暖かいフィルターが魅力。アナログシンセサイザー Moog Minitaur レビュー(本体・シンセサイザー部の解説編)

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Moog Minitaur

Moog のモノフォニック・ベース・シンセサイザー Moog Minitaur – Analog Bass Synthesizer のレビュー。実は1ヶ月ほど前に Moog Minitaur を入手したんだけど、いろいろ使ってみて分かってきたので、まとめておきます。ホント、手にフィットする楽しいガジェットです。

前編はハードウェアスペックや音源部、実機を使った音作り解説を中心とした「本体・シンセサイザー部の解説編」、後編はオーナーなら使いこなしたい専用エディタ・ライブラリアンアプリケーションを説明した「MITAURA Editor編」の 2記事構成でお送りします。

Moog Minitaur – Analog Bass Synthesizer

Moog Minitaur - Analog Bass Synthesizer

Moog TAURUS を起源にもつ強烈なアナログシンセサイザー

2012年に発売された Moog Minitaur は、遡ること 1976年に登場したベースパート・シンセサイザー TAURUS の音源部をコンパクトなボディに詰め込んだフルアナログ・シンセサイザーだ。 Moog の商品ページでは「サブハーモニック・ベースマシン」と表現されている。ギリシア神話に出てくる横暴で手のつけられない怪物「ミノタウロス」から命名されている通り、Moog Minitaur は低音域から実に図太く、ノブを回せばワイルドに変化するアナログ・サウンドが特長。

Moog Taurus 3

Moog TAURUS III Bass Pedals

Moog Minitaur は、2009年発売の Moog TAURUS III Bass Pedals の回路設計をベースにしているが、その設計は実にモダン。 MIDI 入力端子だけでなく USB(MIDI)端子を備え、コンピュータエディター・ライブラリアン Minitaur Editor により、プリセットの管理から音色の細かいエディット、ハードウェアセッティングなど、Minitaur のすべてを操作することができる。

コンピュータでコントロールが可能なモダンな設計

Moog Minitaur は TAURUS III Bass Pedals のシンセサイザー部を抜き出したもの、説明されることが多いが、正確には Minitaur のオシレータには NOTE SYNC があったり、 TAURUS III の FILTER は AD / VOLUME は ASD だが、Minitaur は 双方とも ADSR などの違いがある、MIDI CC レイアウトに至っては全く異なったものとなっている。

近代的な仕様は USB や MIDI などのインターフェイス部だけでなく、シンセユニットにもみられる。Minitaur のパラメータはフロントパネルから設定できるもの以外に MIDI CC のみでコントロールできるものがかなりあるのだ。

Moog-Minitaur-Back

USB / MIDI / CV 系のインプットに加え、Audio In まである

LFO の MIDI 同期や、グライドのタイプ切替え、FILTER の KB TRACK や VELOCITY SENSIVITY(例えば、鍵盤を強く弾いた時に明るいサウンドを発音できるということ)、LFO SHAPE やマニアックなところで KEY PRIORITY(複数のノートデータが受信された場合に、低音優先、高音優先、後着優先を選択できる)やピッチベンドアップ・ダウンのレンジを個別に設定できたり、とかなりのボリューム。

小型でシンプルなパネルを持つ Minitaur だが、深く繊細な音作りも可能なのだ。

これらの追加機能は Minitaur 専用エディター・ライブラリアン・アプリケーション Minitaur Editor から編集・設定することができる。Minitaur Editor はスタンドアローンだけでなく、プラグイン経由でも使うことができる。また、Minitaur のパネルのノブやスイッチ操作も MIDI CC として出力されるので、DAW のオートメーションでノブの動きを再現可能で、DAW によるトラックメイキングにビルトインすることができる。

Moog-Minitaur-Editor

インターフェイスは USB / MIDI 端子のほか、CV コントロール端子(PITCH / FILTER / VOLUME / GATE)、オーディオの入力・出力端子、ミニステレオ・ヘッドフォン端子を装備している。これらモダンなアナログ・シンセサイザーユニットが 22.2cm × 13cm × 7.9cm / 1.2kg というコンパクトなボディに詰め込まれている。グレイト。

Moog Minitaur はファームウェアにより機能をアップデートできるが、プリセットパッチを内部メモリに保存できるようになった Rev.2 世代が広く流通している(最新ファームウェアは V.2.2.1 だ)。

Minitaur のシンセサイザー部

Moog Minitaur

Moog Minitaur のフロントパネル

Moog Minitaur は 2VCO のアナログ・シンセサイザー。VCO は ノコギリ波と矩形波のみのシンプル構成(って考えると、Model D の 3VCO & 6 WAVEFORM はホント贅沢だよね)。発音域は 6オクターブ(最高音の発音限界は C5 – 523.25Hz)。VCO 2 は VCO2 FREQ ノブで VCO 1 とのピッチ差を上下1オクターブで指定できる。左上マークの下にはアナログ回路ならではのピッチ調整用 FINE TUNE ダイヤルがある。

