新年一発目のエントリーは、採譜ソフトについて。昨年末に PreSonus が PreSonus Notion Mobile を発表した。基本無料でかつクロスプラットフォームなノーテーション・アプリケーションだ。自分はこの iOS 版を iPad mini で使っている。以前のバージョン Notion はこの Notion Mobile に統合された。長く使っているいいソフトなので紹介しておく。
ノーテーション・ソフトウェアを選ぶ
採譜するためのソフトは昔から使っている。自分の場合、オケの楽譜を採譜するケースはないので、業界標準として君臨する Finale は使ったことがない。昔はバンドメンバーでデータをやりとりしたいと思い、 Finale NotePad (無料だった)や PrintMusic などの導入費用が安いソフトを使ってた。
このノーテーション・ソフトウェアにおいて常に問題となってきたのは「macOS 版の継続提供」だ。使っているノーテーションソフトが新しい OS で動かない、途中でディスコンになる、なんてことが多かった。例えばエントリー向けノーテーションソフトの定番、Final PrintMusic は mac 版を作らなくなっている。
そもそも楽譜をパソコンで書こう、書かなければならない、という人は非常に少ない。おそらく楽器を弾く人の 1%くらい。そんなもんだ。なので、ノーテーションソフト選びには継続して開発してくれるか、がなにより重要だ。
次に大切なのは互換性だ。あるソフトで楽譜を作り、そのソフトがディスコンになった場合、過去に自分が作った資産が無駄になる。最低限、MusicXML で入出力できるものが望ましい。
実際、NotePad がディスコンになった際に、たまたま他のソフトが NotePad・PrintMusic データ( .mus )を読み込めたので、デモ版で全ファイルを MusicXML に変換した(Finale Note Pad for Mac ディスコンで読めなくなった .mus ファイルを MusicXML に変換する)。ここらへん、注意したい。
iPad で採譜する
実は WAVEFORM LAB で採譜ソフトを紹介することは少ない。前述の通り、ソフトを紹介して、それがディスコンになったら責任重大だからだ。波形研究所はストレートニュース配信所ではないので、先の分からないソフトの紹介は躊躇してしまう。
PrintMusic を引きとったものの、mac版をディスコンにした Finale Music は悪いが信用ができない(笑)。Digital Performer のノーテーション機能が非常に強力なのでそれを使っていたが、iPad に Apple Pencil で入力できる PreSonus Notion を使い始めた。もう 5年くらいは使っている。
楽譜を書く目的が、「自分が作った曲を楽譜にしよう」ということならパソコンで作業するんだろうが、自分の場合は「採譜」が多い。要するに、何かを聞きながら楽譜を書くのだ。
幼少期にピアノを習うとレッスンのオプションでこの採譜を習うことになる。なんやら鳴ってるそばから楽譜に落としていく訓練をする。なのでペン入力できるのは嬉しい。ちょっと気になったフレーズを書き留めるのに iPad は最適だ。
PreSonus Notion Mobile
この Notion が Notion Mobile としてリニューアルした。フレームワークをモダンにして対応プラットフォームも増えた、ということで、Notion Moblie の紹介。
ゴージャスな対応プラットフォーム
Notion Mobile はとにかく対応プラットフォームが多い。iPhone / iPad / macOS のほか、Android に Windows 、なんと ChromeOS や Amazon の FireOS にも対応している。ホントにメンテできるんだろうか。
iPad で作成した楽譜を macOS で利活用できるのはありがたい。外出先で iPhone で採譜、自宅の Mac で整形、なんて方法もアリだろう。Android ケータイのバンドメンバーがいてもデータを確実に共有できる。
また、クロスプラットフォームながら、iPad や macOS で使っている限りは UI や操作性も自然だ。拡張子 .notion のファイルの互換性は高く、iPad で作った楽譜を macOS で開いてもきちんと表示してくれる。オートセーブ(Save コマンドがない)、クローズボタンでいきなりアプリが終了するあたり、macOS というより、iPaoOS 寄りのアプリになっている。
ゴージャスな内蔵音源
アビー・ロード・スタジオで収録されたロンドン交響楽団の演奏によるオーケストラ、スタインウェイ、ギター、ベース、ドラムなど楽器サンプルが付属している。最近は音感が衰えてきたのか、採譜した結果が正しいのか確認できるというのも嬉しい。ピアノは安っぽい MIDI 音源ではなく、細部をきちんと聴き取れるものだ。
そして無料できちんと使える
そしてベーシックな機能を完全フリーで提供する判断をしたようだ。NotePad の例からもフリーミアムモデルのノーテーションソフトは珍しいものではないが、Notion Mobile は無償でもしっかり使える(機能比較表)。
まず、譜表数が無制限だ。楽譜フォントもスタンダードとジャズの 2種類が使える。スコア全体の段組み設定もしっかりしているし、そして複数声部に対応している。ギタータブ譜も書けるし、ドラム譜もかける。歌詞もコードも書ける。バンド構成の楽譜なら問題なく、無料で書けてしまう。
MIDI 、PDF、MusicXML で出力もできる。なんならオーディオ出力もできるので、ちょっと書いたものをオーディオで出力してメンバーに展開というのもできるね。
ペン手書き入力はアイテム課金(1,200円)になっている。つまり、1,200円でペン手書き入力(手書きを楽譜に自動認識する)が使えてしまうのだよ。以前の iPad Notion でペン入力を課金で購入している人はちゃんと復元されるので安心を。
採譜は楽しく
アマチュア音楽をやっていると意外に採譜する人が少なくて驚く。もちろん音楽を作る上で採譜が果たす役割はほんの一部分。音色選びや表現、オーディオ加工などの工程の方がやることも多い。弾けるか、という実技は全く別の問題だ。けど、アーティストの弾いているコードやソロを解き明かす作業はそれはそれで面白い。
昨年、CS-80 を再現した音源をいくつか触っていて驚愕したのが、TOTO のアフリカのブラス、ぱっと弾けなかったのよ(苦笑)。あんだけ聴いていて、特段難しくもないコード、ちょっとショックだった。
採譜はしなかったけど音選びや運指を確認しながら弾くと、あのアフリカのコード展開にちょっとした発見もあった。
古典探求じゃないけど、採譜はやっておこう。読めなくても書けるというので十分だ。
ちなみに、Chick Corea の譜面を書く速さはハンパない。YouTube で探してみて。
コメント
こんにちは!
お世話になります。
ノーションモバイルの採譜方法についてお尋ねがあります。
ダ・カーポを入力方法を教えてください。
また、「1 、「3 の記号の間にダ・カーポがありますので、
「2 だけを別にしたいのです。
その場合どのように入力したら「1、3 と入力できますか?
どうしても「3 を入れようとすると「1、2、3 と続けて表示されます。
ちょっと困っております。
どうかご教授頂きますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。