Apple 恒例の秋イベント Apple Event September 2023 Wonderlust の振り返りです。
Apple Event September 2023 “Wonderlust”
日本時間で 9月 13日早朝、Apple Event September 2023 “Wonderlust” が開催された。
コロナは終息したものの今回も「ビデオ上映イベント」となった。ビデオは伝えたい内容を思った通りに伝えられるところが長所だが、ライブ感・ワクワク度に欠ける。WWDC のような一種、お祭りのような開発者会議はともかく、完全にビジネスディールの新製品発表会はビデオの方が向いているんだろう。ただ、Macworld Expo という展示会のキーノートのようなイベントを体験してきた身からすると、他企業の新製品発表会よりいくぶん「こなれている」だけで、まぁ、いい時代だったんだな、なんて思ってしまう。
また、今回は Apple Watch と iPhone 15 / iPhone 15 Pro の発表があったのだが、iPhone はもはや成熟した製品であり、そこに革新や面白さ・ワクワクを求めるのは限界があるんだとも認識した。毎年、iPhone は確実に進化するし、前世代製品より確実に良い製品になっているのだが、それだけだ。
「コンピュータは成熟してしまい、毎年 CPU の周波数の数字が変わるだけだ」と言われた時代があったが、それでもコンピュータは、圧倒的な速度向上(それがユーザ生産性に直結する、PhotoShop の処理がこんなに速くなるなんて!)、ポートなどのハードウェアデザイン、周辺機器とのコネクティビティ、筐体のデザイン、見どころ・楽しいポイントがたくさんあった。
しかし、スマートフォンはやはり相変わらず縦長だし、全面はスクリーンで前後にカメラ搭載、と全く変わっていない。価格競争力や製品品質を高めるために冒険する箇所もない。CPU の速度はユーザビリティとほとんど関係なく、全く違う形状のスマホが出だとしてもユーザは購入しない。毎日持ち歩くパスケースのように、ユニークな形状やデザインを提案されても、ユーザは興味がないのだ。
今回の Apple Event で「スマホは終わったんだな」と強く思わされた。
また、円安による輸入品の価格高騰も印象的だった。例えば今回発売された iPhone 15 は $799からだ。iPhone が$799 になったのは iPhone 12 からで、なんとずっと価格を据え置いている。日本で iPhone 12 は 94,380円(税込)で販売を開始した。ところが同じ価格の iPhone 15 は 124,800円、1.3倍超えだ。
機能を向上させて価格を据え置いても、日本人は値上げした価格で購入しなければならない。デジタルガジェットの多くは海外製品であり、日本企業もグローバル価格から価格を設定するので、「日本人にとって、面白そうなものは全部高い」という状況になっている。国力の低下、アベノミクスの成果だ。
Apple Watch Series 9 / Ultra 2
先月、Apple Watch Series 6 を壊してしまい(異常に気温が高い海辺で使っていた時だ)、急遽、箱にしまってあった Apple Watch Series 2 を使っている(これが、ちゃんと動くんだ)。とはいえ、動作はモッサリでヘルスセンサーは少ない。WatchOS 10 のスヌーピー文字盤も楽しかった。ということで、Apple Watch はどんなものが出ようと即買いすると決めていた。
Apple Watch Series 9
事前の噂によると「マイナーアップデートで見どころなし」と言われていたので心配したが、いやいや、いいんじゃないか、という仕上がり。Apple Watch Series 9 は、オンデバイス Siri やダブルタップ、超広帯域無線チップ、普段使いで 18時間のバッテリー、そして従来モデルの血中酸素濃度や転倒検出・衝突事故検出を受け継いで、バランスの良い製品となった。
ダブルタップは Apple Vision Pro でも採用されているジェスチャーで、親指と人差し指を2回くっつける動作だ。Apple Watch が手や指の動きをキャッチできることは昔から言われていたが、分かりやすく、標準的なジェスチャーとして搭載されることになった。これは面白い機能だ。
環境に配慮するのはいいことだが、革バンドが消滅したのは残念だ(それは Apple が自ら作らなくてもいいと思ったんだろう)。提携ブランドのエルメスにも革バンド廃止を強要したのはもはや「アイデンティティの破壊行為」である。
Apple Event が終わった時点で速攻でオーダーしておいた。今回は NIKE スポーツバンドをチョイスした。Apple Watch Series 9・45mm スターライトアルミニウムケース・GPS モデル・Nike スポーツバンドという構成で 64,800円だった。9月 22日に配送予定。手元の Apple Watch が壊れなかったら買うことはなかったので、突然の出費だ。まぁ、仕方がない。
Apple Watch Ultra 2
Apple Watch のフラッグシップも更新、Apple Watch Ultra 2 も発表された。「13万円近い Apple Watch 最高機種も毎年更新されるのか」と少し驚いた。前モデルのユーザもちょっとガッカリだろう。厳しい時代だ。iPhone の世代交代は気にならないけど、やはり時計だからか?
Apple Watch Ultra 2 のデザイン・文字盤デザインは好きなので「買っちゃうか」なんて思ったのだが、やはり重さが気になった。Apple Watch の 39g に対し、Apple Watch Ultra 2 は 61.4g だ。G-SHOCK FLOGMAN がだいたい 80g だから、むしろ軽いくらいなんだが、常時装着するので少しでも軽いものがいい。高い山も深い海も極限のスポーツもやらないし。
iPhone 15 / iPhone 15 Pro
こちらはまとめて。あまり言及することがない。今回、iPhone を購入する人は「 iPhone 史上最も優れた iPhone 」であるのは事実なので安心して買うことができる。
iPhone 15 など標準は Pro モデルに比べて、1世代前の Apple プロセッサを搭載する、という切り分けが定着したみたいだ。
またライトニング端子は USB-C に取って変わった。個人的にはそんなに目くじらをたてるほど USB-C のニーズが高いんだろうか、と思っている。高速伝送だというけど、有線でのデータ送受信なんてここ数年やってないし、充電時間だってコンセントにさしっぱなしだろ?それより、USB-C コネクタの着脱性が気になる。コードがささった iPhone をコードをずるずる引っ張ることで引き寄せる時に USB-C が抜けたり、充電中の iPhone が鞄の中でコネクタ外れたりしないかと。
また、GO MIXER や plugKEY の後継機が出てないしね。しばらくはライトニングでもいいかなと。
Macintosh Plus や初代の iPhone が置かれている謎のプロセッサ研究室
Apple プロセッサの解説の時にあらわれる「謎の部屋」。セキュリティが厳重な秘密の地下室という設定になっている。今回の Apple Event のビデオでも登場したのだが、Macintosh Plus が見切れたのに気になって、全く話が頭に入ってこなかった。しかも、シーンの終わりには初代の iPhone も置いてあった。
椅子もないし、テーブル高いし、意外に狭いしで、本当に使っている部屋なのかが疑わしいが、Mac Pro がラック積みになっていたり、まぁ、稼働しているんだろうか。
Apple の地下研究室を見学するドキドキ・ツアーとかあったら面白いのにな。
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