KORG Gadget の改善・新規機能の希望(まとめ)

RECORDING


夏の音楽制作イベント、GADGET SONIC 2022 への応募もなんとか終わった。今回はテンポ 170 のハッピーなテクノを応募しようと思っていたのだが、形にしておかなければならない楽曲を優先した。バンドで演るタイプの曲なので、KORG Gadget ではなかなか限界あったけど、まぁ、なんとか。

久しぶりに KORG Gadget を使ったんだけど、実は Gadget は年に 1回しか使わない。この GADGET SONIC の時だけだ。

KORG Gadget が嫌いな訳ではない。むしろ大好きだ!音源はどれもクオリティ高く使っていて楽しいし、思ったイメージを形にするには最も速い DAW だと思う。間違いない。

でもね。KORG Gadget で楽曲をちゃんと仕上げるのは、もう本当に苦痛でしかない、悪いけど。

GADGET SONIC の楽曲制作で Gadget の操作性にウンザリして、「あー、もうここまでかな、このソフトで追い込めるのは」と投げ出したくなるこの記憶・イメージが強くて普段は使わない。

でも久しぶりに触ると楽しい。もったいない。

今年、KORG Gadget で楽曲を制作してみてわかったんだけど、KORG Gadget が DAW に向かないのは、機能が足らないのではなく、今ある機能の実装がイマイチだからだ と思う。KORG Gadget 3 が出るのか分からないけど、ファンとし論評するだけではなく、改善点をまとめておこうと思う。

KORG Gadget 改善希望ポイント

ということで、勝手に KORG Gadget 改善希望ポイントを解説します。開発者の方が読んでくれる可能性は非常に低いけど(笑)。個人的な優先順位順に書きます。

  1. Undo / Redo がメチャクチャ
  2. KORG Gadget を使っていて全くもって心が折れそうになるのがこれだ。MIDI ノートの編集をした際に Undo をすると、とんでもないところまで戻ってしまう。Undo に期待するのは「1回分の操作を戻ること」であって、「少し前に戻る」ことではない。ノートを移動したり、不意にノートを記載した際に「あ、間違えた!」って Undo すると、とんでもないことになる。本当にこれがダメ。

    どんな作りになっているのか分からないけど、OS が提供する Undo API を使っているのかね。オブジェクト変更の認識の問題か?

    Undo でどんな操作が遡れるのかも分からない。右上のノート編集エリアでの操作だけなのか、音源のパラメータやミキサー部にあるエフェクトのパラメータも Undo できるのか。Undo したけど何が変わったかが分からない時も。

    ここを本当に作り直してくれれば、KORG Gadget での編集が苦痛になることはないと思う。

  3. オートメーションにガイドがない / 編集数値が分からない
  4. ベロシティほか、オートメーション編集の数値ガイドがない。「ベロシティを 110 にしよう」「ボリュームを -3 にしよう」ということができない。オートメーション編集画面の左列に数値の目安を入れるだけでいい。

    このオートメーションのガイドがない問題は Pitch Bend や Pan など致命的だ。中央の 0 ポイントが分からないからだ。難しい話ではないと思うが。

  5. パターンコピーでコピーされる情報
  6. KORG Gadget で便利なのはパターンコピーがとても簡単だからだ。「ストリングスの白玉パターンをコピってアルペジオシンセに」なんてことが簡単にできる。パターンコピーは KORG Gadget が一番やりやすい。しかし、「何がコピーされるのか」は不明だ。

    最も問題なのは Damper 情報がコピーされないことだ。ピアノ(Salzberg)のパターンを Rhodes(Montreal)にコピーする。最もありそうなケースだ。これがうまくいかない。ペダル情報がコピーされないからだ。ペダル情報は自分で書き直すことになる。

    MIDI としての基本情報(ノート、ベロシティ、ダンパー、ピッチベンド、モジュレーションなど)はどのインストルメントにもコピーされるようにして欲しい。

  7. 負荷が上がるとタイミングがズレる
  8. サンプルアキュレイトではないにせよ、負荷が高くなるとタイミングがズレる音源がいくつかある。しかも、オーディオバウンスでもズレる。レンダリング時点でズレているからフリーズも効かない。例えば、Fairbanks だ。ノートはともかく、再生するオーディオ内のタイミングがコントロールできないとすると、ウェーブテーブル系音源が信用できなくなる。

    最低限、バウンス時のレンダリングのタイミングは合わせて欲しい。

  9. マスタートラックにオートメーションを
  10. マスタートラックにオートメーションがないので、フェードアウト処理が大変で仕方がない。

  11. ノート編集ツールの改善
  12. おそらく iPhone / iPad や Switch 対応だからだと思うけど、ノート編集ツール「 Draw / Select 」が直感的ではない。いちいちツールを指定しなおさないとダメだ。特にノート選択はうまく意図した通りに動かないと感じている人が多いと思う。編集ツールにもうひとつ「 Auto 」を足してみてはどうか。

