WWDC 2022 – 波形研究所なりの解説です、何卒

COMPUTERPDA / iOS Device / Apple Watch

WWDC 2022

WWDC2022 が開幕した。例年通り、ライブアップデートは 波形研究所 ーアップルウォッチ Twitter で行った。今回の WWDC では感心したことと、残念なことがあった。少し振り返っておく。細かいファクトはメディアの記事を参照を。

WWDC はショーケースになり、Apple は内向きになった

かつて Apple の WWDC といえば社員のお手製感バリバリの開発者のためのイベント、という雰囲気があったが、収録になってからは非常によくできたショーケースビデオイベントになった。まぁ、企業は自分の会社の技術を売り込みたいんだから、まぁ、そうなるよな、と。悪いことではない。

ただ、WWDC と銘打っておきながら、開発者が興奮するような話題も少なかった。消費者に向けて Apple 自身が何に取り組んでいるのかを周知するパートが多く、最近の Google や Microsoft の開発者向けイベントに比べると、開発者が新しい技術でどんなことが実現できるようになるのか、パートナーとして Apple がどこに向かうのか、何に注力しているのかが分かるような情報が少なかった。

Apple は粛々と Apple に必要なことをやってます

という印象だった。AI や VR/AR 、Metaverse など、テクノロジー界隈ではいくつものブレイクスルーが起こっている。Apple がそれらをどう捉えているのか、どう取り組んでいるのかが分からない。非常に内向きな、拗らせ系の会社であることを印象付けたキーノートだった

iOS 16 – 地味にアップデート

CarPlay

iOS も 16世代目。iPhone のロック画面でウィジェットが使えるようになることはいいことだが、それは革新とまではいかない。ロック画面にもウィジェットがあって、ロック画面をオープンしてもウィジェットがある。画面が狭いし、よく使うデバイスなんだから、もう少しシンプルにして欲しい。

iPhone で、スマートフォンでできる革新的なテクノロジーやアプリケーションってもうないのかな。まだあるような気がしているんだけど。

メッセージアプリも頑張って改善してくれている。しかし、メッセージアプリは使っていない人が多いと思う。FaceTime も同様に Appleローカル・カルチャーなので、使いやすくても今一つ盛り上がりに欠ける。Windows 版や Android 版を出せば少しは状況が変わるんだが。

Apple の製品を使っていると生産性が高くて大満足。だけどコラボレーション系のアプリケーションはやはり、相手があってのものだから。

Zoom のように単独企業でもなし得たんだから、Apple もコミュニケーションのデファクトを取れると思いますよ。直接 Apple の利益にはならないかもしれないけれど、Apple ユーザの利益につながると思うんだ。ぜひ。

音声、画像やビデオからのディクテーション(文字のコピペも自由自在)をデバイスサイドで完結しているのは地味に凄い。日本語はどうなんだろう、とは思う(対応しているそうだ)。

金利手数料は無料の分割払いソリューションを技術としてのっけてくるのは Apple の面白いところだ。パスワードをなくす取組みも興味深い(どれだけ実装が進むか、Apple デバイス外からのアクセスがどうなるのか、というのはあるが)。

コメントすべきはこれくらいで、iPhone のインターフェイスは iOS 16 でもあまり変わらず、というのが結論でしょうか。そろそろフルリニューアル、お願いします。

Apple Watch – WatchOS 9 はますます凄いことに

watchOS 9
Apple Watch をウェラブル IT デバイスとしてではなく、最初から健康管理デバイスとして位置付けていた Apple の戦略は本当に凄いなと思う。

この手のデバイスにありがちな流行り廃りが「健康管理」にはない。ユーザもリテンション率が高い。新しい機能をガンガン追加開発する必要もなく、安定的に商品を投入できる(血圧計の新機能になんて誰も興味ないけど、買う時はその時の新製品を買うでしょ)。

個人的にはランニングやワークアウトは趣味ではないんだが、心拍数範囲やランニングフォーム指標までサポートされるようになった。

各種センサーから得られたデータを健康データに変換するのはディープラーニング・バリバリの世界で、医療デバイス並みの精度を出している。Apple は「健康」に対して医療機関並みの膨大な研究開発を行っている。

watchOS 9 では睡眠トラッカーや服薬管理、副作用情報の提供を開始する。服薬は人によっては飲み方が特殊だったり休薬期間があったりと、管理が大変なので目の付け所としてはいい。医療ベンチャーが何社が吹っ飛んだと思う。

