あけおめ、今年初の更新。IK MULTIMEDIA からアナログシンセサイザー UNO Synth Pro が発表されました。デュアルフィルターに特徴を持つアナログシンセサイザーだ。これまで IK MULTIMEDIA では小型のモノフォニックシンセサイザー UNO Synth やアナログ&PCM 構成のこれも小型の UNO Drum などハードウェア音源をリリースしてきた。UNO Synth Pro はこれらのハードウェア開発能力をベースにイタリアのシンセサイザーメーカーの Soundmachines とのコラボレーションにより開発された。
UNO Synth Pro / UNO Synth Pro Desktop
UNO Synth Pro と UNO Synth Pro Desktop の2つのモデルがあるが、基本となる音源構成やスペックは共通だ。まずはそこから解説。
UNO Synth Pro は、3つのオシレータ、デュアルフィルター、独自の64ステップシーケンサーを搭載したパラフォニックのアナログシンセサイザーだ。パラフォニックとは和音を発音するために各オシレーターで分担して発音する手法をとる。UNO Synth Pro は基本はモノフォニックシンセサイザーだが、3基のオシレータを順番に発音させることで 3音ポリを実現できる。1音に3つのオシレーターを重ねる構成だとモノフォニックになる。
オシレータ
UNO Synth Pro は 3基のオシレータを搭載している。パルス幅変調による基本3波形・ノイズに加え、PWM、シンク、FM、リングモジュレーションを連続可変できるウェーブモーフィングオシレータを搭載している。これら3基のオシレータは前述のパラフォニック構成にアサインできる。ちなみにオシレータではないが、オーディオインプットがありソースとして利用可能だ。
デュアルフィルター
IK MULTIMEDIA 独自の 2ポールOTAマルチモードフィルターに加え、音楽用の半導体メーカー SSI(SOUND SEMICONDUCTOR)製の 2/4ポール・ローパスフィルターを搭載している。これら 2系統のフィルターでデュアル・フィルターと呼んでいるのだが、これらのフィルターは直列・並列接続で配置でき位相反転も可能。24のフィルター配列から選択できる。これがこのシンセの特徴といってもいいかもしれない。単純にオシレータが発音したサウンドを CUTOFF やフィルターで操作するだけでなく、アグレッシブに多彩なサウンドを構築可能にしている。
エンベロープ
フィルターと音量コントロール用の 2基の ADSRエンベロープを搭載。ピッチやウェーブシェイプ、LFOなど様々なパラメータの変調元として利用可能。16のモジュレーションマトリクスから選択できる。アナログパッチシンセのようだね。
エフェクト
そして、アナログシンセサイザーながらデジタルエフェクターも搭載している。オーバードライブ、モジュレーション、ディレイ、リバーブなど 12種類のエフェクターを搭載。
その他
64ステップシーケンサーはステップ入力のほか、リアルタイム録音にも対応。40種類のパラメーターをオートメーションすることが可能。10種類のモードのアルペジエータ、256種類のプリセット、インターフェイスはオーディオ出力系(ステレオアウト・ヘッドフォン)、オーディオ入力、MIDI IN/OUT、CV/GATE IN/OUTを2系統、USB 接続の構成。かなり充実している。
そして、Fatar の 37鍵盤を搭載した UNO Synth Pro と、静電容量感知式の 32マルチタッチ鍵盤を搭載した UNO Synth Pro Desktop の2種類が発売される。価格はオープンプライスだが、UNO Synth Pro が市場価格 84,800円前後、UNO Synth Pro Desktop が 51,800円前後に設定されている。
かなり面白そう
フォームファクターとしては UNO Synth Pro Desktop の方が好まれるのかな、と思う。ちょっと価格帯が強気に思うが、ここは時期とともにこなれてくるんだろう。アナログシンセサイザーではあるが、インターフェイスはボタンが多く、パラメータコントロールに使えるノブは 4つの構成。ちょっと少ないかな。また、UNO Synth Editor もそのうち提供されると思う。
なかなか面白そうではある。デスクトップのミニシンセサイザーでは、同じく静電容量感知式のキーボードを搭載した MODAL SKULPT を持っているが、狭い机の上での取り回しも良く便利だ。SKULPT はちょっと音色幅が狭いんだけど。同じように、UNO Synth Pro Desktop をチョイスする人も多いと思う。楽しみだ。
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