先日、久しぶりにバンドのメンバーと呑んだ。最近聴いている音楽の話をしている時に「今回のメセニー(の新作)はいいよ」という話がでた。僕のバンドでは何曲かメセニーのレパートリーがあるので、メセニーは旧譜から新作までひととおりチェックしているいわば「共通体験」なわけだが、「今回の」というあたりに妙にうなずいてしまった。
ここ数年の PAT METHENY のアルバムはコンセプチュアルで、例えば通勤時間が主な音楽を聴く時間という僕には手が延びにくいものだった。で、 PAT METHENY GROUP の新作、THE WAY UP (Amazon のリンク)である。収録曲は1曲4パートで70数分という組曲だという。正直、「ぐぁ、またか」と思った。 HMV で飛ばし聴きしたが「これはイイかもしれない」と思って買ってみた。実際、カナリよかった。
プロモーションで来日したらしく、各所(例えばヤンジャンでも)でメセニーのインタビューを読むことができる。そこでこんな話が出てくる。ちょっと長いがインプレッションをたらたら書くより分かりやすいので引用する。
この音楽は、一種のプロテスト・ミュージックなんだ。何に対してのプロテストか。今世界はより狭く、小さくなり、細かい気配りをする余裕もなく、大ざっぱに物事を処理する方向に向かっている。その現状に対してもっと長い目をもとう、もっとディテールを、もっと統括的な音楽を、という提案をしたかった。以前は本来8分ある曲を、4分に縮めなくてはいけないというプレッシャーに悩まされていたけれど、今は携帯の着信音に代表される、たった2小節が音楽のゴールになっているのだから。
「音楽が短くキャッチになってきている」「サビは思い出せるけど、それ以外は思い出せない」なんて風潮があるのは確かだ。まさに「なるほど」だ。しかし、ここ数年のメセニーの組曲が実際、生活にマッチしなかったのも確かだと思う。
ここ数年、音楽は短くもなっている一方で、様々な音楽で空間/時間を埋めることでリズムを作り出して行くというトレンドも続いていると思う。クラブミュージックもそうだし、例えば街を歩くことで、各店舗やストリートで流れる別々の音楽がミックスされ、ひとつの雰囲気やリズム、展開を作り出すというのもあるだろう。 iPod の登場により、「このアルバムをヘヴィにローテーションする」というよりも「自分のフェイバリッドな音楽がランダムに時間を埋めていく」という流れは強まっていると思う。
今回のメセニーの新作はこの流れからも生活にマッチしているし聴きやすいものだと思う。「メセニーの世界」ではあるが、最近の数作の中ではもう少し「分かりやすく」なっている。ディテールを聴きこむのもいいし、流しっぱなしにするのもいい。これまでのメセニーの組曲のような「座って聴け、最後まで」というズレもない。メセニーファンでここ数年間は遠慮していた人にはお薦めだ。
「大作」なんて見出しで売り出してるけど、組曲(アルバムで1曲)なんてプログレやクラシックでは珍しくない。聴けるか聴けないかは楽曲の問題。 EL&P のタルカスや展覧会の絵なんて暗唱できたもんだ。それにしても「長く、ディテールを、統括的な音楽を」という割にテンポが早いっすね。「これはスゲー」という部分も何回か出てきます。封入のアートワークも渋いです。
コメント
The Way Back
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オフィシャルサイト、よくできています。楽譜を追いながら曲を聴くことができる QuickTime Movie もあります(ソロは採譜されていませんのであしからず)。