Kontakt 6.7 – Apple M1 プロセッサに対応!負荷を比べてみた

RECORDING

Kontakt 6.7

Native Instruments から初の Apple M1 プロセッサ対応アプリケーションがリリースされた。Kontakt 6.7.0 で、Native Access からアップデートが可能だ。実際にどの程度、パフォーマンスに影響があるのかを試してみた。

まず最初に伝えておくと、実感としては「あまり変わらない」と感じた。「Rosetta 2 だと酷かったパフォーマンスが劇的に改善した」「スッカスカに動く!」ということもない。それは、Apple M1 Pro が最初から速く、また Rosetta 2 が非常にうまく動作しているからだ。

今回、実験のためにいくつかのプロジェクトを作ったが、Intel iMac 5K では再生できなかったものが、 Apple M1 Pro + Ableton Live 11 Suite(ネイティブ)+ Kontakt(Rosetta 2)で動かすと、すんなり再生できてしまうことがあった。

劇的なスピード改善はさすがに感じなかったが、いくつかのことが分かったので共有しておこうと思う。

M1 最適化でおおよそ1割くらいの負荷軽減

検証のために作成したプロジェクトは、ピアノ(Native Instruments NOIRE) が 20台に、ストリングス(Session Strings 2)が 20台、合計 40台の Kontakt が並んだプロジェクトだ。Kontakt はサンプラーなので「台数を増やすと、ほとんど I/O 勝負じゃない?」ということになってしまいそうなので、ピアノの方はディレイやリバーブなどの演算処理が必要な設定に。ピアノはコードを刻み(トリガーが1小節に6回かかる)、ストリングスは全音のベタの4小節のループで演算とディスクIOの双方に配慮したつもり。

プロジェクトは Kontakt の差異をみたいので、Ableton Live 11 Suite(11.1 – M1 ネイティブ)で再生した。オーディオ設定は 96K 512 Samples。

Kontakt 6.6.1 と M1 ネイティブ対応したKontakt 6.7.0 を比較している。

Kontakt 6.6.2 – Rosetta 2 動作

Rosetta 2 + Kontakt 6

プロジェクトの作り方としては Intel iMac 5K でギリギリのものを作って、M1 に持っていく、という形をとったのだが、びっくりしたのが MacBook Pro 14 M1Pro で「すんなり再生できちゃう」ということ。「おいおい、M1 スゲーな。」というのが最初の感想。

まず分かったのは、Kontakt の負荷分散。Kontakt は負荷の分散に課題があって、CPU コアの負荷分散や Kontakt でマルチを組んだ時に負荷が分散されない、と言われてきた。個人的には Kontakt でマルチを組むことはないので Kontakt を台数並べたんだけど、Intel iMac 5K でもコアの使い方は平等に分配されている。

そして、 Rosetta 2 の状態でも DAW の Live 11.1 がネイティブで動かすと負荷を分散できている。Apple M1 Pro は 8つのハイパフォーマンスコア+2つの効率コアで構成されている。コアの特性によりきっちり均等ではないが、問題なく負荷を振り分けているようだ。

Ableton Live 11 の CPU インジケータでは 45% – 60% を指している。ループ再生でも時々音が飛び、CPU ピークランプは点灯する。

Kontakt 6.7.0 – M1 ネイティブの動作

Kontakt 6.7 - Apple M1 プロセッサに対応!負荷を比べてみた
アクティビティモニタの CPU 履歴でみる限り、負荷は下がっているように見える。おおよそ1割程度。

Ableton Live の CPU インジケータは 40% – 50% で動作している感じ。CPU インジケータなど画面のリフレッシュレートも上がっているので、Live は「負荷に余裕がある」と判断しているのかもしれない。ただ、音がスムーズに再生されるかということ、そこはあまり変わらない。CPU ピークランプは点灯し、時々音が途切れる。

M1 プロセッサ対応が進んでいる

よく使うプラグインは M1 プロセッサ対応したものが増えてきた。Native Instruments の製品はまだまだだが、本当に Rosetta 2 が優秀なので、問題なく使えている。

これまで Apple / Mac は 68k から PowerPC、PowerPC から Intel プロセッサ、そして Apple M1 プロセッサに移行を果たしてきたが、今回が一番スムーズだ。たいしたものだと思う。

自分が使っているプラグインで一番重いのは iZotope Ozone 9 Advanced 。iZotope プラグインがはやく M1 プロセッサに対応してくれれば、と願っている。できればフリーアップグレードで(他のディベロッパーでも M1 対応を有償としているところはほとんどないから頼みますよ)。

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