Native Instruments のピアノ音源、NOIRE を使い始めたので紹介しておく。ピアノを再現するだけでなく、ピアノの可能性を感じさせる音源なので面白い。
Native Instruments の変わったピアノシリーズ
Native Instruments はいくつかのピアノ音源を Kontakt 向けにリリースしている。リアルなアコースティックピアノを再現した DEFINITIVE PIANO COLLECTION では、THE GRANDEUR、THE MAVERICK、THE GENTLEMAN といったコンサートグランドからアップライトまでのピアノをカバーしている。
また一方で、ピアノタイプ音源として面白い音源をリリースしている。
THE GIANT
THE GIANT は実在する世界最大の巨大なアップライトピアノ Klavins Piano Model 370i をサンプリングしたもの。全高 3m、総重量 2トンという世界最大のピアノから放出されるサウンドは、とにかく普通のピアノとは全く異なる、ピアノ要素のある派手で倍音や響きがとんでもないサウンドであり、かつ、きちんと使える音源となっている(ピアノ音源としては Synthogy Ivory の次に登場回数が多い)。
UNA CORDA
UNA CORDA は同じく David Klavins が制作したピアノ、UNA CORDA をサンプリングしたもの。とても美しくメロウな響きをするピアノで、通常のサウンドに加えて、フェルト、コットンを装着したサウンドを収録している。昨年に Komplete をアップグレードしたことで、やっと手に入った。
あまりに美しいので、楽曲も作った。唯一無二のサウンドだ。
いつか本物を弾いてみたい。というか、買ってみたい。
NOIRE
Komplete をアップグレードすると、それまで発売されていた音源がすべて手に入るのだが、待ちきれずに買ったのが、NOIRE だ。作曲家、ピアニスト Nils Frahm が所有するカスタマイズド・コンサートグランドをサンプリングしている。ベースとなるピアノは Yamaha CFX 9 だ。ノーマルの PURE とフェルトバージョンが収録されている。容量は 16GB。
厳選され、カスタムイントネーションが施されたYamaha CFX 9’ グランドピアノが、Uli Baronowskyと Galaxy Instrumentsによって入念に(愛情を込めて)サンプリングされました。開発チームはヴィンテージのマイクとプリアンプを使い、この独特なインストゥルメントのフルダイナミクスとトーナルレンジを数週間に渡って、旧東ドイツの国営ラジオ局の本拠地跡で有名なベルリンFunkhaus NalepastrasseのSaal 3で録音しました。
NOIRE は単なるサンプリング音源ではなく、細かい音作りに対応している。EQやリバーブなどの外部的エフェクトに加えて、ピアノサウンドそのものの調整要素が多く用意されている。倍音の比率やペダル、メカニカルなノイズ、トーンの深さ、ペダルはハーフペダルも選択できる。ピアノばかりで構成した楽曲を NOIRE をメインにいくつかのピアノ音源で作り直してみたのだが、イメージするピアノに調整するのがとても面白かった。
また NOIRE の面白い機能として、PARTICLES ENGINE というのがある。コードを弾くとリズムやハーモニクスで自動的に動きのあるサウンドをリアルタイムに生成してくれる。
Native Instruments NOIRE の PARTICLE ENGINE の作例。面白いパターンをどんどん作れるよ。 #NativeInstruments #NOIRE pic.twitter.com/0idtfmg9Qc
— takefumi_s (@takefumi_s) 2020年1月8日
ピアノという楽器は、その形状や弦長、打鍵アクションを見直すことで、もっと多様なサウンドが出せる可能性を秘めていると思う。「おおまかにアップライト、グランドの2種類で、あとは大きさが違う」なんて発想じゃなく、ピアノはもっとイノベーティブに変化できるはず。
打鍵構造を大幅に変化させたエレクトリックピアノや、昨今のサンプリングピアノを越えるアコースティック・ピアノの登場に期待したい。
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