Teenage Engineering の電卓型シンセサイザー/サンプラーシリーズ、Pocket Operator(ポケットオペレーター)。PO-14(ベースシンセ)をはじめいくつか持っていたんだけど、音楽制作基盤にはならず順次売却していった。
そんな中で現在も手元に残っているのは PO-33 K.O!(サンプラー)のみ。こいつだけは手放していない。そんな人も多いんじゃないだろうか。
サンプラーである PO-33 はシリーズの中でも非常に使い勝手がいい機種だと思う。SP-404 mk2 をそのまま超・小型化したようなもので、40秒のステレオ・サンプリングが可能で、フィルターや Scatter 的なエフェクトも装備している。メロディプレイができ、ドラムなどのワンショット用にオートスライスも使える。考えられた仕様で、よくできていると思う。
遠地出張があったので「久しぶりに PO-33 を使ってみようか」と思ったんだけど、これがすっかり忘れている。思い出しついでに使用法をまとめておこうと思う。
PO-33 K.O! の使い方(パネル解説)
PO シリーズ共通の操作
- 電源ボタンはない、電池を入れて操作をすればオン、放っておくとオフになる。
- 電池を入れると「時間設定」になる。ノブA は「時」、ノブB は「分」。合わせたあらノブ以外のボタンを押して時間を確定する。
- 万が一「アラーム」を設定してしまった場合(笑)、sound + pattern でクロック・アラームを呼び出す。ノブA を左に回し切ると OFF にできる。他のキーで確定。
- ボリュームは bmp m + pad 1-16 で指定する。
- bpm m + ノブB でテンポ指定
- bpm m + ノブA でスイング指定
- 工場出荷時設定にするには、電池を入れる時に pattern + write を同時に押す
PO シリーズ共通の仕様として、再生モードと録音モードがある。再生モードで
・録音モード(エディットまたは書き込みモード):write で Edt と表示(K.O! 右に録音ボタンが点灯)させる。
まず、パネルに何があるかを覚えよう。「そんなものは頭に入っている」、という人は次の 使い方 へ読み飛ばしてくれ。
上部一列:モード選択ボタン
- sound:サンプル・サウンドの操作
- pattern:パターンの「選択」
- bpm m:テンポの選択、押しながら pad 1-16 でマスターボリューム
右一列:機能ボタン
- record:サンプリング用の録音ボタン
- FX:エフェクトボタン、FX + pad 1-16 でエフェクト選択
- play:再生と停止
- write:記録(セーブ)
パッド 1 – 16
パッド(ボタン?)は電卓よろしく 16個ある。なので、サウンド(サンプル)が 16個、パターンが 16個、エフェクトが 16個、という構成になる。
サウンド(サンプル)を扱い場合、パッドは上半分 1 – 8 がメロディ、下半分 9 – 16 がドラム、と用途が分かれている。これは PO-33 特有なので覚えておこう。
PO-33 K.O! マイクロ・サンプラーの使い方(サウンド再生・サンプリング)
サウンドを選択・再生する
PO-33 にどんな音が入っているのかを確認する基本の操作である「サウンド再生」は sound + pad 1-16 。サンプルが格納されている pad は赤い LED が点灯しているはずだ。
sound + pad 1-16 でサウンドを選択して、pad 1-16 を押すと、メロディ系サウンドは音階を、ドラム系サウンドはスライスの再生する。ドラムサウンド(pad 9-16)は「ドラムキット」を選択していると思えばよい。ドラム系サウンドがよく分からないよね。
出荷状態に戻すと 1-4(メロディ / 9-12(ドラム)の計 8種類のサウンドが用意されているようだ。
サンプリングする
なぜ PO-33 が手元に残っているかというと、単にステレオ・サンプラーとして使いたいからだ。なのでパターンを組む、なんてことはほとんどなく、手軽にサンプリングし、ボタンを押してサンプルを再生する、という感じに使っている。そう、PO-33 は非常に簡単にサンプリングができる というのが最大の強みなのだ。ではやってみよう。操作方法は、
なんと簡単な!
