AKAI Professional のコンパクト MIDI キーボード、MPK mini Mk3 をレビューする。コンパクトサイズの MIDI キーボードでもダントツに人気がある MPK mini Mk3 だが、グレイモデルをゲットしたので、紹介しておきたい。
現在ではレコーディングハードウェア(&ソフトウェア)の MPC シリーズや Force、EWI の新機種などを発売している AKAI Professional だが、経営再建直後は MIDI キーボード/コントローラーに力を入れた。中でも、MPK mini シリーズは発売当初から人気があり、ユーザの声を取り入れてスペックを着実に更新、最新モデルでは 3世代目を表す Mk3 という名前がついている。
MPK mini Mk3 は 2オクターブ・25鍵ミニキーボードのコンパクトなボディに、8つのベロシティ対応バックライト付きパッド、8個のロータリー・エンコーダーノブ、ピッチベンド・モジュレーション4方向サムスティック、その他便利な機能を凝縮・搭載している。
パッドにしてもノブエンコーダにしても、「一応、小さいの付けてみました」という中途半端なものではなく、しっかりとしたフルサイズのデバイスが搭載されており、その充実したパッケージングが人気の秘密だろう。これだけのものが1万円程度で手に入るというから驚きだ。
では、ハードウェアスペックからみていこう。
AKAI Professional MPK mini Mk3
キーボード部
2オクターブ・25鍵ミニキーボードを搭載している。鍵盤のタッチはミニ鍵盤ながら悪くはない。が、ベロシティのソフトウェア的な設定があまり良くなく、デフォルトではかなり強く弾かないと音が小さくなる印象を持っている人が多いのではないだろうか。これは、AKAI MPK mini mk3 Tips –【ユーザ必見】気持ちよく弾けるようにベロシティカーブを設定する にまとめてあるが、きっちり補正でき、気持ちよく弾ける鍵盤になる。
パッド部
まぁ、ドラムなんて鍵盤で打ち込めるもんだが、パッドがあるのも悪くない。というか、光る部品があるのは気分が上がる、というもんだ。8つのベロシティ対応バックライト付きパッドは AKAI の名に偽りなしの完成度。そしてパッドといえば必要なのが「ベロシティ固定」機能。ちゃんとボタン一発で設定できる FULL LEVEL キーがある。さすがだ。
エンコーダ
モバイル用の MIDI キーボード、実は CME PRO XKey Air 37 がメイン機。実際、コイツの入力性能とコンパクトさのバランスを越える MIDI キーボードは存在しないんだけど、コイツには「ノブ」がない。シンセのエンベロープやフィルターの CUTOFF をグイッとやりたい。実際、これがやりたくって買ったんだ。
この MPK mini Mk3 にはフルサイズのロータリー・エンコーダーノブが搭載されている。MASCHINE のスカスカなノブとは異なり、適度な重さがある。数は8個、もう十分な量だ。このノブが Native Instruments NKS に対応していれば最高なんだけど(MASCHINE のマクロノブが操作できる)、まぁ、今のソフトウェアは MIDI Learn に対応しているから、プリセットがなくても全然大丈夫だ。とにかく、適度な重さ・高級感が実にイイんだ。
その他の機能
ARPEGGIATOR が付いているは基本として、今風なのが NOTE REPEAT 機能だ。ハイハットを32/64部で刻んだりするアレができる。サスティンボタンがあれば最高なんだけどね(ペダル用の端子はある)。
ハードウェアスペック
USB 端子を搭載、そして USB バスパワーで動作する。コードの取回しがスッキリしていい。前モデルの Mk2 から削除されたのは DAW の REC/PLAY ボタンがあるが、これは Mac のキーボードを使えばいい訳で、ないからといって不便ではない。
AKAI の他モデルでは選択できる「Bluetooth 対応」については、半端な Bluetooth 機能ならない方がマシだと思う。Bluetooth は専用ドライバを作るくらいの技術がないと、レイテンシーが激しく弾き心地を台無しにしてしまうからだ。KORG nanoKEY は Bluetooth 接続が可能だが、レイテンシーが激しく弾けたもんじゃなかった。
Mk3 から搭載されたディスプレイも、ベロシティの設定や CC の表示、モード表示など、格段に使いやすさに貢献している。ディスプレイのおかげで製品としての完成度が他社製品より一歩進んだものとなっている。
そして何より、31.8cm x 18.1cm x 4.4cm という最強のパッケージング、本体 750g という軽さが素晴らしい。しっかりキーボードが固定される底面の加工もグッドだ。
iPhone / iPad 対応はどうか
iPhone / iPad への対応はスペックに明記されていないが、動作するようだ。iPhone / iPad というより、Lightning か USB-C か、ということになる。
USB-C を搭載する iPad mini の場合、USB-C に USB ハブを接続し、MPK mini Mk3 を接続する。バスパワーで問題なく動作する。キーボードが使えるだけでなく、例えば、KORG Gadget だとドラム系音源だとパッドがデフォルトでアサインされる。シンセサイザーならばノブが各パラメータにアサインされるが、デフォルトで下部左のノブは CUTOFF にアサインされていて、気持ちよく操作できた。
Lightning の場合、USB 変換だけでなく給電が心配だ。手元にアダプタがないので検証できていないが、Lightning – USB 3カメラアダプタ で接続し、モバイルバッテリーなどの電源を接続することで動作するようだ。
iPad mini でスムーズに使えてしまったので、「KORG Gadget に最適だなぁ」「外出先にはこっちの方がフィットするのか」と思い始めている。USB-C 搭載 iPad にはベストマッチだと思う。
パフォーマンスキーボードとしても最高峰
KORG wavestate native には上部に8つのマクロパラメータがある。AKAI MPK MINI のノブをアサインしたらバッチリだった😆#korg #wavestatenative #akai #mpkmini pic.twitter.com/7SzbBfa7Eg
— takefumi_s 🇺🇦 (@takefumi_s) March 26, 2022
MPC Beats をはじめとするソフトウェア郡も強力だ。自分は使っていないが、DTM 初心者には買ったらすぐ DTM をはじめることができる。1万円を切る価格なんだから、本当にお買い得だと思う。悩む要素がない。
ソフトウェアといえば、専用エディターアプリケーションが存在するんだが、機能が限定的で使う必要もないと思う。一応、AKAI MPK mini mk3 Tips – 専用エディター MPK Mini III Program Editor はここにある で紹介している。
カラーバリエーションは悩むかも。グレーは鍵盤がツヤツヤしていて覗き込むと顔が映るくらい(笑)。ブラックと悩みましたが、MacBook Pro がグレーだったので。カラーを選べるのは嬉しいよね。
YouTube には MPK mini Mk3 で音楽をパフォーマンスしている動画がたくさん上がっている。地味に入力するだけのデバイスとしても優秀だし、パフォーマンスにもカッコいい。死角なしの MIDI キーボードだと思う。
今作っている楽曲は MacBook Pro 14 + AKAI MPK mini Mk3 というセットで作っている。そりゃ、デスクトップの機材と比べれば生産性は比較にならないが、どこでもすぐに楽曲制作にとりかかれるのは魅力だ。MIDI キーボードで悩んでいるなら、この AKAI MPK mini Mk3 で決まりだと思う。
https://t.co/giax7jUIfe
USB タイプB はコネクタが大きくてケーブルがジャマに。
L型 USB ケーブルならばスマート。 pic.twitter.com/KW2sNcx9ik— 波形研究所 気になるニュース😃 (@waveformlab) December 26, 2021
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