GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS – Vol.4

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WAVEFORM LAB PICKS 最終回は、エントリー 4期(64曲)からピックしていきます。

GADGET SONIC WAVEFORM LAB PICKS

今年も GADGET SONIC GREEN / RED / BLUE の 3ステージでの BEST OF SONIC、SONIC OF THE YEAR が選出されました。

BEST OF SONIC、SONIC OF THE YEAR には選評として楽曲に対するコメントがついていると思います。やはり作った曲にフィードバックがある、というのは嬉しいものです。「フィードバックって本当に大事だよな」と思う次第。ならば、自分も積極的にフィードバックするのもいいかな、と思い、GADGET SONIC 2022 WAVEFORM LAB PICKS をお届けしようと思います。

GADGET SONIC WAVEFORM LAB PICKS は受賞作品とは関係なく、全応募作品 から、あくまで私個人が「いいな」「ほう、これは!」と思ってコメント、制作者の苦労をねぎらい賞賛するもの。ランキングのような優劣はつけず、応募作品ページの順番にピックしていきます(コメントがなかった作品はごめんなさいね)。

お互い、「面白い」「ここがいいねー」なんて作品があったら、コメントつけてあげましょう。ギブ&ギブですよ。

GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS – Vol.4

Sustainable Privacy「Keep or Break 良いモノも悪いモノも」

WAVEFORM LAB PICKS Vol.4 はテクノっぽいものからスタート。ロックイットっぽい楽曲。こういう「機械がやってます」系のアレンジは単調になりがちなんだけど、楽曲の構成を曖昧にすることで面白い仕上がりになってる。耳がパターンを追うと「あれ?」となるギミックが面白い。時々現れるコードヒットが印象的。Sustainable Privacy さんの楽曲としては、Math Emotions コオウスルココロ も面白いんだけど、迷ってこっちをピックしておく。

simizy「lights loops」

音のチョイスがイイ。アルペジオも色んな音が組合せられていて面白い。ライト・ループスか。タイトルにマッチしたサウンドだね!ワンアイディアで押し切るのも潔くて良い。モチーフの提示だけではなく、ちゃんと楽曲として成り立っている。最後に楽曲まで持っていくことに意味があると思っている派です。

simizy「Digital Neanderthals」

チャレンジングだよ、この楽曲。頭の中がどうなってるのか、おもちゃ箱がひっくり返った感じの面白さにあふれる楽曲。中毒性のあるメロディは音程がズレていたり微妙にスライドかかってたり、スッカスカのドラム、グリッサンド入ったり、もう世界観が凄い。何回聴いても面白い、ハマる。常習性がある音楽を作れるというのは才能。

WARYU「one’s way home at night」

ちょっと短いフレーズモチーフ。アイデアが面白い上に、短いのにガツンとノレるグルーヴ。スケッチブックをのぞき見したような面白さがある。短いモチーフだとアイデア勝負になるから難しい。この楽曲はキラリと光るアイデアが秀逸だったのでピック。短い楽曲には光るものを求める派です。

yn「‘Echoes’ lofi chill beat#01」

クールなアイデアに続くこの曲は晩夏を思わせるトラック。シンプルでちっちゃい感じのピアノが2声でメロディをリードする。そのメロディがどことなく懐かしい。こういう雰囲気、感じたことある。ミックスも少し変わっている。例えばメロディは右寄り、パッドは左でしか鳴ってなかったりする。この変わったミックスが曲のアイキャッチとして機能している。これを普通のバランスで作ると間違いなく「普通」な楽曲になっていただろう。そう思う。

thickone「GS2023 “Historical Panel” with my Phone」

おお、thickone 氏トレードマークのあのスキャット、久しぶりに聴いたよ(笑)。thickone さんも iPhone で作り続けているんだよね。音のバランスがやはり凄い。あと、チルなスロー・グルーブとすることなく、出たり入ったりするリズム系あたり、通だなぁと思う。この人に「短い」「長い」はもはやない。いくつものトラックを世の中にぶつけていく方法がスタイルとして完成している。

