BEHRINGER Crave の集中解説の第2回。今回は BEHRINGER Crave のシーケンサー部・アルペジエーター部を紐解きたい。これをマスターすれば PC や DAW、MIDIキーボードなど面倒な配線なくプレイが可能になる。
のに、日本語クイックスタートガイドにはアルペジエータの記載はないし、シーケンサー部も英語のまま。一応、これを読めば十分音が出せるくらいに解説してみようと思う。
BEHRINGER Crave は単体で演奏可能
BEHRINGER Model D や Neutron は優れたアナログシンセサイザーだと思うが、シーケンサーやアルペジエータが搭載されていないので、演奏するときは MIDI や CV でキーボードを接続することになる。が、低価格の Crave にはステップシーケンサー、アルペジエータ、キーボードがビルトインされている。なので、Crave と ACアダプターを持っていけば、どこでも演奏できるのだ。実にグレイト。
BEHRINGER Crave のアルペジエータ
簡単で、すぐに演奏したいあなたのためにアルペジエータから解説する。No. は クイックスタートガイドにあるボタン位置を示す。
アルペジエータを使うのは比較的簡単だ。
- No.27 ARP/SET END を押す
- キーボード部を弾く、または接続された外部キーボードを弾く(和音のアルペジオを鳴らすにはキーボードを和音で弾く)
これだけ。だが、これだとキーボードから手をはなすとアルペジエータが止まってしまう。キーをホールドするには、
- No.27 ARP/SET END を 2回押す(ボタンが点滅する)
- または、ARP モード中に No.25 HOLD/REST を押す
これでキーをホールドした状態でアルペジエータが使える。アルペジエータを流しながら、No.8 CUTOFF や No.10 RESONACE あたりを弄ると楽しいぞ。発音の長さは No.17 DECAY を変化させてみよう。
Crave には8つのアルペジエーターモードがある。黄色のインジケーターが点滅している番号が現在のモード番号を示す。モードの指定は、アルペジエータ使用中に、No.31 SHIFT を押しながら、キーボードの 1,2,3,4,5,6,7,8, を押す。各アルペジエータモードは下記の通りだ。
- Up 1 Octave
- Down 1 Octave
- Up & Down
- Random
- Up 2 Octaves
- Down 2 Octaves
- Up 3 Octaves
- Down 3 Octaves
Crave のアルペジエーター(シーケンサー)が動かない時
シーケンサーやアルペジエーターが動作しない原因は、クロックソースが外部ソースになっているからだ。クロックソースを Internal(内蔵)か Auto にする。BEHRINGER Download Center からシンセ専用ツール synthtribe をダウンロード、USB ケーブルで Mac と Crave を接続して設定を変更するのが早い。このツール、ファームウェアのアップデートもしてくれるので、持っていない人はぜひダウンロードしておこう。
BEHRINGER Crave のシーケンサー
Crave は1パターンあたり 32ステップ、8バンク × 8パターンで、合計 64パターンのシーケンスを扱うことができる。また内蔵キーボードは 8オクターブをカバーしているおり、ベースパターンから高音のアルペジオパターンなど、いろんなことに使える。
また、各ステップにゲート(長さ)、Ratchet(刻み)、グライド、アクセントを指定できる。シーケンステンポはダイヤルで指定できるほか、MIDI シンクにも対応している。結構、高性能なのだ。
ではシーケンサーの操作を覚えてみよう。下記解説は基本的にクイックスタートガイドを元にしている。
シンプルなパターンを作成する
- No.31 SHIF + No.35 KYBD を押し、キーボードモードへ。
- パターンを初期化するには、No.31 SHIF + No.25 HOLD/RESET + No.28 PATTERN/BANK を一緒に押す。
- No.34 REC を押す。キーボード部の 1番目が点滅する。点滅しているところが現在の入力位置だ。
- この状態で 1ステップ目のキーボードを弾く。オクターブは No.35 KYBOD や No.36 STEP キーを押すことで指定でき、No.29 OCTAVE/LOCATION のインジケータで現在のオクターブ位置を確認できる。
- 休符入力は No.25 HOLD/RESET を押す。休符を入力した場合、No.29 LOCATION インジケータの 8番目 が赤色点灯する。
- 上記を繰り返すことでステップ入力を行う。
- ステップのゲートの長さ(音の長さ)は No.24 TEMPO/GATE LENGTH で調節できる。このダイヤルを回すと No.29 LOCATION インジケータが赤く点灯し 1-8 範囲で指定できる。8を設定すると次のノートとのタイになる。次のノートが同音ならば2つのノートがタイでつながって再生される。
- Ratchet(刻み系処理)を指定する場合は、No.31 SHIF + No.22 GLIDE で設定する。No.29 LOCATION インジケータ が黄色く点灯し、1-4 の範囲で指定できる。例えば 4を指定するとノートが4分割される。Ratchet が指定されたノートは No.29 LOCATION インジケータ の 6が点灯する。
- ステップにグライドを指定するには、No.22 GLIDE で指定する。グライドが指定された場合、No.29 LOCATION インジケータ の 5が点灯する。
- アクセントを指定するには、No.26 RESET/ACCENT を押す。アクセントが指定された場合、No.29 LOCATION インジケータ の 7が点灯する。
- No.34 REC を押してパターンの録音が完了する。セーブはされていないが、プレイバックが可能だ。
パターンをセーブする
- パターンをセーブするには、No.31 SHIF + No.33 PLAY/STOP ボタンを 2秒間、編集パターン番号の No.29 LOCATION インジケータ がゆっくりと緑色に点灯するまで押し続ける。
- No.36 STEP でセーブ先の 1-8 のパターンナンバーを選ぶ。
- No.28 PATTERN/BANK + No.36 STEP でセーブするバンクナンバーを指定する。
- No.31 SHIF + No.34 REC でセーブ完了、セーブモードを解除する。
ちょっとややこしいか。まぁ、Roland TB-303 と比べれば同じようなものなんだけど。
シーケンサー・アルペジエーターの同期
シーケンサー・アルペジエーターのクロックシンクは、synthtribe(旧 Behringer SynthTool)でも設定できる。synthtribe は Crave のほか、ベリンガーがリリースしているシンセサイザーの設定やファームウェアの更新ができる。コンピュータが手元にあるならこっちの方が便利だ。
本体操作で行う場合は、セッティングモード No.31 SHIF + No.25 HOLD/RESET + No.30 KEYBOARD 8 を押す。LOCATION インジケータ(テンポ設定のページ位置)の 1(テンポインプットモード)が黄色く点灯するので、No.30 KEYBOARD で下記モードを指定する。もう一度、No.31 SHIF + No.25 HOLD/RESET + No.30 KEYBOARD 8 を押せば、セッティングモードを解除できる。
- TEMPO CV INPUT MODE(CV)
- TEMPO SINGLE CLOCK ADVANCE MODE
- TEMPO DIN SYNC MODE(MIDI)
アルペジエーター、シーケンサーの解説はこれで修了。かなり高度なシーケンスが組めるはずだ。まずはここからはじめてみよう。かなり楽しめるはずだ。
この Crave 解説は連載にする予定。Feedly でフォローしてもらえればありがたいです。
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