2.10.2020
悲しくてしかたがない。
Further reflections from Pat
As a few days have passed here, I am getting so many requests to comment on Lyle’s passing. Over the past hours, in response, I took a few moments to further reflect….https://t.co/oP16TxtVQx pic.twitter.com/bICbZPgYRw
— Pat Metheny (@PatMetheny) February 12, 2020
— 2.14 update
Lyle Mays について少しだけ書く。Lyle Mays が最も好きなキーボーディストとまではいかないんだけど、Pat Metheny Group の良心であり、音楽の響きを重視し、彼らの音楽を拡張してきたのは、Lyle Mays だと思っている。
Pat Metheny Group ファンの多くの日本人がそうだと思うけど、Pat Metheny Group をはじめて観たのは、Live Under the Sky のテレビ放映だ。1992年だったと思う。1990年の PARALLEL RIALITIES で Jack In という曲を演奏したんだけど、そこではじめて動くメセニーを観て(ギターシンセを披露してた)、「あー、これがメセニーか」と思ったもんだ。で、1992年の Live Under the Sky は YouTube にもあがってるけど、ライブで圧巻の演奏をしていて、よく聴くようになった。
Pat Metheny Group のアルバムは全部聴いてると思うんだけど、初期から名曲が多かった。もちろん、変幻自在のメセニーのギターが面白いんだけど、ピアノも良かった。ジャズ風のソロに固執することなく、トーンを重視したつかみどころのないソロを繰り出し、シンセもちゃんと弾く。Pat Metheny Gruop 特有のメロディをとるシンセも、ちゃんと左手で弾いていて、グループの音圧をしっかり支えていた。ヨーロッパの幽霊風の風情だがアメリカ人であり、アメリカ特有の牧歌的な曲も書いている。
好きなアルバムは、Offramp、Travels、Still Life (Talking)や Letter From Homeと初期のものが多いけど、R&B の雰囲気があるWe Live Here の曲はよくバンドで演奏した。一番好きなのはやはり More Travels というライブアルバム。最初のバージョンはレーザーディスクで買った。
More Travels は(後の難解な曲がない)名曲揃いのアルバム。そして多くの人が愛する The First Circle の最高のバージョンが収められている。
ボーカルがメロディを歌い上げた後、静かなピアノソロがはじまる。誠実で物語にあふれるコード回しが Lyle の人柄をよく表している。オリジナルアルバムの散発的なソロと違って、Lyle Mays が伝えたいことがしっかりと出ているソロだ。
そしてピアノソロ後の展開は何回聴いても鳥肌が立つ。メインのシンセ、ピアノのコード、そしてキラキラとしたSEっぽい音もちゃんと Lyle が忙しく弾いている。そんな Lyle がもういないと思うと、聴いていると涙が出る。
Lyle Mays は James など、表情豊かで美しい曲を多く残している。輝くキーボードヒーローではなかったけど、腕のいい職人が突然いなくなって、その人の偉大さと喪失感に愕然としている。聴き返すと美しい曲ばかりで泣ける。
多くのミュージシャンが、ヒーローがこの世を去っていく。寂しくて、ただただ悲しい。
Jacob Colier が弾く James を見つけたので添えておく。More Travels は絶版らしくて見当たらないので、これも。First Circle はぜひ観ておいて欲しい。
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