Apple News+ Apple の定額制・新聞・雑誌購読サービスの徹底解剖

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Apple News+

Apple News+ についてまとめておく。Apple は新聞・雑誌の定額制購読サービス Apple News を発表した(Apple launches Apple News+, an immersive magazine and news reading experience)。News という専用アプリで提供される電子媒体購読サービスで、フリーの Apple News、そして発表された定額制サービス Apple News+ で構成される。

300紙誌を越える新聞・雑誌を定額制で提供

Apple Special Event
Apple News サービスは News というアプリケーションで提供される。現時点で日本を含む地域では提供されていないアプリケーションだ。現時点では米国・カナダ(イギリス・オーストラリアでは無料サービスのみ)で利用が可能。 Vogue、National Geographic Magazine、People、ELLE、The Wall Street Journal、Los Angeles Times といった300を越える人気の媒体からパーソナライズされた記事を提供する」としている(記事の見せ方が気になるね)。

定額制の Apple News+ では多様な雑誌に加え、新聞としてビックネームの The Wall Street Journal、Los Angeles Times を揃えている。これは実に魅力的だ。

記事は iPhone、iPad、Mac にそれぞれ最適化されたアニメーションや装飾を含むリッチな記事表示(いわゆるデジタルマガジン)に対応している。専用レイアウトの記事を個別に提供するのは出版社側の負担になるのだが、日本に上陸した際にどのくらいの雑誌が対応できるのか見ものだ。

ちなみに価格は月額 9.99ドルと、日本の雑誌読み放題サービスの価格帯、月額 400円前後より高い感触。Apple News+ には The Wall Street Journal が含まれるので、それだけで元は取れちゃうが。

Apple のプラットフォーム化が新聞・雑誌メディアに

先日、Apple News+ が登場することで受ける出版社への影響については個別に考察した。

Apple News+ アップルの新聞・雑誌サブスクリプションサービスについての考察
Apple News Magazines についての考察。 Apple News Magazines は米国で準備されているサブスクリプション型のニュース・雑誌サービス。Apple...

今回の発表でひとつ加える考慮すべきファクターとして「プライバシーと広告モデルのバランス」があるだろう。Apple News+ では顧客が表示選択した記事を分析した結果をアプリより外に持ち出せない対策がなされているようだ。いわゆる広告トラッキングだ。

現在の広告プラットフォームはドメインを越えて情報を共有しており、例えばあるサイトでマンションの記事を読んだり、検索サイトで購入を検討している物件名などを検索したら、他のサイトや Facebook などのソーシャルサービスでマンションの広告が出てきた、なんてことが起こる。ユーザが閲覧した記事や検索ワードに基づき、広告を選定・表示している訳だ。

マンションやアマゾンで買える商品だったら「広告ウザい」くらいのものだが、例えば検索したワードや記事が重篤な病気についての記事だったらどうだろうか。個人的には、このような情報をプライバシーポリシーもなにもない状況でドメインを越えて共有されるのは問題だ、と考える。

Apple News+

Apple News+ では、アプリを越える閲覧情報の提供を防止するようだ。これは「どの記事を読んだのか」と「誰が読んだのか」を分離する措置と推測する。

出版社にとっては取得できる情報がプラットフォームにより制限されるだろうが、一方で、膨大なアクセス情報の中での相対ポジションやトレンドなどの情報も順次得られるようになるだろうから、ここは各社、考えどころだと思う。

Apple News+ の詳細メモ

Apple News+

  • Apple News+ の利用料金は米国では月額 9.99ドル、カナダでは 12.99ドル、1か月のトライアル付き
  • Family Sharing(家族共有)機能で1つの購読について、6人までの共有が可能(太っ腹)
  • iOS 12.2 / macOS 10.14.4 以降の環境が必要
  • 現在は米国・カナダで提供中、この秋に英国・オーストラリアで提供予定
  • Top Stories / Trending Stories / For You など媒体横断のビューを提供する
  • 媒体の推薦機能があり、新たな出版メディアにとってもチャンスになる
  • 紙面のマルチメディア化、iPhone/iPad など表示面積が大きく異なるレイアウトへの対応は各社の体力次第だろう
  • マルチメディア以外の出版物は基本的に PDF になるようだ
  • Apple はどの記事が読まれたかを把握せず、広告トラッキングを防止、具体的には、媒体や種別、日付などの塊でデータをデバイスに送信し、リコメンドはデバイス側で行われる、としている
  • Apple News+ の前身となるマガジンサービス Texture は 2019年 5月 28日でサービスを終了する
  • New York Times の記事 によると、最初の48時間で 20万人が Apple News+ に登録したと報道、取材ソースは記者でなく匿名の情報筋
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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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コメント

  1. 波形研究所 所長 takefumi より:

    2019年 5月 28日で Apple News+ の前身となる Texture は終了するようです。

    What Will Happen to Texture?
    https://www.texture.com/support/Knowledgebase/Article/View/306/

    Texture is ending. Texture’s last day of service is May 28, 2019. But you can continue reading your favorite magazines, plus so much more, with Apple News+.

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