My Tracks : U – GADGET SONIC 2023 サポート企画! GADGET SONIC 2022 受賞曲の解説(後編)

My Tracks

U

日が GADGET SONIC 2023 の応募最終日。みなさん、応募は終わりましたか?紹介している U も最終日ギリギリに応募した覚えがあります(本当の最終日は友人の結婚式があったので、その前かな、本当に時間がなかった)。最後までやり抜きましょう。頑張って。

GADGET SONIC 2022 受賞曲の楽曲制作紹介の後半戦。メロディ・ソロトラック・エディットなどを紹介していく。

U – メロディ・ソロトラック

ギターメロディ パート

Gibson-ES-Type

こういうヤツ

U のメロディはギブソンのセミアコ ES あたりで弾いたイメージでだった。Darwin のギタープリセットにギターエフェクターモジュールの Rosario をかけて何度もトライしたんだけど、全くもってダメ。生バンド風の楽曲で、メロディが打ち込み感アリアリのピコピコギターが鳴った時の絶望感は想像いただけるだろう。

昨年の GADGET SONIC WAVEFORM LAB PICKS で聴いた楽曲には、ギターをオーディオ・インポートしてロックな楽曲を完成させているクリエーターもいたのが印象に残っていて、かなり頑張ったんだが諦めて他の音源で作ることにした。

ギター音源はそんなに持っていないし、メロディくらいなら、たどたどしくも弾けそうなレベルなので「リアルギターを録音しようか」とも思ったんだけど、ソロはそうはいかない。エフェクターの設定も大変そうだ。所有しているギター音源は Native Instruments KOMPELTE に収録されているプリセット、Garageband のプリセット、そして特売か付録で入手した Applied Acoustics Systems GS-1 というところ。

楽曲前半戦はギブソンのセミアコ、ソロは少しハードなロックなサウンドが欲しい。その手の音源を購入しても習熟する時間がない。そこで、Applied Acoustics Systems GS-1 を GS-2 にアップグレードして、NI KOMPLETE Factory Library にあるギタープリセットのツーマンセルで切り抜けることとした。

ギターも他のパート同様に Native Instruments KOMPELTE KONTROL S-61 で弾いている。KORG GADGET のデータをとりあえず出来ているところまでで MASTER BOUNCE して、DAW に貼り込む。それに合わせてメロディ・ソロを弾く、というプロセスをとった。やはり楽曲が鳴っている上で弾いた方が弾きやすい。

pplied Acoustics Systems GS-2

少しファットなメロディギターは Applied Acoustics Systems GS-2 の Electric Clean – Mellow Jazz 3 というのがイメージに近いので採用した。このプリセットがよく出来ていて、ベロシティの強弱やモジュレーションでかなり表情をつけることができる。メインモチーフの「シミソラ」はオクターブで弾いていて、かつ若干ズラすことでディストーションのハーモニーがイイ感じに響く。

U-G-Melo-MIDI

GS-2 の内蔵エフェクトが優秀なので音作りは GS-2 で完結している。全体の広がりは KORG GADGET で調整したいので Reverb は控えめに。かつ出音をモノラルにしている。

Native Instruments KOMPELTE-JazzGuitar

それに加えたのが、Native Instruments KOMPELTE の Factory Library の Jazz Guitar 。こちらのサウンドはもっと不器用というか、ギタープレイのまごついた感じのサウンドになっている。これも同様に内蔵エフェクト → Mono で出力していて、GS-2 をメインにブレンドして出力している。2つのギター音色を重ねることでファットでギターらしいサウンドになったと思う。

U-G-Melo-MIDI

2つのギターはほぼ同一の MIDI データで鳴ってるんだけど、NI KOMPELTE のギターは早いパッセージには向いていないのと、サビメロディのハモリの部分はそれぞれのギターで違うことを弾いている。DAW でメロディのギターパートだけを聴くと分かるんだけど、サビのハモリで上を弾いているのが GS-2、下を弾いているのが NI KOMPELTE です。アウトロのギターパッセージも GS-2 のみで鳴らしている。

またギターフレーズの入力はベロシティとノートの長さが命のようだ。メロディの強弱による入力ではなくて、運指の切り替わりを意識して入力するとそれらしくなる。

作成したギターパートを KORG GADGET のプロジェクトのパターン構成に合わせて切り出して、Zurich に読み込み、FX Delay と Reverb をかけている感じです。

DAW に KORG GADGET のバウンスデータを取り込む時点で、KORG GADGET のパート割でマーカーをうっておくと、切り出し作業が簡単だ。

ギターソロ パート

まさか自分がギターソロを DTM で作るとは思わなかった(やったことがなかった)。ソロのイメージはあったので、何度も弾いて、使えるところを MIDI データで統合していく。アーム奏法はベンドでやっているが、ここはシンセソロを弾いてきた経験がモノをいう。細かにピッチとモジュレーションをコントロールしてます。

Native Instruments KOMPELTE-Solo-Guitar

ソロは「ロックなサウンド」ということで、活躍したのが NI KOMPELTE Factory Library にある Solo Guitar 。コイツがイイ感じにハーモニクスを出したり音を外したりしてくれる。ハーモニクスの出力制御はベロシティだが、鳴らすタイミングはランダムな部分があるので、何回かオーディオバウンスしてカッコいいテイクを採用している。エフェクターは Guitar Rig を使った。

Solo Guitar はピックで弾いたサウンドを再現しており、ソロ途中のライトハンド(タッピング)の部分にはマッチしない。そこで GS-2 の Electric Distortion – Power Code をベースとしたサウンドを鳴らしている。こっちはピック感が薄いサウンドで、ところどころ GS-2 のサウンドが前に来る感じに作った。

