先日、Facebook で「 EWI USB をトランペット運指で」と書いたらコメントやメールで問い合わせが来たので、まとめておきます。
吹奏楽なんぞやっていた人は、THE SQUARE みたいなウィンドシンセサイザーをやってみたいな、と思う人は多いと思うのですが、縦型木管楽器の人は楽器演奏の経験を生かせますが、金管楽器の人は担当楽器がどんなに巧くてもウィンドシンセサイザーについては「リコーダーやったことがある一般生徒レベル」と対して変わりません。なまじ楽器がうまく吹けると「今さらリコーダーレベルかよ」となって気持ちが萎えてしまいます。まぁ、そんなもんです。
しかし、AKAI Professional EWI にはトランペット運指、EVI Valve 運指がある!トランペット(などの3本バルブ運指の楽器)の運指で EWI が吹けるのだっ!
EWI Valve モードとは
元々、AKI EWI がデビューした時は木管楽器タイプの EWI、金管楽器タイプの EVI の2種類があったんですよ。写真手前の AKAI EVI 1000 – Electronic Valve Instruments がそれで、トランペットプレーヤーを想定した EVI には当然ながらセンサーキーは3つしかない。これで全部の音階を表現するのですが、そこで生まれたのが EVI Valve 運指です。
運指方法としては、通常トランペッターが唇で操作している音層(ド#〜ソ、ソ#〜ド)を別の方法で指定します。EVI では下の丸い部分にカチャカチャ操作するコントローラーがあって、それで指定していますが、EVI Valve運指では左指を使います。ド#〜ソの時は左人差し指から薬指の3本を押しっぱなしに、ソ#〜ドでは人差し指を外して中指と薬指だけにします。人差し指を外すだけ。意外に簡単。
問題はオクターブ表現です。オクターブは通常の EWI 同様に、左手親指でオクターブをコントロールします。通常の EWI の運指にもいえることなんでしょうが、ドとド#のトリルとかは運指がめっちゃくちゃ難しいです。ここが難点(というかムリ)。特にトランペットはオクターブ上だと運指も若干シンプルで違うものになるし、いかんせん「上に行ってるぜー!」という気持ちで吹くところを、EWI ではオクターブを上げてまた低い音階キーを使うことになる点に違和感があると思います。
しかし、トランペットのド〜シまでの運指で全部を表現するので、ここは気合と慣れでしょうか。ちなみにドとド#のトリルが異常に大変になることから救済策として、いくつかのキー操作で半音上のキーを鳴らすことも可能です(左手薬指を外す、または小指を押すで半音上のキーになります)。また、トランペットと同様ですが、1+3、つまりレの運指でソを出すことが可能です(左人差し指なし&1+3)。
金管楽器をやらない大多数の人は「なんのこっちゃ」と思うでしょうが、出来る人は「なるほど」と思うのでは。 EWI を吹いている人が目をつぶっているケースは、運指に集中してるんだなぁ、と思います。自分もまだ目を開いては吹けません(笑)。
試してみるなら EWI USB がオススメ
EWI は音源を内蔵しないコントローラーの EWI USB が安くてオススメです。定価で 35,794円、アマゾンで 33,000円程度です。音源は GARRITAN ARIA が付属しています。個人的にはウィンドシンセサイザーらしいサウンドの XT Meledies というプリセットが好きです。リバーブも入っています。 EVI Valve 運指は下記のように設定します。
EWI は吹いていてとにかく楽しい。OMENS OF LOVE や ALL ABOUT YOU くらいすぐ吹けるようになります。スクエアはもちろん、ハープアルパートとか吹いていると楽しいです。「金曜ロードショー」のテーマを吹いても気持ちいいでしょう。ブレッカーブラザーズはムリですね(笑)。キーボードで単音メロディーを入力している音楽制作系の人にもオススメです。また、本格的なトランペット・サックスシミュレートをしたいなら、Sample Modeling の音源シリーズを検討してみて下さい。時々、安売りしてます。
EVI 運指で吹けそうな課題曲も下記に紹介しておきますのでご参考に。
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