VCO 1/2 の音量は MIX でそれぞれ指定できる。ちなみにノブを 2時以上に上げるとフィルターで音が歪むとのこと。Minitaur は内蔵 VCO 以外に、バックパネルからオーディオをインプットすることができる。外部オーディオ入力は固定(これも MIDI CC なら変更可能)。

Moog Minitaur Filter

FILTER は 24dB/Oct のローパスフィルター。お馴染みの CUTOFF / RES / EG AMOUT の3つのノブが用意されている。1つだけ大きなノブが用意されたカットオフ・フリケンシーは 20Hz – 20kHz。うーん、この文字列からは何も伝わらないよね。とにかく暖かいんだよ。 CUTOFF を絞ると。音がこもるのではなく、ファットで暖かくなる。EG AMOUT を回せば凶暴にもなる。ホント、惚れる。

ENVELOPE は ADSR 。FILTER と AMP にそれぞれ用意されている。Minimoog と同じで、DECAY が RELEASE を兼ねている。Rev.2 より別々に指定できるようになった(DECAY ノブで DECAY を、RELEASE ボタンを押しながら DECAY ノブを回すと RELEASE が設定できる)。

モジュレーション MODだが、LFO RATE / VCO LOF AMT / VCF LFE AMT の3つのパラメータが用意されている。実にシンプル。最後に VCA はボリュームノブがある。ボリュームは個体差にもよるのかもしれないが、リニアではない感じがする。

GLIDE は RATE のほかに ON/OFF スイッチがある。なので、「ここぞ!」という箇所でボタンを押せばその時のみにバッチリ準備されたポルタメントをかけることができる。

完全アナログ回路。ウォームアップタイムは 15分推奨。電源入れていると結構、熱を持つ感じ。

Minitaur の音色づくり

先ほどの「Moog Minitaur のフロントパネル図」は、CLASSIC MOOG BASS の音色設定チャートだ。これを元に、Minitaur の音づくりを簡単にみていこう。

Moog 系シンセサイザーは、左側から右側に信号が流れていく。いわゆる、VCO → VCF → VCA だ。

Moog MINITAUR

  • まず、VCO のオシレータ波形は、クラシックなムーグベースなので「ノコギリ波」を選択(初代 TAURUS に矩形波はなかった)
  • VCO 2 ピッチはセンターだが、ほんの少しだけズラしてもいい、私の時代ではディチューンと習った
  • MIX はだいたい同じに、前述通り 2時が基本ポジション
  • FILTER は 10時くらい、感覚でいいが、ここらへん実に暖かいスポットだ
  • RES は 控えめに(上げたければ後であげる)
  • EG AMOUT は + 方向でちょい強調
  • ENVELOPE はベタっとした感じなのでアタックゼロ
  • 音色としてはベチャーじゃなくボーンとしたいので、FILTER SUSTAIN をゼロ、DECAY でボーン具合を探る
  • 音量は減衰系では困るので SUSTAIN をマックスに
  • ソフトな切れ味、RELEASE はオン

こんな感じかな。ダイアルをいくつか回すだけでムーグのあのベース音になる!凄い。

FILTER CUTOFF をまわすと景色がダイナミックに変わる。EG AMOUT を上げすぎるとヘヴィな音になる。サウンドのキャラクター作りには ENVELOPE の DECAY がキモ。これだけのノブで多種多様なサウンドを作ることができる。本当にうまく絞り込んでえるよなぁ。ぜひ実機で試して欲しい。

ちなみに、Moog Minitaur でのサウンドメイキングはまだまだ、こんなもんじゃない。次回後編で、Minitaur Editor を使った、さらなる音色づくりを紹介したいと思っている。

Minitaur は単なる低音音源ではない!

Moog Minitaur

Minitaur はベースシンセだから低い音しか出ないので使いどころが…」と考える人が多いと思うが、C4(VCO2のみならC5)まで出れば大したものではないだろうか。アナログシンセならではのテクニックで、VCF のレゾナンスをあげてフィルター自己発振で高音サイン波を得る「第三のオシレータ技」も使えるので、結構、いろんな音が出るシンセサイザーだと思っている。

Minitaur の音域を拡大したバージョン、Moog Sirin はフィルタのマッチングからか Minitaur ほど音が太くないみたい。個人的には Minitaur はアナログらしくシンセとしてのカバリッジも広いと思う。


自分の機材リストをみると、Moog Minitaur / REON driftbox R Limited / BEHRINGER Model D / BEHRINGER CRAVE / KORG monologue(2台)とモノフォニックアナログシンセサイザー多過ぎ(笑)。NEUTRON はホント我慢しよう。

アナログシンセサイザーは触っていて楽しい。ノブを回していると楽しいし、音を作っている感覚がある。整理したくても、それぞれ個性あっていいんだよなー。記事の最後にリンクを付けておくので良かったら読んでみてください。

後編は Minitaur Editor を使ったサウンドメイキングを紹介します。お楽しみに。


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