GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS Vol.3

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夏のトラックメイク・バトル GADGET SONIC 2023 を振り返ります。GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS の第3回です。第3週、8/12~18エントリー分(61曲)をカバーします。では、いってみましょう!

GADGET SONIC WAVEFORM LAB PICKS

今年も GADGET SONIC GREEN / RED / BLUE の 3ステージでの BEST OF SONIC、SONIC OF THE YEAR が選出されました。

BEST OF SONIC、SONIC OF THE YEAR には選評として楽曲に対するコメントがついていると思います。やはり作った曲にフィードバックがある、というのは嬉しいものです。「フィードバックって本当に大事だよな」と思う次第。ならば、自分も積極的にフィードバックするのもいいかな、と思い、GADGET SONIC 2022 WAVEFORM LAB PICKS をお届けしようと思います。

GADGET SONIC WAVEFORM LAB PICKS は受賞作品とは関係なく、全応募作品 から、あくまで私個人が「いいな」「ほう、これは!」と思ってコメント、制作者の苦労をねぎらい賞賛するもの。ランキングのような優劣はつけず、応募作品ページの順番にピックしていきます(コメントがなかった作品はごめんなさいね)。

お互い、「面白い」「ここがいいねー」なんて作品があったら、コメントつけてあげましょう。ギブ&ギブですよ。

GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS – Vol.3

djhichannel「Sympathetic Piece」

ご機嫌なフューチャートラックだね。特にベースの入りで期待感が膨らむ。1バースの展開モノだけど、こういうものは楽曲の雰囲気と展開ギミックがポイント。雰囲気は抜群なので、展開に期待します。YouTube 作品で KORG Gadget のプロジェクトを動画に使っているんだけど、プロジェクトの作り始めの頃の名残なのか、エレピがパッドだったりオルガンが全然シンセだったりというところに笑った。あとパターンミュートを使ってるんだね。そういう技があるの知らなかった。展開系をリアルで操作する時とか便利そう。

8598 a.k.a. 栄國屋「Take a little breather, Speedrunner.」

今日はスタジオヘッドフォンで作業をしているんだけど、この楽曲の繊細な作りはヘッドフォン推奨だ。静かに鳴るベースがとにかくイイ。コード感が出現して楽曲の骨子が見えてくるんだけど、そのままクールダウン。アルペジオだけになるんだけど、そのアルペジオがまたいいサウンド。ブレイク後もキックを入れずに抑制の効いた進行。少しアンビエントな楽曲。こういう楽曲は最近の GADGET SONIC では少数派になったのかも。自分はどちらかということ、こういう楽曲モチーフを大量に作っているので、応援です。

Internet Neko_chan / Meme_chan【メメチャン】「Sunset with Glitch Neko chan🏙️」

楽曲にネコ動画をつけているのではなく、ネコ動画に音楽を添えているんではないか、という一連の作品。このショートもピック。なかなかのセンス。

kubonnu「シャカイノマド~Social window~」

いや、別に変拍子を期待して聴いてるわけではないんですよ。でも、「珍しくほとんど変拍子入ってません!」って読んでから楽曲スタートすると、「おいおい、いきなり来てるじゃん!」ってお思っちゃう(笑)。バトルものっぽい緊張感のある進行で、ヴァイオリンがいい感じ。シンセで刻んでパッドがストリングスって人が多いけど、kubonnu さんはストリングスで刻むんだ。ドラムの打ち込みが凄いよね。

kowloonet「Alte Schachtel」

どことなく YMO を感じる。解説を読む限り7つの音源しか使っていないのかな。各音源のサウンドチョイスが秀逸。カチャカチャいってるリズムトラックがイイ。ベースパターンも面白い。こういうシンセでメロディというのはなかなか作れないもんなんだけどね。やはり短いかな。もう少しアイデアを聴きたい。

KeterBear「Crepusculum」

KeterBear さんらしい世界観のある美しい楽曲。疾走もしないし、泣かせる節回しもみられないこの楽曲は本当に丁寧に聴いて欲しい。ピアノのアレンジはものすごく繊細だし、その後ろで本当にわずかに鳴っているクワイアみたいなものも鳴らしっぱなしじゃないんだ。スクラッチっぽい SE やグラスハープなどのサウンドチョイス、ストリングスも一時(いっとき)しか現れない。ピアノのアルペジオは中段になったり高段になったり。そして様々な楽器がメロディを奏でる。ひとつひとつ全ての音を作ってる意味があり、意志がある。楽曲に取り組む姿勢・音のまとめ方の姿勢を見習うべき逸品。

Sean Winter「foxy」

少しテンポを落としてキック、そしてタイトなスネアが気持ちい。グルーブは格別。体が動くというか。7:51 という長尺ながら展開が多彩で最後まで一気に聴き込める。Sean Winter さんの楽曲は演奏者向けというか、ソロ展開で進行する楽曲なんだけど、こういう楽曲を聴くと自分は即興でソロをとっちゃうんだよね、癖で。なんだけど、ガンガンにコードが変わるから「おいおいっ」っていう楽しみ方ができる。プレイ志向。メロディとかも勝手にハモリたくなる。隙がなさそうだけど、そういうマージンが確保されている。

