Native Instruments の普通ではないピアノ音源、PIANO COLORS を紹介する。
話は少しずれるけど、最近の音楽制作系サイト、じっくり音源の紹介しているところが少なくなったよね。本家サイトの和訳やスクショの転載が多くて、レビューというよりもストレートニュース。
それを批判しているのではなくて、かつては音源のレビューをしっかりやっているところがストレートニュースサイトになっているのをみるのが残念だなぁ、と。
エフェクトプラグインなんて増やしたところで制作する楽曲数は増えやしない。既にインストールしているだけで、全く使わないプラグインも多いから、「自分に本当に必要なモノのみインストールするようにしよう」と決めているんだけど、この Native Instruments のピアノ音源は悩んだ上に購入したって話。
Native Instruments PIANO COLORS
Native Instruments PIANO COLORS はピアノ音源としては異質だ。ピアノサウンド音源というべきか。グランドピアノのストリングスをマレットで叩いたり、ビスを挟んで弾いてみたりと、グランドピアノで奏でられるサウンドを数多く収録している。
VISIONARY SOUNDS, ORGANICALLY MODULATED
PIANO COLORSの真髄は、グランドピアノの素晴らしい豊富な特殊奏法と、モーション、アルペジエーター、新しいパーティクル機能など革新的なモジュレーションエンジンが絡み合って生まれる相乗効果にあります。複雑なサウンドはリアルタイムで、表現豊かな音から躍動感のあるグルーヴ、動きのあるパッドへと断続的に変化していきます。 PIANO COLORSでは、豊かなハーモニーを持つサンプルが、インスピレーションに満ちた色合いとなり、これを成形したりブレンドすることによって、演奏に合わせて動きや息遣いのある音楽を作ることができます。
Native Instruments NOIRE も単純なピアノ音源ではなく、グランドピアノの音響やリズムハーモニクス、PARTICLES というハーモニクスモーションシーケンス・アルペジエーターを搭載したピアノの可能性を模索した音源であった。
この PIANO COLORS はあえて一般的なピアノを搭載せず、「ピアノで試せること・出来ることをなんでもやった」「グランドピアノという楽器はこういうサウンドも出せるんだ」という、グランドピアノの可能性を追求した音源 だ。
PIANO COLORSに収録されている膨大な数のサンプル素材は、マレット、ドラムスティック、ゴム、ネジ、複数のEbowなど型破りな道具や素材を使って録音されました。グランドピアノの弦やボディに通常とは異なる方法で調整、演奏したサウンドを、最高級の録音機器を用いて録音。生き生きとした響き、明瞭なハーモニクス、カラフルな倍音など、息を呑むような音を緻密に捉えています。
演奏技法は多様でストリングスを指で弾いたもの、マレットやブラシで叩いたもの、電磁艇にストリングスを振動させるE-Bow で弾いたもの(これはピアノ史上初ではないか?)、ストリングスのすき間にビスを入れてクリップしたりと、ありとあらゆる方法で演奏したピアノサウンドが収録されている。
非圧縮時には 56GB にもなるモンスター級のサンプルをベース(インストール時にはかなりの空きが必要だ)に、2種類のサウンドサンプルをレイヤーし、それにアタック、ペダルやメカニカルなどの NOISE と NOIRE にも搭載されていたハーモニクスモーションアルペジエーターの PARTICLES をブレンドしサウンドを作り上げている。各レイヤーがピアノのバックに描かれるイエロー、オレンジ、レッド、ブルーで表現されたライトが連動する。
レイヤーは、選択されたサンプルの Sound Color、PAN、Dynamics や Sub 、Resonance や Overtone を設定する TONE、FILTER / EQ / DRIVE / MODULATION など豊富なパラメータを設定できる MOD FX、音色をトータルに加工する CHANNEL、REVERB だけでなく TAPE ECHO などを設定できる SPACE、サウンドの動きを設定する MOTION と、サウンドを細かく繊細に設定できる。
レイヤーの元となるサウンドは前述の大容量のサンプルをベースに多くが用意されており、感覚的には無限のピアノサウンドを作り上げることができる。ピアノサウンドに遠くで鳴っているパッド系サウンドをモーションでゆり動かす、なんてことも簡単にできる。
PIANO COLORS を使ってみて
プリセットはサウンドの種別により 1 Piano / 2 Pattern / 3 Pad / 4 Combined と分かれている。プリセットはどれも世界観があるものだ。弾くだけで「どの方向に音を導くか」がイメージできる。
“Piano” にあるプリセットはまともなピアノではない。グランドピアノという楽器による美しいサウンドスケープを表現したものだ。プリセットの中では、単音として演奏できるものが集められている。個人的に大好きな UNA CORDA に収録されているようなフェルトを挟んだハーモニクスが美しいサウンドもある。
“Pattern” はモーションシーケンス的なサウンドが集約されている。もちろん、ベースとなる DAW のシーケンステンポに同期する。シンセの SEQ 的なサウンドも、実際にリアルなピアノが鳴っているアコースティックなものだと思うと、電子的ストレスが減るというか、ピュアなものを感じることが出来る。
“Pad” はシンセパッドのようなものもあるが、ピアノの弦を弓で弾いたようなサウンドがゆらめくプリセットが多いが印象的だ。和音で弾かなくても単音で存在感があるサウンドが多い。
“Combined” にはサウンドスケープにモーションが追加された混合型プリセットが収められている。
たくさんのサウンドがあるが、Kontakt 特有のプルダウンメニューであり、サウンドにフェイバリットなどのフラグが付けられると便利なんだがなぁ。
サウンドはとにかく美しい。普通のピアノではありえないグランドピアノのフィードバックサウンドなど非常に美しい。 これまで自分が購入してきたどの音源よりも美しいと思う。創作意欲を刺激する音源だ。間違いない。
ピアノという楽器の可能性を追求
Native Instruments PIANO COLORS のサウンドデモです。PIANO COLORS を3つ重ねています。#nativeinstruments #DTM #DTMer pic.twitter.com/wJc7UsYeCv
— 波形研究所 気になるニュース😃 (@waveformlab) 2021年7月21日
個人的に、ピアノだけですべてのパートを演奏するような音楽を作るのが好きだ。公開している楽曲は様々な楽器で構成される楽曲が多いが、実は様々なピアノサウンドを用いたピアノサウンドスケープ的なものも結構作っている。
PIANO COLORS ではシンセシーケンス的なサウンドもあるが、「すべてグランドピアノが鳴っている」ことを考えれば、興味深い実験的なサウンド音源だと思う。
来年には Komplete にも収録されるだろう、と悩んだが、NOIRE 同様に個別に買ってしまった(デジパフォのアップグレードは後回しになちゃった)。買って本当に良かったと思っている。
ピアノ音源が好きな人はぜひチェックして欲しい。おススメできる。定価は 26,800円と少し高めだが、7月28日まで 25%オフの 20,100円で購入できる特別オファーもやっている。気になった人はお早目に。
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