昨年からコツコツと集めているモジュラーシンセ。音楽制作というより、シンセサイザーを理解し波形を愛でる波形研究活動。モジュラーシンセが増えるに従って、ヤドカリのようにケースを変えています。やはり大は小を兼ねる。最初から大きいものを買っていればよかったんだ。
今日は久しぶりに BEHRINGER Crave の話。レジェンドシンセサイザーの焼き直しシンセが多いベリンガーだけど、この Crave はベリンガーオリジナル設計、オレンジの筐体も楽しいアナログ・シンセサイザー。パッチベイも装備し、モジュラーシンセとの相性も抜群だ。
モジュラーシンセをはじめると起こること
自分の場合、モジュラーシンセはもっぱらエフェクターで、発音系(オシレータとかエンベロープとか)はあまり手を出さなかった。でも、それだけでは眺める波形も少なく楽しくない。
いろんな波形と音の変化を感じたい。電流の変化を感じたい。
「1つくらいいいか」とオシレータを買う。すると、オシレータを動かすためにクロックジェネレータ、フィルター、エンベロープ、ミキサーと一般的なシンセサイザーが備えている機能を1つ1つ個別に揃えだす、いわゆる「沼」状態に入っていくわけです(凄いですよ、シーケンサーでクロック入れてあげないと自走してくれないんですよ)。
そんな時に、多彩な「機能」をバラバラに入出力できるのが BEHRINGER Crave のいいところ。
オシレータ 1台!最小モジュラーセットアップ
BEHRINGER の YouTube にもあるけど、例えば音源のモジュールが1つだけあるとする。Mutable Instruments Plaits あたり(BEHRINGER の YouTube では Plaits のクローンである Brains を使ってるね)。
Plaits は使い勝手がよい色んな音が出るデジタル・オシレータなんだけど、これだけでは出力のオンオフも指示できないしピッチも指定できない、そう弾けない状態(厳密にいうとアウトプットをイヤフォンにも出力できない)。
BEHRINGER Crave なら3本のケーブルで Plaits を Crave のオシレーターとしてインテグレートできる。 Crave の KBD CV を Plaits の V/OCT に、GATE を TRIG に、そして Plaits のオーディオアウトを Crave の External Audio Input につなぐだけでオーケーだ(YouTube 観た方が早い)。
BEHRINGER Crave には CV キーボードもあるしシーケンサーもある。内蔵のフィルターやエンベロープを拝借することもできる。なんなら BEHRINGER の内蔵オシレータと合わせて和音も出せる。そして MIDI コンバーターも内蔵されている。
Crave の MIDIコンバーターは優秀で、例えば接続されたマスターキーボードのピッチベンドも KBD CV にしっかりアウトプットしてくれる。回路的に一度 Crave を動かしているからか、Crave の GLIDE コントロールもきちんと統合して出力する。Crave の GLIDE ノブをいじりながらポルタメントを終点に近づくにつれ加速させる、なんてことも可能。
モジュラー・モジュールををコントロールする
ベリの Crave はモジュラーコントローラーとしても本当に有能。
シーケンサーやKBD CV / GATEを吐けるだけでなくLFOやエンベロープも出せる。MIDIコンバータも有能でピッチベンド対応で、なんとCraveのGLIDEかけて出力してくれる。グイーンというポルタメントもツマミでコントロールできる! pic.twitter.com/y9ZkwgOPt7
— takefumi_s 🇺🇦 (@takefumi_s) 2022年11月20日
Plaits 側からみると、基本的な TRIG、V/OCT 以外にも CV を受け付けるインプットがある。HAMONICS や MORPH / TIMBRE のダイヤルコントロール、 FM 変調もコントロールできる。だが、これにどのように CV を送るればいいんだ問題がある。
BEHRINGER Crave なら適当な CV を個別に送り込める。この点で CV 対応 MIDI キーボードより利点がある。まぁ、筐体もコンパクトだし、Crave のサウンドプロセッシングとマージできるから、本当に便利。
モジュラーのパーツを代用する
例えば Crave をフィルターモジュールとして使うこともできる。CUTOFF も RES もモジュラーからの CV でコントロールできる。モノラル1系統のフィルターが欲しい、なんて思っている人は Crave が既に手元にあるんだから新たに購入する必要はない。
外部オシレータとして使ってもいいし、VCA エンベロープモジュールとして使ってもよい。セミモジュラーの機能を個別に使えばいいわけだ。
モジュラーシンセのマスターコントローラーとして
円安もあってモジュラーシンセが高い。機能を個別にバラで揃えられるのが良かったのに、1万円あたりで買えるモジュールはめっきり減ってしまった。モジュラーシンセを揃えるにはあまりいい時期ではないのかもしれない。本当に必要なモジュールに投資を集中させるためにも、BEHRINGER Crave を活用したいところ。Crave も以前より値段は上がっているが、機能を個別のモジュラーで揃えたことを考えるともう、激安だ。Moog だとシーケンサーの電圧仕様を埋めるためにスケーラー・クォンタイザーが必要だし、とにかくパッチベイ数も多いのがイイ。
BEHRINGER Crave オススメです。
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