cage_「Windy Work」

おお、cage_氏。ラブリーな楽曲。学校の先輩、テイトウワのようなファンシーな楽曲。オルガンっぽいコードモチーフが少し変則で面白味を出している。そしてたまに絡むチャイムやスペーシーなシンセ。でもあのコードモチーフから、このような楽曲になるかね。あぁ、こういうのも作れるようになりたいが、今回の人生ではムリそうだ。でも、あきらめないぞ。

xxkadotani「Out Of The Void」

いいね、ラップ。ベースとなるモチーフ、あのガジェットの音色ね。この楽曲、構成も面白い。実にキャッチだ。ラップパートとサビパターンをしっかり分けて、ラップはいくつかのプリセットに分けたり、サビはダブルにするとかすると、とんでもなく凄い楽曲になるんじゃないか。KORG Gadget だと限界があるのかもしれないけど、音圧ミックスとかも組合せて完成度を上げると、ヤバい曲になるよ、絶対。ぜひ、DAW で作りこんだバージョンを作って欲しい!

masamifresh「Buzz of summer」

これずいぶん音が太いね。低音がガンガンくるんだけど飽和していない。むしろスペースがある。たまに顔を出す左右に振られたブン系のサウンドもイイ。ノーコードなんだけど一気に聴ける。中盤の展開なんてぶっ飛ぶよ。凄い。最高にイカしてる。センスがいいんだろうね。間違いなくピック。

KOBABOO「Grace and Supple」

これまた、KOBABOO氏らしい世界観。自由度が限界点をうろうろしている。しかも、各パートが自由奔放と思いきや、ちゃんとまとまるところは協力する。中盤まで聴くとしっかりとしたメロディモチーフが分かるんだが、それを理解した上で最初から聴き返すとイントロが結構、衝撃的だ。マーチングチームがバラバラにいろんなところから集結して、音楽を奏でてはまたバラバラに散っていくというか。サウンドもオケあり、シンセあり、楽しい楽曲だ!

GORIN gorin「FAIR B 146」

この楽曲は KORG GADGET の使い方としてイカしている。1バースのリピートものなんだけど、小節数の違うパターンが不思議と絡み合う。狙って出来るものではないんだけど、狙わないとできない。あ、逆だ。狙ってもなかなか出来るもんじゃない。楽曲としてもアンニュい、アンビエントなループが聴いていて気持ちいい。ブラックジャックの強いカードマッチのようなプロジェクト。凄いね。

Imori(イモリ)「Happy Celebratiooon」

これかなりの問題作。イノセントで実にハッピーなセレブレーションなんだけど作りがエグいほどに職人過ぎる。どうしたんだ。この隙のないアレンジ、聴き逃せないクリエーターが多いのではないだろうか。見せてる顔とプロジェクトの作りの差がエグい。素通りできずにおそるおそるピック。

necobit(ねこびっと)「見上げてごらん、惑星の底から。 You can’t just leave this planet.」

EL&P のようなイントロに続いて、仰ぎ歌い上げる宇宙(そら)の賛歌。分かる、分かるよ、その感じ。スタンリーキューブリックの映像を使いたい。広い宇宙、我々は孤独。

xxkadotani「Pop Stream」

爽やかで気持ちのいいトラックだね。シンセのリフがイカしてる。このリフパターンが心地いいのだが、全体観点からは「楽曲がいい」。音作りも好きだ。自分だったらアウトロだけで3分作れるゴージャスさ。さきほどのラップ・歌ものの楽曲と一緒で、ミックスで磨きたいトラック。

Taiki overthere「BATT」

AKAI MPC で作ってそうなラップ・トラック。グルーヴが歌詞にマッチして不安定。ハイハットもリズムを刻まずに空間を刻んでいる。その印象はグルーミーだ。極私的なテーマを楽曲に変換。