履歴は残っていなかったので回数は分からないけど、相当にトライ&エラーしたと思う。それこそ、KORG GADGET のプロジェクトで完成させてバウンスしてから、「あーやっぱりあそこダメだ」とやり直した部分がある。で、やり直せばそれなりに良くなるので、素人は試行錯誤する回数が必要だな、と思った夏だった。

シンセ パート

Bパートでギターのメロディにオブリガードで合わせているのは Berlin です。サビではハモってます。Berlin はかなりの頻度で登場するガジェット。あの少ないパラメータで表情豊かなシンセソロを出力できる。オリジナルパッチです。凄く好き。

ソロシンセ パート

Darwin-SynSolo
サックスソロを Darwin でやろうとして失敗したのでシンセソロにスイッチした。ソロは2台の Darwin で鳴らしている。サウンドチェック用にソロパートだけ聴いているんだけど、Rhodes の Montreal とこの 2台のソロだけを鳴らすと雰囲気が変わるねー。しっかりとしたサウンド。GADGET のモジュールは気持ちよく鳴ってくれる。

Darwin は2つ使っているんだけど、1つは幅広なシンセソロサウンド、もうひとつはアタックがしっかりしたサウンドを使っている。聴いてみて感じるのは中盤は THE SQUARE “WAVE” や “Natural” あたりの雰囲気がある。懐かしい。このソロは気持ちよく弾かせてもらった。1テイクでほとんど修正していない(時間もなかった)。

ピアノソロ パート

最後にピアノソロが出てくる。ピアノソロは一度弾いてから右手と左手のパートに分けることが多いんだけど、ペダルを踏んでたりするので1トラックまんまになってる。これも一発録り。聴き返すと少々ヤッツケ感が拭えない。時間がなかったんだ(かなり追い込まれていた)。

エディット・ミックスダウン

KORG GADGET でのエディットは悪夢だ。毎年言ってるので今年は長々と指摘するのはやめておく。UI は「個性」かもしれないが、UNDO がテキトーなのは本当に腹がたつ。毎年「しばらく KORG GADGET は触りたくないな」と思う。

自分は DAW で KORG GADGET を個別の音源として使えるので、KORG GADGET で制作する必要がない。でも、KORG GADGET ではかなり楽曲を作ってきたし、ユーザはみな楽しく使っている。箱庭型 DAW としてぜひ継続・成長させて欲しい。 KORG GADGET 3 ではエディットとコピー&ペースト(Damperがペーストされない)とオートメーションを強化を頼みます。

さて、KORG GADGET での音楽制作で最も大変でかつ重要なのはトラックミックス(ミックスダウン)だと思う。24トラックしかないとはいえ、トラックバランスをきちんと調整したい。毎回頑張っているが、「完璧!」と思ったことは一度もない。

MIX-LEVEL

KORG GADGET では Mixer Level でオートメーションを指定することになる。これが本当に大変。なぜなら Mixer Level は Level 値を表示してくれない。パターンごとにレベルを合わせるのが大変なのだ。上記の例では「左の Master Level の上の線で合わせよう」としているのが分かる。本当に愚かな仕様。でも諦めてトライ&エラーする。

バランス調整してバウンス、それをスピーカーと AirPods で聴く、またバランス調整、を繰り返す。本当に時間がかかる。ファイル名をみると U-v13.wav とかなってたから、13回は調整しているんだと思う(ヘタすぎ)。

GADGET SONIC のレギュレーションで「助かるな」と思う時がある。それはマスタリングに気を使わなくていいことだ。マスタリングで楽曲が思ったより面白くなくなったり、大人しくなったりすることがあるのだが、GADGET SONIC は「録って出し!」という感じになって、結果、全参加者にいい影響を与えていると思う。

最後の最後で沼にハマる

失敗した転調バージョン

という感じに何度も同じ曲を聴いていると新鮮さが失われてくる。そんな時に「これ、最後のサビから転調したらどうだろう」なんてアイデアが思い浮かんだ。頭の中のイメージではうまくいきそう。KORG GADGET のプロジェクト修正もなんとかなるだろう。ただ、ギターの部分は録り直しだ。やるか、やらないか。コンテスト締切まで音楽制作にあてられる時間がない中、悩んだ。今考えると、もうその時は考える力も残ってなかったんだろう。

なんと着手してしまった!

音程のあるトラックを全部トランスポーズ。ギターも転調バージョンのメロディを作る。そして KORG GADGET プロジェクトに統合。ピアノソロのキーが高くなりすぎているので、ソロを録り治し。そしてバウンス。おそらく 3時間強はかかったと思う。そして完成。

なんじゃこれは!
ダセー!&くだらねー!!

最後のサビで転調したことで、楽曲がばっちり安っぽくなった。もう声を出して笑っちゃうくらいに。そしてガックリくる。

あーマジか、マジなのか。俺の時間を返してくれー(誰から返すのよ)

だいたい自分の傾向として最初のアウトプットしたものがベストなことが多い。後から考えてもロクなことにならない。転調バージョンを聴いて本当にヘコんだあの気持ちをありありと思い出す。ホント、地獄をみました。

ま、そんな感じであの楽曲は出来たわけです。

今年も WAVEFORM LAB PICK やりますよ

GADGET SONIC 2021 WAVEFORM LAB PICKS!
来月ですかね。本家のコンテスト結果が出た後に、GADGET SONIC 2023 WAVEFORM LAB PICKS をお届けしようと思います。コンテンストの運営は頑張っているものの、選評がつく楽曲は受賞した一部の作品。自分の楽曲にはコメントもらった方が嬉しいよな、と思うので、今年も全曲を聴いて個人的に気に入った楽曲をピックしていきます。

昨年は63曲をピックしました。今年はどうなるか。みんなの作品を聴けるのを楽しみにしています。では!


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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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