Propellerhead あらため Reason Studios の新しいソフトウェア音源、Friktion Modeled Strings が実に使いやすそうなので紹介しておく。
Reason は最初のリリースバージョンからのユーザで、あの箱庭感覚が好きでよく使っていたんだけど、Reason 5 あたりから全く使わなくなっていた。数年前に Reason 10 にアップデートしてみたら浦島太郎状態で基本的なルーティングはおろかシーケンサーも満足に使えない有様に。しかし、Reason 11 から Reason の音源やエフェクトが VST3/AU プラグインとして使えるようになったことから、再び使うようになった。
Reason Studios は会社としては順調そうではないけれど、Reason の音源はどれも個性があり面白いので応援するスタンス。なんだけど、コイツ Friktion Modeled Strings はスゴい。
ストリングスのモデリング音源 – Friktion
Friktion Modeled Strings は Reason RACK EXTENSION で動作するストリングスのモデリング音源だ。Reason での利用の他、DAW で使用する場合は Reason の音源と同様、 Reason RACK EXTENSION 経由で使う。
ストリングスというとサンプリング音源が定番だが、単純に音が減衰していくピアノと異なり、ストリングスは音質の違いに加え、演奏技法や強弱表現が豊か。頭の中にあるイメージをうまく再現するためには、いくつもサンプル音源を持っていなければならず、複数持っているけどどれも使いこなせず、結局は好みの音源にトラックが縛られる、なんてことがよくある。
Friktion はフィジカルモデリング音源だ。弦のボウイングやピッチカート、グリッサンドなどストリングス特有の演奏技法、ボディの鳴り・響きに基づく物理モデルを持っており、それを演奏上の表現にあわせてサウンドを生成する。つまり、イメージに合わせて「音作り」することが可能なトリングス音源なのだ。
実際のサウンドサンプルを聴いても、バイオリンやチェロの艶のあるソロ、ストリングスユニットのコードから、ギターや中国の二胡のようなメロディ、はたまた EDM のようなドラム・ベースサウンドまでカバーする。かなり使えるヤツのようだ。
そして価格は $99 と格安だ。が、自分が惹かれた最大の特長は別にある(価格も気になるけど)。
とにかく簡単で使いやすいインターフェイス
波形研究所として最も強調したいのは Friktion はとても簡単に扱える という点だ。
最初に Friktion をみた時、「あ、Reason Studios がまたシンセサイザーを出したのか」と思った。パッと見、アナログシンセのようだ。が、Friktion – Modeled Strings と書いてある。「ん?このインターフェイスでストリングス音源?」「物理モデル?」と思って目に留まったのだ。
弦楽器音源でよくあるのは、MIDIキーコンビネーションで演奏技法を変えるという機能だ。例えば、C#1 を押さえながら弾くとグリッサンド、D#2 を押さえながら弾くとピッチカートやスラップ、G#1 と一緒に弾くとダブル、のようなやつだ。これがソフトウェア音源によってバラバラで個別に覚えなければならなく、面倒で仕方がない。
Friktion にも同様の機能がありそれが特長なのだが、そのキーコンビネーションがインターフェイス下部にハッキリ書かれている。そして、その演奏技法ごとに上部の設定パネルがある、という構成なのだ。
インターフェイスの下部に常時コントロールキーエリアとプレイエリアがキーボードで表示されるし、コントロールキー( C# でトレモロ)を押すと該当する部分の設定エリアのキーマークも点灯するので、弾いているコントロールと関連する設定の位置関係が掴みやすい。
実際に弾いみると分かるが実に弾きやすい。D で通常の Blowing と Pluck(はじく)を切り替える。ここぞというところに A# でグライドを入れる(タイミングは Time のノブをイイ感じに回せばいい)、 B でビブラートだ。
プリセットによってはモジュレーションホイールにサスティンアップがアサインされている。モジュレーションホイールを動かすと、バイオリン奏法でサウンドがのびのびと奏でられ、メロディによりパッションを注げると思う。
Reason Studios の物理モデル・ストリングス音源、Friktion のデモ。モジューレーションによるエクスプレッションが気持ちいい。コントロールはベロシティとモジュレーションホイールのみ。一箇所だけ、グライドコントロールを入れてます。 pic.twitter.com/AjdUHibEn7
— 波形研究所 気になるニュース😃 (@waveformlab) 2020年8月28日
グレイト、実にプレーアブル。弾いていて気持ちがいい。
Fiktion のサウンドは?
サウンドプリセットは、弦楽器の音色を中心としたプリセット、パッドやシンセ、FX まで幅広く収録されている。リリースバージョンとなる Ver.1.0.1 で 140 を越えるプリセットが用意されている。
実際に聴くと、なかなかリアルで使えそうな感じ。前述の通り、実在する楽器をベースとした音色もあるが、単純に実楽器の再現度ではサンプル音源にかなわない。が、楽曲の中でバイオリンらしいリフ・メロディをプレイさせるという使い方では、カナリ美味しく迫れるのではないだろうか。
ストリングス音源、Fiktion by Reason Studio、おススメです。トライアルもあるから、ぜひ試してみて!
・Friktion Modeled Strings – Reason Studios
・Friktion Modeled Strings – SoundCloud
・Friktion Modeled Strings: Getting Started in the Reason Rack – YouTube
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