あこぎ屋「Skyscraper」

セガのゲームミュージックみたいだね。こういうの好きだな。これ、Switch で作ってるの?途中でジョインするギターが抜群にカッコイイじゃない!途中の刻むところなんか最高。あれ、何を使ってるの?ドラム・ベースも「ゲーム基盤」を感じる。世界観もハードで KORG GADGET でよく作ってる。凄い。

Fxolingz「euforium」

たぶん動画みたみんなが感じていると思うから伝えておくよ。最初にカラの 2小節って(笑)。楽曲は少しスノッブな感じがするチューン、ニューロマンティクスが懐かしい。ベースがやたらに動いていてグレイトなんだけど、これ iPhone で作ってるんでしょ。凄いよね。メロディがアンニュイ感じでいいね。サウンドのチョイスもいいし、ディレイの効いた各サウンドも素敵だ。夏の最後の雰囲気にマッチした選曲だと思ったよ。

mistyminds「Nighttide Metropolis」

いきなりエフェクトが効いたリズム、そして続く大人なコード。ビデオがオシャレなんだけど、あれも作ってるの?雰囲気とサウンドが抜群なんだけど、もう少し展開が聴きたいけど、この楽曲はこれで完成しているんだろうね(いろいろ付けちゃうとダメになるのかも)。アルバムの 1曲目でワクワク感を煽る曲なのかも。

RedStoneBridge「Black Object/黒いオブジェ」

普通にロックしてるじゃん。凄いね。おお、シャウトも入ったよ!ギターサウンドの左右振りで聴きやすい。ボーカルいいね。ボーカルというと本人直接な表現になってしまうんだけど(シンセいいね、というのとは少し違う)、けど、ボーカルいいね。ロックです。

potatomahawk(ぽてまほ)「Zero Trust」

これは力作だね。あぁ、この楽曲が GREEN FIELD の BEST OF SONIC なのか。WAVEFORM LAB PICKS では本家の受賞のバイアスを受けないように選考結果を見ないようにしているんだけど、Twitter でまわったフライアーで「potatomahawk(ぽてまほ)さんが受賞したな」と分かっていたので、調べるとやはり。これは受賞するでしょう。

ハイスピード、テンポチェンジあり、転調あり、で凄い楽曲なんだけど、個人的にはなぜこういう楽曲を作ることになったのか、作っている時にどんなことを考えていたのかを想像せずにいられない。イントロからすぐに新しいアイデアに接続、疾走するビートにクワイヤとチューブラー、トリルの合唱に楔のようなリズムがズレていく。電卓を使いながらバスドラのタイミングを算出して入力しまくる。そしてそれが新しいマーチの基礎につながっていく。これは作っていて興奮するだろうね。人生に何回くらいこういう楽曲制作を体験できるのか。

Pheny「LETHAL IRREGULARITY」

Pheny さんの楽曲は出現度が高いね。1シーズンに何曲も応募しているから余計に。楽曲の見せ方や展開やブレイク、ギミックなどの地雷を全部踏んで歩いた感じがする。楽曲としてはシリアスでかつワイルドな一面も持っている。途中のワイルドシーンはエフェクトが丁寧。ブレイク後のピアノ部は「?」な左手の動きをするんだけど、次のメロディにつながるんだね。なるほど。オンテンポ直前の息継ぎもよい。アイデアに溢れる楽曲。

tominagayuki「Actual」

ちょっと長いけど、音響系な素敵な楽曲。前述ピックした楽曲紹介にも書いたけど、丁寧な作り。ひとつひとつ響きを確認しながら作っていく。美術館で絵画を眺める時にはこの曲を延々と聴きたい。ピックしておく。

WARYU「after the fest」

このピックは楽曲を順番に聴いてピックしているように感じているかもしれないけど(そうなんだけど)、楽曲の雰囲気・流れも意識しているんだ。少しクールダウンしたエリアを続ける。WARYU さんらしい世界観のある楽曲。夏のとある瞬間、こういう幻のような領域に迷い込むことはないか?静かに時間が流れるのを見守っていくのもいい。中間部の歪んだコードを聴いてみよう。そういうことだよ。

八岐大蛇「処暑」

静かな夏の風景が続く。ミニマルな小さい曲がり角のような楽曲。そう、ジャケット写真のような風景を思い浮かべてたよ、凄い。ピアノのモチーフがいい。いいコード進行だ。

TooLayer「Speed Drama」

いい流れだ。ドリーミーながらテンポがある。ハイハットのフラムが気持ちいい。循環するコードに自由なベースが絡む。スペーシーなシンセ、宇宙との交信。続く、melancholy of the beast の流れで聴きたい。

Penguin Robot「Pacific Ocean」

スペーシーな流れ、少しグルーブを取り戻そう。重厚なグルーブにハイハットが気持ちいい。マッシブなプロセスがじっくりと進行する。

st.fe「月下美人」

ピックボリューム3を締めくくるのは、ビッグなビートの流れを受け継ぐのこの楽曲。ジャパナイズされたドラムンベース。オリエンタルなスケールにビッグなサウンドが組み合わさる。中間部の音の広がりで一挙に景色が開ける。そして、ベースラインが狂っている。グレイト。

さて次回は 4期の楽曲をピックしていきます。


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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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