Roland の秋の新製品、次は JUPITER-X / JUPITER-Xm を紹介する。モンスターマシンの JUPITER-X とにコンパクトサイズの JUPITER-Xm 、特に JUPITER-Xm はバカ売れするかもしれないシンセサイザーだ。
JUPITER-X : 古き JUPITER を名乗る新世代シンセサイザー
JUPITER といえば、JUPITER-8 の非常に大きくヘヴィーな筐体、アナログ回路でガンガンに熱を発するアナログ・シンセサイザーのバケモノ的なイメージがある。JUPITER はローランドのハイエンド・ポリフォニックシンセサイザーのシリーズで、1978年の JUPITER-4、100万円近い非常に高価でお店でしか見ることのなかったレジェンドマシン JUPITER-8(1981年)、JUPITER-6(1983年 50万円弱)がラインナップされた。
中でも、アナログ恐竜的なフラッグシップマシンの JUPITER-8 は、2 VCO 8音ポリのアナログシンセサイザー。歴代最強のポリフォニックアナログシンセサイザーで、Journey の Separate Ways や Michael Jackson の Thuriller 、Queen Radio Ga Ga など多くのヒット曲で使われている。とにかくブラスの音が最強。シンセブラスというサウンドは JUPITER-8 が確立したのかもしれない。
そして、新製品の JUPITER-X。名前は JUPITER たが、中身は全く異なるハイテクデジタルシンセサイザー。これまでも Roland SYSTEM-8 や JD-XA といった個性溢れるシンセサイザーをリリースしてきただけに、「なぜ JUPITER なんだろう?」という感じがする。ローランドのメールマガジンによると、JUPITER X は社長リードのプロジェクトで、シンセサイザー開発者の思いをぶち込んだモデルらしいので、ノスタルジック、そして決意や意地みたいなものが、この製品にはあるのかもしれない。
JUPITER-X : ローランドのロマンが全部入りの大型シンセサイザー
JUPITER-X は完全なデジタルシンセサイザー。MC-707 でも紹介した ZEN-Core という音源を採用するほか、ローランドのアナログシンセサイザー、デジタルシンセサイザー、エレクトリックピアノ、リズムマシンまで人気機種のモデル音源も装備している。「ローランド全部入り」という感じ。
JUPITER-Xの最新音源は、今も熱烈なファンの多いJUPITER-8、JUNO-106、SH-101などのアナログ・シンセサイザーから、XV-5080やステージ・ピアノ RDシリーズといったデジタル・シンセサイザーのサウンドまでをモデリング。これらの個性的なサウンドをボタンひとつで呼び出せます。また、TR-808、TR-909、CR-78など、エレクトロニック・ミュージックやダンス・ミュージックで定番のドラム・マシンのサウンドも搭載。 それは、まるでヴィンテージ機材に囲まれたスタジオを手に入れたようなもの。
またモデル音源はアナログ回路の経年変化もサポートするエージングパラメータも搭載している。うーんマニアック。
ZEN-Core&モデル音源を5レイヤー(プレイパート4、リズムパート1)でサウンドを構成する。JUPITER-8を4台重ねたりできるということ。バケモノ(笑)。プリセットトーンは 4,000以上積んでおり、まぁ、巨大で膨大なサウンドを実現する。エフェクトはマルチエフェクト 4系統・90種類。スペック表のオーバードライブ、リバーブ、ディレイなどがマルチエフェクトと別構成なのかはわからないけど、こちらも全部入り。
演奏(和音を押さえるスピードや構成コードのノート距離)に応じてアルペジエーターが変化する I-ARPEGGIO(演奏感知型マルチ・パート・アルペジエーター)を搭載。
初代の JUPITER-8 は MIDI も載せてなかったが、MIDI や USB に加え Bluetooth にも対応する。なんとスピーカーまで搭載しているみたい。当然だが初代が未対応だったヴェロシティやアフタータッチにも対応している。
大きさは JUPITER-8 相当だが、重量は 22kg から 16.9kg にダウン(けど、重い。ま、俺の YAMAHA KX-88 は 28.5kg だけどな)。JUPITER-X はスタジオユースを堅牢にこなすモデルだと思う。価格はオープンプライス 税別で¥250,000 程度になる。
JUPITER-Xm – JUPITER X 機能そのまんまでコンパクトに
次に JUPITER-Xm 。大型で恐竜みたいな JUPITER-X をコンパクトにしたモデル。コンパクトな37鍵を搭載。なんと JUPITER-X の機能そのまま。ちょっと信じられない。JUPITER-X の回路的にはこのサイズに十分収まるということか。
大きさは 576(W)× 308(D)× 93(H)mm 4.4kg 。手元にある Roland SYSTEM-1 が 472(W)× 283(D)× 70(H)mm 2.4kg、KORG Mono/Poly が 980(W)× 373(D)× 132(H)mm 11.kg 。なので、SYSTEM-1 よりちょっと大きいくらいか。
オープンプライスで税別 ¥150,000程度となる見込み。うーん、これは売れる。
JUPITER-Xm を買うか、SYSTEM-8 を買うか
実は、家の機材を整理して Roland SYSTEM-8 を買おうと思ってた。ギラギラしたサウンドもいいし、緑色に光る筐体もイカしてる。PLUG-OUT と呼んでるんだけど、JUPITER-8 / JUNO-106 / JX-3P の3モデルがプリインストールされている(考え方は JUPITER-X に近い)。コントローラーとしても十分なツマミがある。
現在価格は 15万円付近。意外に値段もこなれてきたし、そろそろと思っていたのにちょっと考え直さないと、という感じに。
ちなみに JUPITER-Xm の発売時期は 2019年11月予定、JUPITER-X は 2020年春頃を予定しているそうだ。JUITER-Xm か SYSTEM-8 か。ローランドさん、迷っちゃうよ!
コメント