Rhodes 本家から Rhodes MK8 のバーチャルインストルメント登場・トライアル版配布開始

RECORDING

Rhodes V8

Rhodes 本家が Rhodes のバーチャルインストルメント、THE V8 をリリースした。45日間動作するデモ版も配布されてる。James Smith をフィーチャーしたコンペティションも開催される。提供されるサンプルを活用してトラックを作成、Rhodes MK8 が賞品となっている。

Rhodes THE V8 VIRTUAL INSTRUMENT

Rhodes V8

THE V8 は Rhodes MK8 Electric Piano を再現したソフトウェア音源。この記事の執筆時点ではコンペティションのページがあるだけで、製品紹介ページは公開されていないようだ。James Smith をフィーチャーしたコンペティションサイトでは Rhodes THE V8 のデモ版が配布されている。

トライアル版でダウンロードされるサンプルサイズは 13GB、インストール後に生成されるファイルはプラグイン本体を別にしてライブラリ部で 21GB 強。まぁまぁ、ディスク容量が必要。プラグインフォーマットは AAX、VST、VST3、AudioUnits に対応している。

デモ版として実行されるのは Rhodes V8 PRO BETA。プロ版だからか、設定できるパラメータは非常に多い。

Rhodes V8 MAIN
Rhodes V8 DETAIL

まずパネル前面だが、実機 Rhodes MK8 と同様に PREAMP、EQUALIZER、VARI-PAN、COMP、CHORUS、PHASER、DELAY が並ぶ。この MAIN パネルに加え、DETAIL パネルでは、チューニング!!や、メカニカルノイズ、音質・ベロシティ調整や各種エフェクターの詳細パラメータが並ぶ。特にアンプキャビネット(RHodes キャビネット、ジャズコーラス、フェンダーアンプなど)やマイクは選択が可能だ。

Rhodes MK8 は単体でかなりの音作りが出来て、様々な音楽ジャンルに対応できるのが特長なんだけど、ソフトウェアだけにアンプキャビネットやマイクも選択可能で、キャビネットによっては音のキャラクターがかなり変化する。

RhodesV8 Profile
Rhodes V8 SETUP

そして、Rhodes のハードウェアとしてのコンディションをコントロールする PROFILE が 15種類ほど用意されていて、LEVEL / DAMPER / FINE TUNE / TIMBRE などの各種サンプルのブレンドを設定することができる。これで、Rhodes のハードウェアとしての経年変化や調整具合を再現できる。

これまでにもオルガンなど、経年劣化を反映できるソフトはあったけど、ヘタったハンマーアクションなどの項目もあり、マルチサンプリングながら面白い。キーごとにレベルを変えると、Rhodes 特有のスケールを弾くと各音の強弱が異なり、パタパタした感じになる。1つの鍵盤だけ壊れたような設定もできる(実機あるある)。

エフェクターを数多く用意するのではなく、シンプルに Rhodes の楽器としての出音に影響を与える部分にフォーカスしているので、分かりやすいし好感が持てる。

musicradar : The Rhodes V8 is a plugin emulation of the MK8 electric piano によると、THE V8 はスタンダードとプロの 2つのバージョンで提供されるという。

Rhodes THE V8 弾いてみた感じ

Rhodes MK8 のダイヤルは二重構造

Rhodes MK8 のダイヤルは二重構造

これ実際の試し弾きを配信とかした方が分かりやすいのかなぁ、弾いてみた感じは実にいい。

Rhodes はまぁまぁ、種類を弾いているけど、Rhodes MK8 は弾いたことがないので実機の再現度は分からない(本家が出しているんだから、ホンモノといえば本物なんだけど)。

まず、「素」の状態にするためにダイヤルを回さないといけないのが実機通りだ。初期パッチくらい用意していて欲しいのだが、実機もまずはトーンダイヤルをニュートラルにするところから始めるので、リアルではある。

エフェクターを全部切った V8(PROFILE は MK8 Default Factory Setup)は実におとなしい。ホッとするような音色。音は太くて好感触。音の途切れ方がリアルだ。

MK8 の実機は分からないが、Rhodes MK7 のような「途中からハンマーの打鍵音がガラリと変わりますー」なところはない。綺麗に全域で同じような音色で弾くことができる。そして低音部は少しブーミーなところもイイ。ベースとコードを弾いた時のワクワク度がアガる。

まずコンプをいれてみる。もう、音がグッと前に来る。バンド演奏ならコンプだな!と思う。

Rhodes のエフェクターノブは、2重構造になっていて、例えばモジュレーション系は下部外側が DEPTH、上部内側が RATE になっている。これは本当に使いやすい。盤面もノブ数も減らせるし、ライブ演奏時に不用意に DEPTH を触ってしまうこともない。

コーラスを入れてみる。うん、実にイイ。コーラスの御供はパンだ。左右の揺れをサイン波にすると音像が美しく揺れる。いいねー。コーラスを切ってフェイザーを入れる。うん、なるほど。コード弾きにいいなぁ。

って、全然伝わらないね(笑)。

残念なのはプリセットが結構、使えない。でも、実機同様に自分でノブを回せば問題ない。Rhodes で出来ることは網羅されているので、ダイヤルを回して追求していけば良い。トライアルバージョンは BETA だが、ペダルでたくさんのサンプルを再生した際に音が途切れる(発音が終わってしまう)ことが数回、起きている。

あと、読み込みが意外に軽い。Rhodes やピアノを楽曲制作時の基本キーボードにしているので、思いついた時にすぐ立ち上がる方がいいんだけど(モデリングの Lounge Lizard EP-4 を使うのはこれが理由)、V8 は軽いのがいいね。

V8 は $180 程度で、V8 Pro はさらに $120 上乗せくらいで出るのではないか、という予想。Rhodes の音源は既にたくさん持っているんだけど、MK8 は持っていないのと、やはり本家ということで買っておいた方がいいかな。価格にもよるけど、これはイイと思います。


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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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