Chick Corea が亡くなって、ブログとか書く気にならなくなっていたんだけど、リハビリ兼ねての Track 解説、今回は昨年の Stay Home 期間に作った軽めの曲、Stay Home Jazz です。モチーフ段階で Miles の So What ライクに進行する曲です。実際にライブで演る場合にはソリストがでソロを回す感じになると思います。まぁ、制作ノウハウの題材と思って解説を進めていきます。
Stay Home Jazz
昨年の4月、まさにステイホーム期間中に作ったトラックモチーフ。ファイルのスタンプをみると制作時間は4時間ほどと短め。新型コロナウィルスで外出自粛の中、単に「ステイホームを!」とつぶやくだけではなくて、なんか作っておいた方がいいなと思って。
ライブとか行けない期間なので「制作者ならせめてトラックメイクしようぜ!」なんて思ってたんだけど、いまだにステイホームだからね、疲れちゃうよね。ステイホーム期間中だからかリズミカルながら陰鬱で暗い感じがしないでもない。
プロジェクト構成
モチーフということで作ったからか、マスターデータのフォルダになくて慌ててハードディスクを探しちゃったり。この楽曲は Native Instruments MASCHINE で制作。通常は MASCHINE で作って Digital Performer で各トラックのボリュームオートメーションとか響き系エフェクト処理など細かいミックスをする、というのが自分の制作パターンなんですが、これは MASCHINE のみで 2Mix をアップロードしてたみたい。
トラックの構成
プロジェクトはシンプルに A-F までの 6グループ。MASCHINE の場合、トラック構成は MASTER / GROUP / SOUND の3段階になっていて、 GROUP の中に16の SOUND(インストゥルメント)を並べられちゃうので、DAW でいうトラック数とは違って、GROUP はパート数という感じかな。中身は下記のようになっています。
A:Rhodes only
B:HiHat & Shaker パターンとイントロの Ambient Noise
C:Drum Kit
D:Bass only
E:Sax & Trumpet のサンプルトラック
F:ブリッジ部の Piano トラック
もう少し整理が出来そうなものだけど最終トラックではないので、使っていない MassiveX や MonoPoly などが刺さってます。当時、シンセソロでも入れようと思ったのか覚えていない。
この楽曲モチーフは最初から構成が頭にあったので、迷わず音色を選んで作っていった感じ。MASCHINE を触っている人なら分かると思うけど、A-F の GROUP はほぼ制作時した順番になる。なので、Rhodes 弾いて、イントロ、そしてドラムパターン作って、ベースを入れて、なんて感じに制作は進む。
IDEA ビュー(PATTERN モード)で Scene 単位でパターンを作って、それを SONG ビューモードに適用( Append To Arragement する)。パターンを作ってから、それをタイムラインにするイメージ。SONG ビューで PATTERN を選ぶのでもいいんだけど、トラック数・パターン数が多いと収集がつかなくなるからね。
ちなみにパターン型の音楽制作をやっていると、「Aメロに入る前だけにフィルを入れたい」ケースに新しくパターンをおこさないとならない。SONG ビューでがさっと Scene をコピーしてパターンを編集するのが王道なんだけど、入れたい時にその小節のみを入れられる Clip という方法が追加された。この楽曲を作っていた時には Clip 機能がリリースされていなかったと思うので使っていない。
Clip を使うか、フィル用のパターンを起こすかは好き好きだが、再度使うならパターン、ちょこっと入れたいだけなら Clip という感じになるだろう。Clip は PATTERN にもインサートしたり、しなかったりできる一方で、タイムラインの絶対時間に置かれるから、ちょっと分かりにくいよね。
音源・トラックの内容
Rhodes は AAS Lounge Lizard EP-4 。弾いた感じが Rhodes っぽいので仮トラックでコードを入れる場合は必ずこれで初めている。アプリが 14.7MB しかなく、軽くて Rhodes に特化したコントロール・エフェクトもいい感じ。気持ちのいい PAN も EP-4 のエフェクトを使ってます。おススメです。これに Scheps73 と Filter をはさんで、他人事のような音にしています。
メインメロディのオーディオサンプルはトリガーのタイミングが重要なので Audio ではなく、Sampler を使っている。前にも書いたけど、MASCHINE の Sampler はサウンドエンジンの選択や FX/Filter、Modulation を選択できるので、音作りにもまとまっていてイイ。
サンプルトラックは GROUP 単位で Deley / Reverb をかけています(個別調整だとまとまり感を出すのに面倒)。
MASCHINE は MASTER / GROUP / SOUND 単位にいろいろエフェクトを突っ込めるんだけど、FXを多用するプリセットだと他のサウンドと混ざりにくくなるので、シンプルな方がいいみたい。凝りたかったら Digital Performer で調整するのが良い。
ブリッジのピアノは短いので「えいや!」と弾いている。最後のパートは右手と左手をオーバーダブ。音源は Kontakt の Noire 。一番使っているピアノ音源。Synthogy Ivory も好きなんだけど、音色をいじるなら Noire、スタンダードなピアノの表現力を優先するなら Ivory という感じかな。
Bass パートはたいがい Spectrasonics Trilian なんだけど、この時期はオーソライゼーションのトラブル中だったので Kontakt Scabee MM-Bass を使っている。これもいい音源です。
ドラムは MASCHINE の Kit をベースにいくつか削除したり追加したり。基本、MASCHINE のキットを使っています。ドラムは大半が MASCHINE 。Battery とか全く使わなくなりましたよ。
ということで今回は MASCHINE での制作解説となりました。現バージョンでは最終ミックスまで MASCHINE で完結できないのが残念。仕方がないところなんだけど。まぁ、MASCHINE は楽器であって DAW ではない。逆に各パートのプレイヤー目線・範囲で音作り&楽曲制作ができるので、そこがパフォーマータイプのアーティストを引き付けているんだろう。
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