Roland AIRA Compact は本当に面白い。特に今年の春に登場した AIRA Compact S-1 Tweak Synth はホントに良いシンセサイザーだ。イジっていて音作りが楽しいし、USB-C を接続すれば MIDI もオーディオも送受信でき、音源としても充実している。
最近、AIRA Compact シーズンワンの J-6 を手に入れたのだが、たった 1年で AIRA Compact がとてつもなく進化していると感じさせるのが「エフェクト」だ。J-6 がコードメイキングとシンセサイザーの双方をカバーすることから、音色のエディットに注力できなかったのは分かるが、S-1 は音色エディットのためのパラメータが豊富に用意されている。J-6 / S-1 には双方 DELAY / REVERB が搭載されているが、中身は完全に別物だ。どのくらい違うのか、J-6 と S-1 のリバーブで比較してみた。
AIRA Compact J-6 vs S-1 リバーブ対決
J-6 / S-1 には両機ともパネルに DELAY / REVERB というノブが搭載されている。どちらもエフェクトの MIX を操作できるのだが、S-1 を先に入手していたため、J-6 を触った時に「え??」となった。J-6 に搭載されているリバーブがイマイチ使いに食いのだ。J-6 に搭載されているリバーブはリバーブタイムが短いショートリバーブだ。ファットなサウンドである JUNO-60 系のプリセットにマッチする音作り用のエフェクトと考えた方がいい。
一方、S-1 に搭載されているリバーブは専用リバーブエフェクター並みの性能だ。搭載されているリバーブ種はなんと 7種類もある。
Ambience / Room / Hall 1 / Hall 2 / Plate / Spring / Modulate とリバーブのタイプが選択でき、かつリバーブ音の長さ、レベル、プリディレイ、High/Low カット、リバーブ音の密度も設定できる。
おそらくは既存のリバーブ回路 ACB をそのまま移植したんだろうが、非常に贅沢な作りになっている。もちろん、DELAY も同様に高性能だ。
AIRA Compact S-1 Tweak Synth はホントに良いシンセサイザー
もちろん、J-6 はコード生成などの役割にフォーカスしていて、JUNO-60 のプリセットを固定で搭載し、「FILTER / ENVELOPE のみで表情を付けてね」と割り切ったのも納得感がある。S-1 並みのパラメータにしたら、同時に発売された T-8 や E-4 と一緒に遊ぶ、なんてことは難しくなっていただろう。
AIRA Copmact はコンパクト音源としても丁寧に作られていて、DAW に接続された MIDI キーボードで弾いても違和感なく扱うことができる(配線は USB-C でスッキリだ)。きちんとダンパーペダルも動作するし( KORG Volca シリーズはダンパーコントロールを差別化のために制限している)、なんとベロシティにも対応している。
AIRA Compact J-6 ではアサインされていなかったピッチベンドやモジュレーションホイールだが、AIRA Copmact S-1 はしっかり対応している。そして、パネルにあるノブのほとんどを MIDI CC で記録・再生することさえ可能だ。
「はじめてのシンセサイザーが AIRA Compact S-1 だった」というのは、1980年代に「はじめてのシンセが Roland SH-101 だった」というのと同じくらいのインパクトだと思う。それくらいイイ。
はじめてのシンセサイザーに、アナログシンセサイザーのエッセンスを DAW にインテグレートしたい玄人にもオススメです。
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