Swenzy Kong Yosh「そんな夏の日 feat. GUMI」

わ、今度は歌モノだ。Swenzy さんのファンシーな楽曲。なんか欧州っぽい。楽曲のカラーやイメージがあっても、歌詞は書かないといけないからね、凄いよね。Swenzy さんといえばエレピソロが聴きたい。

ろわいてぃ〜「kleeblatt(Instrumental)」

制作が全く間に合わなかったみたい。正直なところピアノ単音でメロディをとるのは好きではない。でも、歌入れの仮トラックとして楽曲全体で俯瞰すると、いい曲なんだこれが。中盤のピアノコードリズムも光る、終盤の伸びやかさなど、これが 100% 完成したらどんなに素敵なんだろう、と思わずにいられない楽曲。仮縫いでもアイデアは伝わる。やはりアウトプットすることは大切なんだね。

Moai b「Shalala」

スタイリッシュなアシッドトラック。たぶん自分と同じあたりの音楽。でもリリックが楽曲の面白さを際立たせている。たまに出現するエレピがカコイイ。なにかも無視してシャララのスタンス。

KeterBear「残夏」

WAVEFORM LAB PICKS はこれまでずっと「順番に」トラックをピックしてきた。だけど、この夏はこの楽曲で締めくくりたい。イントロ、KeterBear 氏がエレピではじめている。虫の鳴き声が日本の夏が終わりを告げている。みなさんにとって今年の夏はどのような夏だったろうか。ここ数十年でとびきり暑かった夏。この楽曲はには明確な主旋律がなくコードで景色を見せていく。みんなの心の中にはどんなメロディが流れているんだろうか。それぞれの夏は今、終わっていく。

WAVEFORM LAB PICKS についての総評

GADGET SONIC 2023 に参加したみなさん、本当にお疲れさまでした。今年私は参加しませんでしたが、参加したみなさんが素晴らしい。楽曲を紹介しながら少し惨めな想いをしていました。やはりクリエーターは楽曲を作ってナンボです。

さて、WAVEFORM LAB PICKS についての総評です。みなさんの楽曲についての総評ではなくて(そんな偉そうな話ではない)、今年はピックの傾向に気付きがあったのでシェアしておこうと思います。この WAVEFORM LAB PICKS も 3回目を迎えました。多くの楽曲がピックされているのに自分の楽曲がとりあげられないと、残念な気持ちになりますよね。このピックは波形研究所長である自分の趣味にマッチしたものだけがピックされているので、「あいつの趣味はしょうがねーな」くらいに思っておいて欲しい。

今年のピックで感じたのは、楽曲としてはしっかり完成しているのにピックしない楽曲がたくさんあったな、ということ。はじめてトラックを作った人の作品でも「しっかりとした楽曲になっているな」と思うものが多数ありました。昨年までなら確実にピックしているだろうに、「これピックしないで大丈夫かな」なんて思うことがたびたびありました。

では、どのような楽曲がピックされたのか。ホント、今年ピックしたものを通して聴いて欲しいんだけど、それは、楽曲としてのアイデア・クリエーターの個性が光る楽曲 だったということです。同じ音楽制作クリエーターである自分に「これはどうだ」「こういうのは面白くないか」「こういうのが自分は楽しいんだ」と投げかけてくる作品に、カウンター・レスポンスとしてピックし賛辞する、という感覚でピックが進みました。

総じてレベルは上がっているのに加え、自分でないと誰も作らないモノを作ることが大切なんだな、と思い知らされました。今年は 62曲をピックしました。サンクラ分だけですが、プレイリストを作っておきました。ぜひ、ご利用くださいませ。

運営のみなさん、今年も多くの人に素晴らしい夏を提供しましたね。感謝します。では、来年の夏にまたお会いしましょう!

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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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