薦めです。
最後に出版関係者に一言、「ネットで話題に!」っていう販促方法はアリだけど、レビューを演出しても無駄ですよ。Twitter で検索するのはここ2日くらいのツイートだし、読んでダメなものは「ダメだね、ありゃ」とつぶやかれますから。
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