Apple News+ アップルの新聞・雑誌サブスクリプションサービスについての考察

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Apple News Magazines についての考察。 Apple News Magazines は米国で準備されているサブスクリプション型のニュース・雑誌サービス。Apple が買収した Texture のサービスをより洗練することで Apple Music に続くサービスカテゴリーの商品として開発が進んでいると言われている。ニュース媒体の Netflix といえばわかりやすいか。

来る 3月 25日の Apple イベントで発表される、と言われている。

Apple News Magazines のビジネスモデル

Wall Street Journal が Apple News Magazines サービス売上の半分を Apple が要求していると報じてから話題になってます。収益モデルは簡単に説明するとこんな感じ。

  • 売上:月額 10ドル × ユーザ数
  • 収益分配:売上の 50% を Apple が取得、残り 50% は実際にユーザが閲覧した記事ボリュームにより各出版社に分配

同じ定額購読型サービスの、Apple Music では売上のおよそ 42% を Apple が得ていると言われている。「結構とってるな」と思う一方、サブスクリプション型サービスはユーザ規模がすべて。激しい競争下で総契約数を増やすべく事業者が費やすプロモーションコストは確かに高いのかもしれない。

Spotify など、フリーミアム型のサービスを提供する事業者や、YouTube のように無料と有料の境目がよく分からないサービス事業者、Amazon Prime のように会員特典のひとつとしてサービスしている事業者もいる。すべては規模をいかに目指すか。その点で国内のサービスはやっぱり規模が小さい。事業売上が小さければ分配する金額も小さい(国内では分配母数も小さいか)ということになる。

新聞・出版社にとってのサブスクリプションモデル

音楽の場合は、レーベル・アーティストという分配で成り立っているようだが、新聞や雑誌の場合はどうなんだろう。

音楽の場合は YouTube に違法にアップロードされていたり、各種音楽配信サービスで無料やそこそこの金額で聴くことができる。著作権者にとっては、「取りっぱぐれ」がある状態だった。既存のダウンロード販売からサブスクリプションモデルへ移行した、ということで、感触としては「販売パートナーがビジネスモデルを増やして(転換して)収益が増えた」という感覚だろう。

新聞・雑誌は無料配信がある一方、新聞・出版社が「有償配信したい」と思っている記事は簡単には流通しない。取りっぱぐれはなく、コンテンツがマーケットを忖度することで炎上やブームを作ることさえでき、自社のコンテンツに対するコントロール欲は強い業界だ。

収益としては、新聞・出版社は既存の紙媒体以外にも販売系としては自社の購読者サービスやポータル・検索サービスへの配信、一部電子書籍事業者への配信などで収益を得ている。また自社媒体に広告を掲載するので、発行部数やブランド力の維持も必要だ。

よって、新しいビジネスモデルの事業者や Apple のような巨大なパートナーとの提携を検討する場合、アディショナルの収入増プランを提示されても、既存の収益源とカニバリを計算できなければ GO が出せない。サブスクリプションサービスでは 50% の Apple の取り分が多い少ないはほとんど意味をなさない。もっと重要なことがある。

新聞社の心配、既存収益モデルとのカニバリ

新聞社の場合は、日々の記事提供という「継続消費」型のモデルなので、一度、流通ラインを軌道に乗せれば安定的な収益源となる。大手新聞社は多くの試行錯誤を経て、やっと自社の収益モデルを安定させている状態。法人利用に加え個人利用化も進み、一息ついている段階でサブスクリプションを提示されたらどうなるか。しかも、月額10ドルだと自社の購読サービスより安価だ。「やっぱ、食われるよなー」と思うだろう。

しかも提供するコンテンツは音楽と違って、ユーザ個人へのカスタマイズやリコメンドなど新たな収益ポイントを作ることも可能で、読者コミュニティとメディア報道の関連性も昨今、いよいよ重要だ。それが Apple に横取りされるのでは長期的にみて媒体の存亡にかかわる。お金さえ手に入ればいい、というのではない側面がある。

強烈に落ち込んでいる雑誌出版社のケース

雑誌社は広告比重が高く、新聞のような定期購読よりも従量比重の高いビジネスモデルでやってきた。日本だと雑誌は発行部数がとんでもない勢いで落ちているけど、いわゆる大衆紙・ブランド紙は既にネットメディアに変質している。新聞より危機感が高くいろんなビジネスモデルにチャレンジしている一方で、どれも決め手になっていないイメージがある。業績が悪いとすぐに編集責任者が変わり、結果、あれやったりこれやったりに見える。

定期購読で成り立っている業界特化誌はともかく、一般雑誌はありとあらゆる電子書籍サービスに入稿しているというのは海外でも同じよう。新聞社に比べれば、昨今のモデルに対応している(乗っかっている)感がある。

既に Texture のようなサービス、日本でも定額購読モデルに雑誌が含まれているように、雑誌出版社はこのようなネット配信モデルへの抵抗は少ないと思われる。「それより、いくらくらい売上るの?」というモードなのではないか。

まずは米国でスタート、大手紙の品ぞろえはどうなるか

というように、自社のビジネスモデルとのカニバリをどうとらえるか(差別化するのか・しないのか)が興味深い。Apple のサービスに乗らないのか。乗るのなら乗るで、どう自社モデルを展開するのか、日本の新聞社も手ぐすねひいて見守っていると思う。

既に自社モデルで成功している New York Times、Wall Street Journal、Washington Post のような一流紙がラインナップに載るのかがポイントか。コンテンツについては強者連合が好きな Apple だから大手紙は絶対そろえてくると思うのだが。Wall Street Journal は Newsstand 時代には参加していたんだけどね。Eddy Cue の腕の見せ所だね。

プラットフォームか、読者とのつながりか。

新聞・雑誌メディアは、ライブ会場で顔を合わせることもないからね。

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コメント

  1. takefumi より:

    発表されました。

    https://www.apple.com/apple-news/

  2. takefumi より:

    New York Times の CEO Mark Thompson が新聞社のスタンスをざっくばらんに説明しています。

    New York Times CEO warns publishers ahead of Apple news launch

    “We tend to be quite leery about the idea of almost habituating people to find our journalism somewhere else,” he told Reuters in an interview on Thursday. “We’re also generically worried about our journalism being scrambled in a kind of Magimix (blender) with everyone else’s journalism.”

    「私達の新聞記事をどこか他の場所で目にさせることを習慣づけようというアイデアに対して、非常に警戒感を抱いている」
    「私達の新聞記事が他社の記事と一緒にブレンダーのごとくミックスされることも懸念している」

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