iPhone X を音源にした場合、レイテンシーはどれほどか計ってみた

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KORG plugKEY & TASCAM iXR
iPhone X の KORG Module でピアノのハノンのメカニカルトレーニングをしていると、なんか反応が遅く感じる。鍵盤というか発音が重い(KX-88 なので鍵盤も重いのは重いのだが)。「 KORG plugKEY が遅いのか?」と思って、TASCAM iXR につなぎ変えてみる。微妙に軽くなった感じがする。すっきりするが微妙に、だ。MacBook の SYNTHOGY IVORY にすると速い。違和感がない。これは IVORY がすっきりしたサウンドだからなのか。

というように、感覚的なものはアテにならない。スッキリしないので実測してみた。

iPhone X と2つのインターフェイスの速度を測る

再生環境は iPhone X + KORG Module( Audio Latency 64 Faster + Voice Number 48 )と2つのオーディオ / MIDI インターフェイス。測定環境は Digital Performer 9.5 + MOTU 828mk2 、サンプルレート 44100 / バッファーサイズ 512 だ。測定ケースは以下の通り。

実験環境

KORG plugKEY + iPhone X
MOTU 828mk2 の MIDI アウトを接続、オーディオはステレオで MOTU 828mk2 に返している。

TASCAM iXR + iPhone X
MOTU 828mk2 の MIDI アウトを接続、オーディオはステレオで MOTU 828mk2 に返している。iPhone X とは Lightning ケーブルで接続。

SYSTEM-1 MIDI / USB
同じ MIDI 接続下での iPhone X の性能をみたいので、ハードウェアシンセサイザーとも比較した。同じく MOTU 828mk2 の MIDI アウト接続の SYSTEM-1 で実験する。MIDI 接続の性能もみたいので USB 接続された SYSTEM-1 も追加した。オーディオはステレオで MOTU 828mk2 に返している。

SYNTHOGY IVORY
参考値として SYNTHOGY IVORY とも比較した。コンピュータの内部ルーティングだと比較にならないので、MOTU 828mk2 で一回オーディオにアウトしてからもう一度インプットして録音している( DP9 は MIDI の発音の段階でレイテンシー補正をかけているらしく、この健気なオーディオルーティングは無駄になった)。

KX88 の MIDI を DP を経由してアウトし、オーディオを録音する方法で MIDI アクションとオーディオのレイテンシーを計ろうと思ったのだが、同じ MIDI データを出力するのは人間では無理なので、DP の MIDI データを各環境で受け取る方法をとった。DP のレイテンシーは計算して差っ引けばいいかと。

iPhone X 音源は遅いのか、実測の結果

結果はこうなった。まずイメージの見方だけど、MIDI NOTES が基準の MIDI データ。黄色が KORG PlugKEY、青が TASCAM iXR だ。緑は SYSTEM-1 だが、MIDI ケーブル経由が遅そうなので USB 接続も計測している。赤は参考の SYNTHOGY IVORY。(この環境だと)実際にこれくら遅れている。

レイテンシー比較(絶対)

しかし、DP 9.5 の環境が 44.1KHz + バッファ 512 Sample なので、11.6 msec の遅れは再生環境が原因ではない。11.6msec の基準点(白い線)からのレイテンシーはこんな感じ。ちなみに 512 にしたのは 10 msec ほどと、計算しやすいから。ちなみに SYNTHOGY IVORY が基準より速いのは DP によるレイテンシー補正の効果。なので参考にならない。

レイテンシー比較(相対)

数値修正しました

再生環境の実力としてはまぁ優秀な方か。KORG plugKEY は「有線だからレイテンシーの心配なし」って書いてあるのをみかけるけど、やはり遅い。実験では和音コードとスケールを再生・記録していて平均的な部分を採用しているけど、KORG plugKEY は全部を通して一番遅く、スケールなどノート数が増えると不安定になった。

iPhone X + iXR ならハードウェア音源相当の速度

KORG plugKEY & TASCAM iXR
10 msec のズレに気がつくかといえば十分、気がつく。が、iPhone 用オーディオインターフェイスとしては優秀な方なんだろう。Bluetooth MIDI なんて数十ミリ秒も遅れるんだから(鍵盤を弾くには使い物にならない)。

とはいえ、plugKEY と iXR との差は数ミリ秒なので、さすがに「気にしすぎ」のレベル。iOS デバイス使用時は別に電源を取らないといけない iXR に比べ、ケーブルの取り回しは plugKEY の方が断然便利なんだから、plugKEY のイメージが悪くなることはなかった。

なんだけど、Ivory のスタンウェイがやたらに上手に聴こえるから、これからは MacBook + TASCAM iXR の組み合わせで練習しようと思う。あ、これじゃ練習にならないか(笑)。

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