  13. オートメーションの編集操作
  14. 「ダンパーのこの部分をカットしたい」という時に、思ったところとは異なる部分が編集される。ダンパーやボリュームのオートメーションはアクティブな時の状態を面積的に表示してくれているが、実際には MIDI なのでタイミング情報なんだろう。だからこの部分を 32部音符分カットしたいと思って編集してもガッツリ消えたりする。

  15. CPU ピークメーター
  16. 意外に難しいんですかね。CPU ピークメータが欲しい。音源のフリーズで負荷を下げるなどの目安にしたい。

  17. Zurich をサンプラーに
  18. オーディオトラックはあまり得意ではないよね。Zurich はサンプラーというよりレコーダー。オーディオを取り込む際に鳴らすタイミングを操作できない。せめて再生スタートのタイミングを編集できるとありがたい。

  19. M1 で落ちる / 負荷が高いと落ちる
  20. M1 プロセッサではガンガン落ちますよね。あと、負荷が高い時に Darwin のプリセットを選ぼうとしたりすると落ちますよね。

ここからは「できれば修正して欲しい」ところを。

  • 再生を停止した際には全ノートオフに
  • 再生を停止した際にダンパーが踏まれていると音が鳴りっぱなしになる。またはノートエンド指示がない音源は鳴りっぱなしになる。再生をとめたら全ノートオフにする。

  • ウィンドウ位置を覚える
  • KORG Gadget にはミキサーのみ、ミキサーと音源半分、音源のみ、の表示レイアウトがある。ミキサーと音源半分でユーザが表示領域を調整したら、その位置を覚えておいて欲しい。これ、時々忘れますよね。

    あと、ノート編集の画面位置やオートメーション編集のスクロール位置も覚えておいて欲しい。音源をいったりきたりしてオートメーションやノートを整える作業をする際に大変なので。

  • ミキサーのトラック表示とトラック名称
  • ミキサー画面でのトラックナンバーは上部に表示されているけど、これを音源アイコンの上下あたりにも表示して欲しい。トラック名称も自分で設定したい(「シンセパッド」など)。Scene の名称を変更できるのは助かってます。

  • WAVESTATION に SEARCH 機能を
  • WAVESTATION(Milpitas)に SEARCH 機能を付けて欲しい。音色が多いのに目的のプリセットを探せない。今回、全部鳴らしたよ。MI(DARWIN)にあるやつ。

  • Bibao のサンプルを階層表示に
  • ドラム音源 bibao 。とても使えるヤツ。だけど、こいつのサンプル選択は階層になっていない。スネアの音色を選ぶのに延々とスクロールする。他のドラム音源ではできている。

  • Zurich の再生開始ポイント
  • 前述のとは別で、パターンを途中から鳴らした際に Zurich が再生するオーディオの場所がテキトーだ。9小節目から鳴らしているのに、Zurich だけ勝手な場所から再生する。

  • 使わなくなったオーディオファイルの削除
  • KORG Gadget には「プロジェクトの最適化」がない。使わなくなったオーディオファイルをどんどん溜め込んでいくのでプロジェクトファイルがお化けみたいになる。Undo との整合性もあるんだろうけど、使わなくなったファイルの削除コマンドが欲しい。

  • IFX エフェクトの位置
  • IFX エフェクトの順番の入り替えがなんかスムーズにいかないです。

KORG Gadget 新規機能の希望

改善点だけだとなんだから、新規機能の希望も書いておく。KORG Gadget の良さは分かりやすさ、iPhone / iPad との整合性(実際、iPad でキチンと動く貴重な DAW だと思う)。だから、あまりゴテゴテした DAW 機能は要望してはいけないと思ってる(笑)。でも、以下はコルグさんにお願いしたい。

  • 専用コントロールハードウェア
  • 安価な nano シリーズの感じでいいです。完全専用品でなくても大丈夫。nanoKontrol のようなミキサー型がいいです。フィルターノブは欲しいです。

  • パフォーマンスを意識したマスタートラック・エフェクトガジェット
  • 楽曲を DJ 風に攻めたミックスができるように、マスタートラック専用のエフェクト音源(エフェクト設定ではなくて、音源のようなガジェットのイメージ)が欲しい。Scatter やフィルター、ディレイやスクラッチなどが、ノブで動かせるやつで、マスタートラックにインサートできるヤツ。

  • ローファイなドラム音源
  • ローファイなサウンドや SE を多く収録したグルーブ系音源が欲しいです。

  • エフェクトの充実
  • エフェクトをもっと充実させて欲しい。欲しいのは AutoPan、Beat Stereo Delay、Tape などの汚し系、可能であればグラフィック表示な EQ(6ポイント)。

  • オシロスコープ
  • 聞いたところによると、Switch にはあるんですよね。頼みますよ。

  • ビジュアルエフェクト
  • 楽曲ビデオをシェアする際に、ビジュアルエフェクト(ミキサーメーターや音量で変化するビジュアルエフェクト)があると、Twitter とかでもシェアしやすいし、新しいユーザを呼び込むことに繋がると思います。

ということで何卒。

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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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