キース・エマーソンが亡くなった。享年71歳、モーグ博士が亡くなったのと同じ歳だ。キース・エマーソンとモーグシンセサイザーは切っても切れない関係でたくさんの逸話がある。中でも好きなのが、キースのライブプレイについてのモーグ博士の話だ。
“Emerson, Lake & Palmer performed at Gaelic Park in New York City and it was incredible,” Moog recalled. “There were 10,000 kids standing on a soccer field and here’s Keith Emerson sticking knives in a Leslie cabinet. A New York musician who had bought some of my equipment was there and he was in complete shock. He said, ‘This is the end of the world.'”
Wednesday 23 May 2012, the guardianNew York City の Gaelic Park で Emerson, Lake & Palmer のライブがあってね、これが凄かった。1万人以上の若者がサッカーフィルドに集まってて、そこでキース・エマーソンがハモンドオルガンのレスリーキャビネットにナイフを突き立ててね。ムーグのシンセサイザーを購入したニューヨークのミュージシャンが一緒にいたんだけど、彼は「この世の終わりだ」って。完全にショックを受けていたよ。
この逸話はボブ・ムーグもキース・エマーソンの双方がたびたび話すもので、いくつかのバージョンがある。キースによると、このライブは 1971年のことで、ボブ・ムーグはステージのアンプのすぐ近くに座っていて、ステージの彼からもボブが頭を抱えて笑っているのが見えたそうだ。「オーマイガ!この世の終わりだ」と話したのは、シンセをフィーチャーした「ポップコーン」を作曲し、ディズニーのエレクトリカルパレードで使われている曲を作った Gershon Kingsley だったそうだ。
もちろん「この世の終わり」でなんかなかった。むしろ「そこから始まった」。キース・エマーソンはハモンドと格闘したり、ピアノと空中で回ったり、ステージの巨大なモジュラーシンセと格闘したりしたのだが、シンセサイザーとロックミュージックとの融合はこの瞬間にはじまった。そして後にテクノで使われるワイルドでバラエティに富んだシンセサイザーサウンドのルーツもそこにあったんだと思う。
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