東風の B パートの採譜。先月、坂本龍一が亡くなったことから YMO を聴き返し、高校時代に全く分からなかった東風(Tong Poo)の Bパートを採譜した。どんな音が鳴ってるんだろう、とピアノで採譜したのだが、つい昨日、オフィシャルのピアノ譜が発売された。彼はこう語っている。
この楽譜ストアは、僕がコンサートで実際に使用している譜面を、より多くの人に届けるために始めたものです。いままで僕は自分が弾けばいいだけなので、きちんとした譜面を作ったことがなく、ハーモニーが間違っている「独自採譜」や「アレンジ版」が、世の中に氾濫することになっていました。そろそろ「曲をきちんと残さなくてはいけない」と考える年頃になってきたので、面倒だと思いながらも、何度も手直しをして納得のゆく譜面に仕上げました。ピアノやいろいろな楽器で演奏していただくのはもちろん、楽器の演奏をされない方も、眺めながら曲を聴いていただくことで、新たな面を発見することができるかもしれません。
間違った採譜や亜流のアレンジが氾濫している、と。なるほど。ピュアな表現を守ることは大切なことだ。ならば答え合わせをしてみよう。本物は買ってください(バラ売りしていて、1,000円しない)。
まず、キーが違う(苦笑)。坂本龍一がピアノで東風を弾いているのはテレビで観たことがあるが、この楽譜は「2022年12月に世界にむけて配信された「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022」がベースらしい。すいません、聴いていません。なので、ハーモニーのみチェックする。
まぁ、ハーモニーはほぼ合ってる。まずチェックしたのは、曲の解釈として、メロディに追随して半音下がる部分、オリジナルではコードというよりシンセの単音の裏旋律のような動きがあるんだけど、それが1・2拍目にもあるか。つまり、上がっては半音下がってという階段状に盛り上がっていくところをどのように設計しているのか。演奏によって違うのだろうが、ピアノ独奏とはいえ大切に思っていたら、そう弾くはずだ。
彼の楽譜では3・4拍のみ半音下がるのが基本で、たまに1・2拍に入れているようだ。演奏をいくつか追ったけど、かっちり決まっていないよう。必須で1・2拍にも入れるとちょっと煩く感じるのかもしれない。自分が弾く時は後半は1・2拍にも半音下がりを左手に入れると、盛り上がる感じがして良いと思っている。
次に左手のコードの押さえ方だけど、ジャズ流れの7度でとりがちなんだけど、坂本龍一は sus4 や b5 で左をおさえるよう。音域ではないように思えるので、7度はダサいのかもね。
あとは頭のコードの押さえ方に 9th をいれている。ほとんど入っているので基本的な響きとして設計されているんだろう。
坂本龍一が好きな人達の採譜への拘りは少し恐ろしいものがあるので、下手な解説をすると痛い目に合いそう(そこが苦手だった)なので、この辺で。
オフィシャルスコアはいいですね。ジャズの界隈では全く楽譜がなく、それが基本と思っていましたが、作曲者・演奏者当人がどう楽曲を考えているのか、当人に近づけた感じがして面白いです。
坂本龍一のオフィシャル楽譜、PDF だと 1,000円しないのでオススメです。ただ、採譜が出来る人なら、いきなり回答を買うのではなく、ある程度聴き取ってから楽譜を買った方が楽曲体験は深くなりますよ、はい。
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