修理・調整 : YAMAHA KX88 の鍵盤(ME鍵盤)を本気でメンテナンスする

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YAMAHA KX88(ME鍵盤)を本気でメンテナンスする

日、ブランク3年ぶりにピアノを弾いたんだが、これがとてつもなく酷かった。「久しぶりに弾けば楽しいかな」、なんて思って個人練習スタジオでアップライトを弾いたが、もう屈辱しか残らなかった。家にピアノがないので、電子ピアノを物色してたんだけど、コンパクトな Roland DP-603 が思ったのとだいぶ違って振り出しに(電子ピアノ選びの話はまたの機会に)。

YAMAHA KX-88 は F# という結構使う鍵盤のアクションに問題があって、打鍵後の戻りが遅く弾けない状態に。そんな状態だったのだが、あまりの屈辱にテンションが上がり、気合いを入れて調子の悪い鍵盤を直すことにした。「うまく修理できなくても、どうせこのままでは使えないからな」と覚悟の上、作業は開始されたのであった。

経験者のアドバイス

YAMAHA KX88 の鍵盤は ME鍵盤といって、KORG SG-1D や Triton 88 Key でも使われているので、KX88 以外にも当該機種を持っている人も参考になると思う。まず経験者からのアドバイス。鍵盤は外すのは簡単でも装着するのがとても大変なので、腕に自信のない人にはおすすめしない。自分もバンバン外して後で頭をかかえることになった。

修理・調整といっても素人にできることは限られている。これから紹介するメンテナンス方法は、①鍵盤を外し掃除、②駆動部分にグリスを塗る、③板バネの位置や傾きを調整する、の3点だ。鍵盤パーツが割れてしまっていたり(KX88の鍵盤パーツはしっかりしているので割れることはないと思うが)、センサーに側に問題がある場合は対処できない。万が一、鍵盤に問題がある場合は使わないエリアの鍵盤と交換するくらいが精一杯だ。

YAMAHA KX88(ME鍵盤)を本気でメンテナンスする

最初に考えたことはこういうことだ。完全に無駄なアイデアだ。

当初、作業計画としては使用頻度が高い鍵盤をあまり使わない鍵盤とローテーションすることだった。結論から言っておく。そんなことをする必要は全くない。鍵盤がヘタるわけではないので無駄だし、「気分で」これをやると本当に地獄をみる。鍵盤は外すのは簡単でも装着が非常に大変で、我々素人がやると装着時に板バネを破損したり曲げてしまうリスクが非常に高いからだ。

「戻りが悪い」とか「カチカチ音がなる」ならその鍵盤の板バネだけ調整すればいい。「何を弾いても大きい音になる」というのも板バネのセッティングが問題なことが多い。グリスが乾いてスカスカするなら鍵盤を完全に外さずにグリスを塗りこむ方がいい。

また、鍵盤のセッティングが終わった時点で音を出して確かめること。作業後、一通り確認をしたんだけど、全部戻した後に弾いてみると G1 キーがやたらに大きい音を出すこと気がついて、またバラす羽目になった(涙)。しっかり確認することだ。

鍵盤をはずすまでの工程

鍵盤のアクションを外側から調整することはできない。鍵盤のバネに問題があると思われるが、そこにアクセスするには鍵盤を外す必要がある。作業する前に KX88 のサービスマニュアルをダウンロードしておいた方がいい。結構必死に探したが、YAMAHA KX88 Service Manual PDF でググれば出てくる(ポイントは Service Manual )。またビスや板バネを拾うための磁石(磁力の強いドライバ)があると便利だ。KX88 はとにかく重いので気をつけて作業すること。

YAMAHA KX88

  1. 上部パネルを開ける。上部パネル左右にある短いビス4つと、裏側手前にある長いビス9つを外す。裏側手前のビスは後で鍵盤ユニットを外すときに関係するので全部外してしまう。逆の奥側のビスは関係ない。ビスを外せば上部パネルは分離することなくパタンとドアのように開くことができるはずだ。
  2. 次に鍵盤ユニットを固定しているビスを外す。ユニット奥に見える3つで1セットになっているビスだ。3箇所計9つのビスを外す。
  3. 鍵盤ユニットを動かせる状態になったら奥と左側にあるケーブルを切断することがないように注意しながら(ケーブルを外してもいい)ユニットを持ち上げる。

YAMAHA KX88

  1. 鍵盤ユニットについているプラスチックのスペーサーを外す。金色のビス6箇所を外すだけで簡単に外れる。
  2. 鍵盤は白鍵から外す。図の通りに手前に押す感じで動かし、半円のサポーティグポイントシャフトを回すようにすれば外れるはずだ。白鍵は手前に動かすように。
  3. 黒鍵はサポーティグポイントシャフトを回しながら外す。黒鍵は後ろにずらすように。

板バネが鍵盤ユニットの中に落ちないように気をつけること(鍵盤ユニットの下に落ちる分には拾えばいいので問題ないが、中に留まるとやっかいだ)。

問題のある鍵盤をメンテナンスする

YAMAHA KX88(ME鍵盤)

鍵盤はウエイト付きの鍵盤部と板バネで構成されている(ウエイトは外れない)。問題のある鍵盤を外したらしっかり掃除してグリスを塗る。タミヤのミニ四駆用のフッ素樹脂配合グリスを使った。そして板バネの角度が悪いものは修正したり裏返したりする。不安ならば使わないキーの板バネと交換する。

さて問題は「鍵盤の取り付け」だ。上の図では簡単に「板バネを切りミゾに合わせ」と書いてあるが、これが難しいのだ。上図では端の鍵盤で説明しているから簡単なようだが、実際には左右に鍵盤があり、ミゾが全く見えない。

KX88 鍵盤修理

赤枠の上部が板バネ用の切ミゾ、そしてすぐ下に打鍵センサーがある。やれやれの構造だ。装着時は板バネは鍵盤の裏側にくるので取り付け位置が全く見えない。黒鍵はまわりの白鍵を外せば板バネの取り付け位置が見えるので簡単だが、白鍵が問題だ。切りミゾに板バネをひっかけて、鍵盤をそっと取り付けることになる。

KX88 鍵盤修理

これが定位置だ

装着方法は板バネを鍵盤にひっかけながら切りミゾに入れ、平行に押し込むことだがコツを紹介しておく。1つは半円のサポーティグポイントシャフトを鍵盤側に取り付け、奥側の溝に装着しやすい角度に傾けて作業を開始すること。2つ目はどうしても板バネがうまくハマらない時は、鍵盤のダクトのような切れ込みから板バネを差し込む方法だ。鍵盤を平行に押し込む定位置にしてから板バネを切れ込みから差し込み、切りミゾにひっかかった時点で鍵盤をずらしながら板バネに圧力をかけていく方法。

KX88 鍵盤修理

この方法を力任せにやると板バネが変形するリスクが大きい。板バネは硬質なので折れてしまうことはないが、不安だったら鍵盤と交換した方がいいかもしれない。

全部の鍵盤を装着したら、前述の通り打鍵テストを念入りに行う。問題なければ逆の手順でビス留めをしていけば完成だ。

鍵盤がすべて復活、KX88 はやはりいい

YAMAHA KX88

問題だった鍵盤は完全に復活し、グリスも付け直したので弾いた感触も新品同様になった。G1 キーが大きく再生されるのは板バネが傾いて鍵盤を装着したためで、ウエイトの重さが増して打鍵速度が上がるからだった。それにしてもあんな簡単なパーツでベロシティを検出しているとは。

YAMAHA KX88 + KORG plugKEY + KORG Module でしばらくは鍛錬を積みたいと思います。

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