電子ピアノを購入した話、後半編。お店で実機を弾きに弾いて、理想の電子ピアノに出会うまでの物語、完結編。
平置きタイプの電子ピアノに検討を広げる
YAMAHA P-525 の発表に伴い、前編の蓋付きスリムタイプの電子ピアノ検討に加え検討機種を広げてみた。ピアノの鍵盤性能の研究で得た知見を活かす観点からカシオの電子ピアノが候補から外れているが、今回の結論・チョイスに間違いはないと思う(研究が足りないだけで実際には弾いてみたので)。
この平置きタイプの電子ピアノはポータブルタイプというもので、ステージピアノと異なりスピーカーを内蔵している電子ピアノだ。
Roland
・FP-90X
前半記事の通り、ローランドは PHA-50鍵盤 を条件としている。よって、FP-60X、FP-30X、FP-10 は対象外としている。
YAMAHA
・P-525
ヤマハは GH3(グレードハンマー3)鍵盤、グランドタッチ-エス鍵盤 木製(白鍵)が選択基準だ。よって、グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤を搭載した P-S500、P-225、P-145 は対象外とした。
最高のスペック Roland FP-90X
まず、Roland FP-90X から。カタログスペック・YouTube の情報からは FP-90X は完全無敵だ。FP-90X の鍵盤は PHA-50鍵盤 なので条件クリア。上部に配置された巨大なスピーカー「パワフルなサウンドを実現する4スピーカー」がサウンドの素晴らしさをイメージさせる。本体背面には、内部に新開発の音響フィン(特許出願中)が配置されており、跳ね返りのサウンド効果も期待できる。MacBook Pro の紹介で散々聞かされたあの機能だ。
サウンドも非常に充実・多彩だ。設計思想が電子ピアノというよりステージピアノに近く、。Piano:20音色、E.Piano:18音色、Organ:18音色、Strings/Pad:27音色、Synth/Other:279音色と豊富なサウンドを収録している。最新のピュアアコースティック・モデリング・テクノロジーによる表現力豊かな新しいピアノ・サウンドを自分好みに調整・カスタマイズができるピアノ・デザイナーも搭載している。
エフェクターも最高だ。響のよいアンビエンス、ロータリースピーカ、エレピのモジュレーション系もばっちり。本体の左側に3点イコライザーを搭載しており、スライダーで直感的に音作りできる。インターフェイスも従実。MIDI・オーディオ入出力があり、Bluetoothオーディオ/MIDI機能に対応している。
「あー、これをチョイスすれば幸せになれる!」と思い、念の為に実機を弾くべく秋葉原のヨドバシカメラに向かった。
Roland FP-90X、やはり出音の良さでは DP603 に負ける
ヨドバシカメラで実機を弾いたところ、なんとなく「音がイマイチ」という感想。左に置いてある DP603 の音の方が良い。やはり鍵盤の下にスピーカーを配置しボディを鳴らす電子ピアノには出音が負けるのは仕方がないか。
また、ピアノ音色プリセットが少し地味だ。キーボードとしての機能性は最高だが、弾いた時の楽しさはスペックほどではない。前述の通り3点イコライザーは非常に優秀で思った音色に近づけることが可能だし、ストリングス・パッド・エレピ・オルガンもグレイトなのだが、いかんせんスピーカーの出音の問題、如何ともし難い。
スペックに期待が膨らみ過ぎた。FP-90X をフルサイズの電子ピアノと比べるのが間違っているのだろうか。売り場で「うーん」となってしまった。
YAMAHA C6X のタッチを確認
DP603 は少し鍵盤が重めだ。重めの鍵盤が好みなのだが、本当のグランドピアノはどんなものだっけ、と弾いてみることにした。
銀座の山野楽器で弾いたのは YAMAHA C6X、ザ・コンサートグランド。思いの外、鍵盤が軽い。YAMAHA C6 はクラシックもジャズもイケるサウンドが最高だ。まわりでショパンが鳴る中、ビル・エヴァンズを弾く。楽しい。そしてタルカス。例の右手の連打が辛い部分もしっかり弾ける。凄い性能。店員が「タルカスをピアノで弾くんですね」と(笑)。
発売前の YAMAHA P-525 を試奏
やはりフロントスピーカータイプは厳しいか。新モデル P-252 の発売は 11月2日。発売前の P-525 を展示している可能性があるのはヤマハ銀座本店だ。せっかく銀座にいるのだからとヤマハの銀座本店を直撃、フロアを上がって売り場を見回すと壁際に置いてあった「あっ、525 がある」。
イケメンの店員に頼んで弾かせてもらう。「あ、気がつきました?今日、開店前に組み立てたところなんですよ」「お客様が最初ですね、試すの」ということで試奏する。
「!!!!!!!!」。
まず、音が凄い。平置きタイプとは思えないサウンドが鳴る。実に美しいピアノが鳴る。ピアノ音色はあの YAMAHA CFX とベーゼンドルファー・インペリアルを搭載している。MONTAGE M よ、お先に!だ。鍵盤も最高、弾いた瞬間に「これだ!!」と心が決まった。
一応、スペックをおさらいしておく。音色は 44 + 18ドラム/SFXキット + 480 XGボイスと 542音色を搭載。前述の CFX はバイノーラルサンプリング、あの FM Dyno EP も収録されている。ステレオフォニックオプティマイザー、リバーブ 7種、コーラス 3種類、EQ と 12種類のエフェクトを搭載している。USB オーディオは 44.1kHz/24bit 。MIDI ポート・オーディオ入出力に加え、Bluetoothオーディオ/MIDI も搭載。ここらへん、絶対王者の Roland FP-90X を意識しているのかもしれない。
音響系は電子ピアノとしては初めてFIRフィルターを搭載、「スピーカーの内部構造や設置角度を見直し、心地よく音に包まれるような自然な音を実現しました」との解説しかないが、FP-90X に比べるとスピーカー経由のサウンドは P-525 に軍配が上がる。
電源を入れて、美しいピアノサウンドを快適に鳴らせることができれば、198,000円のピアノとしては上出来だ。
未発売の YAMAHA P-525 を次弾いた!
マジ凄い!リビングの88鍵盤はコレにするかな! pic.twitter.com/3iMVBV0Gjf— 波形研究所 気になるニュース🇺🇦 (@waveformlab) 2023年10月29日
YAMAHA P-525B をオーダー
1ヶ月におよぶ電子ピアノ購入の旅は終わった。銀座のヤマハに数度足を運んだのも運命だ。すべての道は YAMAHA P-525 に繋がっていたのだ。
ということで、YAMAHA P-525(ブラック)、専用スタンド L-515B、専用ペダルユニット LP-1B も一緒にサクッとオーダー。11月2日発売、アマゾンによると 11/3 – 5 到着予定。実に楽しみ。到着してまた気がついたことがあれば共有しようと思う。
P.S 届きました。インプレッションをまとめています。
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