最近は音楽ソフトの話題ばかりで「偏ってるなぁ」と感じていたので本の紹介を。村上春樹編集の「少年カフカ」。前から出ることは知ってたんだけど、自分のサイトで本を薦めるのは慎重になろうと思った事件があったので基本的に購入してから紹介することにしている。
さてこの本、少年ジャンプみたいな装丁。面白ろそうなので買ってみた。「海辺のカフカ」に関連していそうで、「村上さんに聞いてみよう(だったっけ?)」のような企画本だ。村上好きにお薦めだ。文学部卒で卒業論文に「村上春樹研究」なんてやった人には興味深いくだりもありそう。
「ありそう」。そう、僕は読むのをやめちゃった。というのも、村上春樹本人が過去の作品について語っている部分があるから。バスの中で読みはじめてあわててやめた。僕は基本的に「作品」に惚れ込むタチで、その背景には興味がない。というか、背景を知ることには恐怖感すらある。小説を読んだからには、いろいろ感想を持つわけで、好きな作家(村上春樹は全部読んだ)の作品には、ことさら愛着がある。けど、感想は非常に個人的で偏ったものだ。自分がお金と時間と情熱をつぎこんで得た体験が大切なのであって、村上春樹の真実なんぞ、聞かせないでくれと思う。僕は村上研究家ではない。
会社の後輩の女の子が村上春樹をよく読むそうだが、感想をまったく持たないそうだ。感想なのか感覚なのかは分からないが、「どうだった?」という類いのものは持たないらしい。海辺のカフカも「人があまり死ななくてよかったですね」なんて言っていた。なるほど、そーいうのもあるのかと思った。
音楽など、時代背景や演奏者について深く知ることで理解が深まるというのはあるが、小説はあまりに直接的だ。「体験」がすり変わりかねない。まぁ、ジャズ評論とかも嫌いなんだけど。
さて、少年カフカには読者のメール 1220 通と村上春樹の回答が掲載されている。1220 種類の人と人のコミュニケーションを疑似体験するのも凄い話だが、好きに開いたページでバラバラに読んでいくのも面白いかもしれない。インタビューものは避けて「めくり読み」してみようと思う。
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「少年カフカ」
「少年カフカ」 村上春樹編集長 新潮社 定価:950円(税別) ISBN4-10-353415-X とにかく、「海辺のカフカ」をめぐる、ぼうだいな文字がここにはある。…