僕は Digital Performer ユーザですが、デジパフォに不満はないどころか、むしろ気に入って使っているから、いくら値段が安いからといってもこれまでの資産やノウハウからすぐに切り替えようとはらなないわけです。なので Apple Logic Pro X と言われても、「Apple の音楽制作分野への興味が薄れないで本当に良かった」以上の想いは出てこない。
しかし、「衝撃価格 2,600円」という Apple MainStage 3 にはやっぱり驚かずにいられない。 MainStage はライブステージ用途に特化した Apple Logic Pro のプラグインボードという認識。 DAW 特有のややこしいものが付いてない分、安定して軽い。インストゥルメントやエフェクトプラグインを演奏現場で安心して使えるアプリケーション、という位置付け。音源の豊富さと最近はベースギターを弾くのでアンプシミュレータ用に買ってみた。
まずこのアプリケーション、購入自体に 10.8.4 以上のシステムが必要なので注意。本体 524MBだが、インストール後最初の起動で「基本コンテンツダウンロード」として 2.0GB が必要になる。あとはオプションで必要なものだけを入れておけばよろしい。
Apple MainStage 3 は演奏にフォーカスしたアプリケーションであって、DAW ではない。具体的にはオーディオ録音は出来ても、MIDI 録音は出来ない。配置できるインストゥルメントトラックも1つ。軽いはずだ。
演奏に特化しているので、演奏中に操作する必要な要素だけをフルスクリーンで表示する「演奏モード」がある。演奏モードにすると、『 OS レベルの自動保存、Spotlight、および Time Machine が無効に』なる。あとは必要のないアプリやネットワークを切っておけばオーケー(通知コントロールパネルではサウンドを鳴らすタイプのアラートのチェックは外しておけばよい)。CPU はメモリのインジケータも表示しておけるから安心して使える(2.53GHz Core 2 Duo の MBP でも問題ない軽さだった)。
インターフェイスも DAW 的ではない。演奏の時に操作するパネルのレイアウトを作って、演奏の時の画面はそれを使う。その代わり、操作するコントロール系は見やすく、「パッチ」によりインストゥルメントやエフェクトプラグインのリコール(設定を一発で呼び出す)も簡単。パッチの切替え時も切替前の音がちゃんと再生されたり、フェードアウトするので「バチン!」なんてことがない。起動する時はボリュームを0にして起動してくれる。内蔵プラグインだけでなく、 Audio Unit プラグインを追加できる(そうだが、今のところうまくいってない)。
キーボード奏者には、キーボード音源セクションとして、Hammond B3、Hohner Clavinet D6、Fender Rhodes、Wurlitzer、Hohner とアナログタイプのシンセサイザーと基本的なキーボード音源全装備。個々にみていくとピアノはいつも使っている Synthogy Ivory 2(こいつは3台のピアノを 77GB のサンプルで再生する)には遥かに及ばないし、Rhodes 系も MachFive 3(Rhodes だけで 7.5GB 使う) には及ばない。けど、Rhodes は Bell 要素を切れば結構使えるし、シンセも楽しい音色盛りだくさんだ。なんせ、軽い。スタジオのシンセキーボードよりずっといい音を出すと思う。
キーボード音源のほかには、Logic らしい ES2、 Sculpture や Ultrabeat も使える。Drum Kit Designer や Apple Loops があるので、ギターやドラムの個人練習だけでなく、ちょっとしたライブでの利用も可能だろう。今回からギターアンプシミュレータに加えて、ベースアンプシミュレータも搭載。ギタリスト向けのストンプもたくさんある。
「演奏特化」ということで、MainStage のプラグインを他の DAW で使うことは出来ない。プラグインのマウントも出来ないし、ReWire 対応といってもホストモードのみ。例えば、Reason から MainStage のトラックはコントロール出来ない。
それでも、いつものバンドの練習で、Mac の安定性が高くなったからといって失敗が許されないライブステージで使うには安心のアプリだ。 iPad の音源アプリの価格を考えても、やはり激安。楽器を演る人、DAW は難しいんだよなという人、オススメです。
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