WWDC21 – 今年は少し地味だったね、でもまぁ、アプリは進化するみたい

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WWDC 21

WWDC 21 が開幕した。本日、2時から基調講演が行われ、WAVEFORM LAB のアップルウォッチアカウント でライブアップデートを行った。結論から述べると、現在の Apple は Big Sur で実施したインターフェイスデザインやシステム基盤の大規模改革 ソフトウェア・ハードウェアにおける Apple M プロセッサへの移行に集中しており、開発テーマ各アプリケーションの改革より改善の話題が多かった。

事前にささやかれていた VR/AR や MacBook Pro の新モデルの発表はなく、「それぞれのアプリが連携や共有、プライバシーを意識して改善された」という話に尽きたと思う。「まー、今年は地味だった」という印象だ。

あと、日本市場の位置づけが後退し、アジア圏としては中国のプライオリティがあがった印象も受けたのが心配だ。

WWDC での話題

WWDC基調講演の朝方の現時点で、米国サイトを埋め尽くしている発表内容が日本サイトでは公開されていない。あれだけ大規模に発表しておいて、日本サイトは平常運転だ。大丈夫か、アップルジャパン。

WWDCの基調講演

WWDC(World Wide Developper Conference)といえば本来、開発者向けのイベントだ。開発者は消費者ではなくビジネスパートナーという位置づけになる。ある程度の身内感があるということで、基調講演の幕開けは毎回コントタイムが恒例となっている。ある年は新しいオペレーティングシステムの紹介ビデオの放映直後に、会場に担当者が走って到着し、「できました!」といいながらステージのスピーカーにディスクを手渡しするというコントもあったと記憶している。

今年の基調講演は出だしから「?」という感じがあった。現代風の優秀な社員が無理に面白ろコントビデオを作っているようで、なんとなくしっくりこなかった。歳かもしれない。

iOS 15

iOS15

最初の話題は iOS 15プレスリリース)だ。物心ついた頃、世の中に出回っている MacOS は System 7 だったから、15世代目となる iOS もずいぶん成長したもんである。

テレワーク環境下を意識し、FaceTime は iOS/iPadOS/macOS 向けの Zoom みたいになった。スクリーンシェアリングやスケジューリング、映画や音楽やイメージなどのコンテンツシェア機能が付いた。ノイズキャンセリングやボイスフォーカスなど、リモートカンファレンスに必要な機能はほとんど搭載された。Zoom よりも先に出していれば話題になっただろうが、所詮、Apple 製品ユーザ同士でしか使えない機能だ。テンションが下がる。

Focus という通知制御機能も搭載された。シチュエーションに応じて、通知を行うアプリケーションを制御できる。その他、Mapの機能強化は素晴らしく、3Dでの地図表示や道路情報では走行レーンが表示されるなど、素晴らしく進化した(日本は対象外だ)。

他にもいろいろアプリが良くなった。一言で言えばそんな感じだ。

iPadOS 15

iPadOS15

iPadOS 15プレスリリース)だ。iPadOS という名前は最近つけられたものだが、15世代目となっている。なんでだ?

iPadOS はよりパソコンに近づくべく、マルチタスキングが強化された。ここで iPad ユーザに問いたい。「Split View やアプリ間でのファイル移動の方法をちゃんと理解して iPad を使ってる?」

iPadOS-SplitView

IT企業に勤務し、多くの Apple 製品に投資し、iPad は最初のモデルから使っている自分でさえ「マルチタスキングのジェスチャーはよく分からない」というのが実情だ。知っている・使っている人にはいくぶん魔法のようだろうが、素人や高齢者が使うにはもはや直感的の範疇を大幅に逸脱している。

クリエーション作業に最適化するために iPad のシンプルさは失われ、もはやマニアしか使えないものとなった。

以上だ(Quick Note は便利だが起動するジェスチャーを理解するにはマニュアルが必要だろう)。

iPadOS-QuickNote

macOS Monterey

macOS-Monterey

新しい macOS は、macOS Montereyプレスリリース)という名前になった。macOS は 12世代目だ。macOS 12 とは言わない。カルフォルニア州のモントレーがネーミングに採用された。太平洋岸のモントレー湾に位置する街で人口は約3万人。面積30.4km2。ジャズフェスで有名な街だ。

macOS-Monterey-Safari

これまで紹介した iOS/iPadOS の新機能が追加されている。Safari は存在感が薄くなるインターフェイスとなり、近くに置いたデバイスの画面を共有し、ファイルドラッグやカーソル操作が行える革新的な Universal Control が搭載された。

プライバシーは一層強化され、アプリはいろいろ良くなった。以上。

watchOS 8

watchOS8

watchOS 8プレスリリース)により、Apple Watch もいろいろよくなった。Photo が強化されたりいろいろと…

なんて書くとこのレポートの意味がなくなる。これではいかん。

Apple Watch は本当に生活に密着した便利なガジェットだ。最新の Apple Watch Series 6 ではバッテリーの使い方も賢くなり、寝る時でさえ腕に付けている生活を送っている。Apple Watch は「より良い生活をおくる」ための機能が満載だ。

watchOS-Healthcare

Apple Watch は多彩なセンサーで「医療機器か」というくらいの情報を収取する。新しい watchOS では歩行時の歩幅の検出もするらしい。医療機関のカルテソリューションと連携し、医師とメディカルパラメータを共有する機能もついた。そういう意味で、登場時点からヘルスケアに着目していた Apple の開発担当者は素晴らしいと思う。

残念なのは、Fitness+ などのサービスが日本では提供されていないことだ。日本語字幕を付けるのはそんなに大変でもなかろう。Apple Watch の真価を発揮すべく、サービスを拡充して欲しい。

WWDC の印象

dev21
開発者向けにはより多くの API が提供され、開発フローのトータル支援を行う Xcode Cloud や並列処理も記述できるようになった Swift などが提供された(プレスリリース)。開発者イベントなんだから、もっと開発の領域の発表が多くてもいいんじゃないかとも思う。

さて基調講演の総括。

楽しみにしていた MacBook Pro の新機種も Apple M プロセッサの話もなかったので残念だった。また、長く話題になっていた VR/AR のような話もなく、地味だった印象だ。

また、ダイバーシティを意識してか、男女・人種、多様な人材が発表を行った。それはいいことなんだろう。が、各製品や機能を担当する「顔」となる開発者が見えにくくなったとも思う。

強烈・熾烈な個性の持ち主であったジョブスやフィルシラーのような人材がいなくなり、たくさんの優秀な人材がそれぞれ開発している印象を強くもった。開発は部分最適が進み、アプリケーションの複雑さは閾値を越えたようにも感じる。

まぁ、今年は若干地味なモードだったが、Apple のイノベーションは止まることなく進んでいる。時代をリードするような革新的技術は発表されなかったことより、製品が複雑になっているのが気になった発表だったと思う。

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