睡眠中も Apple Watch を付けるとなると、充電ドック(置くだけのやつ)やバンドを新調しようかな、という気になっている。

Mac – これはがっかり

次は Mac 。前評通り、Apple M2 プロセッサが発表された。M1 プロセッサのレベリングをそのままスライドできるようにダイの機能向上に留まった。これで Apple の Mac ラインを予想しやすくなった。

問題は Mac の新製品だ。M2 プロセッサを搭載した 2つの製品が投入されたが、これががっかりだった。

まず、MacBook Air はフルリニューアルされたが、MacBook Pro 同様のデザインとなり、流線形のエッジに向かって薄くなる Thin なデザインではなくなった。自分が使っている MacBook Pro もそうだが、デバイスとしての圧倒的な所有感がなくなった。あの巨大なゴム足があるからだ。全くもって残念だ。Apple のデバイス・デザインは暗黒期に入った

MacBook Pro 13 はもっと不可解だ。MacBook Pro 13 は前モデルに M2 を乗っけただけの構成だ。ディスプレイは MacBook Air に負け(13.6インチのLiquid Retinaディスプレイ vs 13.3インチの Retinaディスプレイ)、カメラもスピーカーも劣っており、ポートの数さえ改善していない。

巷ではなぜか評判の悪い Touch Bar(あーゆーの好きなんだよね)とファンが付いているくらい。 Apple が MacBook Pro 13 を今後も残そうと考えているかどうかは微妙だ。

日本の自民党のせいかもしれないが、円安で価格も買いにくくなった。10万円そこそこで Mac のノートが買える、という学生ぴったりの製品ではなくなった。

MacBook Air がお買い得、という時代は終わった(日本の円が弱いのだ)。

そして、Mac Pro を代替する機種の発表もなかった。実際、Mac Studio のバックオーダーを大量に抱えている状態では Mac Pro を投入できなかったのかもしれない。また、M2 を 2つつないでウルトラ、というのは Mac Studio の進化版になるはずで、全く違ったプロセッサを用意しているのかもしれない。

電源アダプタは良さげだ。安く出して。

macOS – Apple 純正アプリの進化を願う

macOS Ventura

13番目の MacOS X、macOS Ventura。Stage Manager という新しいウィンドウマネージャーが導入された。これはイイと思う。iPhone が Mac のカメラとして使えるのもイイ。FaceTime でしかこの機能が使えないとがっかりだが、たぶん、外付けカメラデバイスとして認識されるんだろう。無線で飛ばすことになるから、気になるのは帯域くらい。

Metal といい、Game Center といい、Apple のゲーム技術の開発投資はどうも、やるせなさを感じる。Mac がゲームコンソールに並ぶことはないし、iPhone アプリのゲームはゲーム会社がしっかり囲い込むし。

Steam の対応をしっかりやってくれた方がいいと思うんだが。

メールは地味にアップデート。これは歓迎。だけど、連絡先やカレンダーもずっとそのままだよね。iMovie も今の時流、力を入れてもいいと思うんだけど。Final Cut Pro X もこのままだとヤバいし。Apple 純正アプリの更新をお願いしますよ。

ここ数年、macOS は大幅に変わったので、サードディベロッパーの負担を考えてもこれくらいがいいと思う。来年、期待してます。

うーん、iPad OS

iPadOS 16

キャッチコピーがかなりヤバい

最後に iPadOS 。iPad はどんどんノートブックパソコンのようになっていく。しかもフルランナップの。

Pro 向きの機能を拡充すれば一方で Chrome Book がデファクトな教育市場からは遠ざかる。通常のタスクをフルカバーするば MacBook に近くなる。

iPad については指針をはっきりすべき時がきていると思う。Apple が巨大な高収益企業だから、マーケットや提供価値が重複している製品ラインを維持できているだけのように感じる。iPadOS と macOS は一緒にならない。だったら、どのような方向に振るのか、頼みます。

今回の WWDC はこんな感じです。

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