KORG opsix – コルグによる FM音源の進化が光る、DTM のメインキーボードにもイイ!やはりハードウェアシンセサイザーだよな!

RECORDING

KORG opsix

し遅れるが、KORG が発表した FM 音源シンセサイザー、KORG opsix が思ったより良かったので紹介しておく。今年の NAMM でフルキーボードにインプリメントされた FM音源シンセサイザーが展示されたが、製品としては wavestate 同様、一回りコンパクト(ながら機能は盛りだくさん)な37鍵盤の筐体で販売されることになった。

KORG opsix の FM音源

KORG posix body

KORG opsix は 6オペレーターの FM音源シンセサイザーだ。6オペといえば、YAMAHA DX7 もそうだった。DX7 は 6オペレータ+32アルゴリズム(オペレータの組み合わせ数)、16音ポリという仕様だった。

KORG opsix の音源「オルタードFM音源」は DX7 を再現したというより、フルスクラッチで考案されたFM音源がたまたま 6オペだった、という感じ。

まず、オペレータはサイン波だけでなく21種類の波形から選択できる。これはもうスタート地点からして違う。そしてオペレータの組み合わせであるアルゴリズムは 40種類もある。そして、FM変調だけでなく、リングモジュレーション、アナログ的なフィルター、Wave Folder などの組み合わせで音色を作れてしまう。あー、ちょっと音が鋭いなぁ、なんて時はラダーフィルターで丸めてしまえー、的なことも可能だ。分かりやすい。

korg-opsix-spec

FM音源は多彩な音色を出せる反面、エディットが直感的ではなく音作りは結構大変だ。元となる波形をベースに変調を繰り返す減算方式のアナログシンセサイザーは音を加工する過程で音が変なしていくが、FM音源方式では、波形の発振・変調を行うオペレータ(合成器)を組み合わせて、倍音が豊かで複雑な波形を合成する。オペレータは発振用のキャリアと変調用のモジュレータに自由にアサインできる。キャリアはアナログ回路のオシレータにあたる部分、モジュレータは変調部分と考えれば分かりやすい。

500px-Phase-modulation

たった2つのサイン波を位相変調しただけで波形が複雑に(Wikipedia FM音源から)

FM音源の波形変化が激しく著しいという特徴は1つの波形を削るだけで作っていくアナログシンセサイザーにはない、合成音色が実に幅広くなるという利点がある反面、FM音源の波形の変化の予想しずらさという欠点にもなっている。

Korg opsix OPERATOR MIXER

それを回避するために、KORG opsix ではオペレータごとにノブ・スライダーを用意している。キャリアなら赤、モジュレータなら青に光ることで音色変化のベースを把握することができる。あとはキャリアならばピッチ&音量を、モジュレータなら音色の明るさや倍音変化の強さをコントロールできる。

この OPERATOR MIXER という機能が実に面白い。これまでの FM音源で分かりずらかった音色変化をマニュアルで直感的にコントロールできる。この OPERATOR MIXER で思う音色を作るのは難しいが、ノブ・スライダーで音色の変化をコントロールすることは可能だ。しかもアナログシンセサイザーとは全く別次元に音色が変化する。KORG opsix が面白いと思ったのはこの OPERATOR MIXER とモジュレーションホイールで無限に変化するサウンドが気に入ったからだ。

もちろん、理論やオペレータアルゴリズムの特性を学ぶのもいいが、直感的にグイグイ変化させることで音を作っていくのも面白そうだ。じゃじゃ馬的 FM音源ながら初心者にもやさしい。

フィルターやエフェクターも豊富、コルグならではのシーケンサーも

KORG-opsix-effect
FM音源ながらフィルターも装備している。伝統的な4ポールフィルターに加え、MS-20 や Polysix のフィルター(シミュレータ)が装備されているのもコルグらしい。

またエフェクトもコンプr、EQ、コーラス、ディレイ、リバーブなど 30種類を活用できる。エフェクトは3系統も使える。シマーリバーブが入っているなんて「分かっている」という感じだ。幻想的なドローンサウンドも1台で作れるだろう。

シーケンサーは KORG minilogue などでおなじみの16ステップシーケンサーが搭載されている。1ステップに6音まで入力することができる。音色の変化パラメータを記憶するコルグ特有のモーションシーケンサーにも対応している。

KORG opsix は DTMの中核にセットできる魅力的なシンセサイザーだ

Korg opsix

「今時、変化が複雑な音色はソフトウェア音源でなんとかなるのよ」なんて思っていたが、ノブ・スライダーで自由に音色を変化させられるシーンをみると、「やはり物理的なシンセサイザーもいいよな」なんて強く思う。

KORG opsix は最大32ボイスだ。キーボードも 37鍵盤と入力上問題もないし、コンパクトだ。DTMのメインデスクトップに置くのもいいサイズだ。このサイズのシンセサイザーとしては Roland JUPITER-Xm あたりがコンペティターか。JUPITER-Xm は 165,000円ほどだが、KORG opsix は 87,000円(税込み 96,700円)だ。店頭だと既に76,900円(税込)あたりで予約受付をしている。うーん、なかなかいい価格帯。

コンパクトタイプのキーボードとしては高いような気もするが、KORG minilogue Xd などと比較にならない音色のバリエーションを作り出してくれる。久しぶりに「欲しい!」と思わせるシンセサイザーだと思う。

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波形研究所 所長

WAVEFORM LAB(ウェーブフォーム・ラボ) は音楽制作、デジタルライフ、イノベーションをテーマとするサイトです。

1997年、伝説の PDA、Apple Newton にフォーカスした Newton@-AtMark- を開設、Newton や Steve Jobs が復帰した激動期の Apple Computer のニュースを伝えるサイトとして 200万アクセスを達成。2001年からサイトをブログ化、2019年よりサイト名を WAVEFORM LAB に改称、気になるネタ&ちょっとつっこんだ解説をモットーにサイトを提供しています。

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