もう少し手順を詳しく紹介する。前述の通り、sound を押すと、現在サウンドが格納されている pad は LED が点灯する(点灯はサンプルあり、点滅は現在選ばれているサウンド)。なので、「空いたパッドに録音する」なら、LED が消灯している pad を選択することになる。pad 1-8 はメロディ、9-16 はドラム用のスロットになっている。
pad 5 が空いているならば、record + pad 5 を押し続ける。LINE が接続されていればライン入力に、そうでなければ内蔵マイク(右上にある)での録音になる。
やってみよう。
record + pad 5 を押しながら、「トキオー!」と、ぶやいてみよう。
これで録音が完了。pad 1-16 で再生してみよう。pad 5 はメロディ用スロットなので、音階(的)に再生されるはずだ。
録音はステレオで40秒まで可能だ。メモリの残量はサンプル中に秒数が時計部分に表示される。内蔵マイクを使っていると残量が見えないのはあるあるだ。メモリーオーバーになった部分は録音されない。メモリの残量が足りない場合はサウンドを削除する。
1. sound + pad 1-16 で削除するサウンドを選択する
2. record + sound で選択したウンドを削除する
ドラム系スロットの動作の解説(サンプルのトリミング)
ちょっと分かりにくいのがドラム系スロット(pad 9-16)だ。これを解説する。
ドラム系スロットに録音をすると、PO-33 はまず録音したサンプル自動的に 16分割し、各ボタンに配置する。なので、サンプルの開始・終了位置を調整しなければならない。面倒な気持ちは分かるが、操作は簡単だ(SP-404 mk2 の 3倍の速さで完了できる)。
1. sound + pad 1-16 で調整するサウンドを選択する。
2. fx ボタンで右上の表示が tri になるまでボタンを押す。
3. pad 1-16 で調整するサンプルを選択。
4. ノブAがサンプルのスタートポイント、ノブBが終了ポイントだ。ディスプレイ下部に表示されるバーをみながらトリミングを調整する。
これで pad 1-16 のサウンドを調整すればよし。
ドラムキットを作るなら、ドラムのサウンドを個別に録音していけば良い。Kick / SD / CH / HH と録音してトリミングで微調整すればキットの完成だ。
ループを作るなら、ループを録音してば16分割してくれるので、1小節なら16分音符、4小節なら4分音符のループができあがる(タイミングや長さはトリミングで微調整すればよい)。
PO-33 K.O! マイクロ・サンプラーの使い方(エフェクトの使い方)
エフェクトを紹介しておく。まずフェクトは 2種類ある。1つが FX ボタンを押すことで使えるサウンド・エフェクトと、もう 1つが FX + pad 1-16 でパターン再生時にのみ使うことができるパターン・エフェクトだ。
FX ボタンで tri(トリム) / ton(トーン) / FLt(フィルター)を切替え。
tri:トリム(エフェクトではない)
ton:ノブA がピッチ、ノブB がボリューム
FLt:ノブA がローパス/ハイパス・フィルター、ノブB がレゾナンス
パターンエフェクトは 15種類ある。パターン再生・録音時に使う。録音モードで操作するとエフェクトのオートメーション、コルグでいうモーション・シーケンスのように記録することができる。
パターン再生時に FX + pad 1-16
1. ループ 16
2. ループ 12
3. 短いループ
4. より短いループ
5. ユニゾン
6. ユニゾン(低)
7. 1オクターブ上
8. 1オクターブ下
9. スタッター4
10. スタッター3
11. スクラッチ
12. スクラッチ(高速)
13. 6/8クオンタイズ
14. パターンのリトリガー
15. リバース
16. エフェクトなし
コンパクトセットアップの起点となる手軽なサンプラー
コンピュータで作る音楽はスマートかもしれないが、楽器を演奏する喜びが欲しい。最近、AIRA Coompact や KORG Volca シリーズで(お金持ちは Teenage Engineering OP-1 field で)などコンパクトなセットアップで音楽を楽しむ人が増えている。
OP-33 はピコピコだけではない、ステレオ・サンプラーとして多様なループ、サウンドの起点になる。
Roland SP-404 mk2 もサンプラーなのだが、SP404 はエフェクトとしてセットアップの最後尾に置かれることが多い。今回 PO-33 を引っ張り出してきたのも、モジュラーシンセとのセットアップのためだ。
コンパクト・セットアップの起点になるマイクロ・サンプラー、PO-33 、オススメです。
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