赤いボディといえば最近では BEHRINGER Neutron を紹介していますが、今日は KORG monologue の話。KORG のアナログシンセサイザーです。
最初はアナログ回路のシンセサイザーとして KORG Volca Keys / Volca Bass が面白ろそうだなぁ、と思っていたのですが、この KORG monologue 、意外にもお安い。Volca シリーズを2台分で monologue を買えてお釣りがきちゃう感じ。実際に Volca Keys を弾いてみるとアナログらしくてワイルドで楽しいんだけど、暴れるサウンドをコントロールするにはツマミが小さい。「ゆったり落ち着いて触るなら monologue がいいなぁ」と。
monotron からスタートしている KORG のアナログシンセサイザームーブメントはこの冬に KORG prologue を発売したことで頂点を迎えつつあるけど、この monologue は2017年1月に発売されたもの。時系列的にもデザイン的にも minilogue をベースとしているモデル。minilogue が4音ポリフォニックなのに対しこの monologue はモノフォニック(1音)。市場価格が 5万円前後と良心的な minologue のかつ 1/4 で 1万円という訳にはいかないが、半分くらいの価格で買えちゃう。
今回はポリフォニックシンセが欲しかったのではなく、アナログのモノシンセが楽器として欲しかった。Roland Botique SE-02 や Moog Mother 32 あたりを狙ってたんだけど、SE-02 はダイヤルのつまみが小さくて安っぽいし(楽器としての魅力は出音だけではないのだ)、Mother 32 はいまひとつ中途半端なお値段。モジュールタイプのシンセサイザーとしては BEHRINGER Model D や Neutron という選択肢があることを考えると、弾ける&シーケンサー内蔵の monologue が候補となった。そして、何より「赤いのがカッコイイ」し(赤くなかったら選択肢になってなかったかも)。
minilogue の基本設計を受け継ぎながらもモノフォニック独自の機能を加えた専用設計
この monologue 、minilogue のモノバージョンという位置づけだが、単純にモノフォニックにしたマシンではない。発信部の VCO は共通だが、FILTER は独自設計(2ポール・フィルター)、そして倍音を豊かにする DRIVE が追加されていて、迫力のサウンドが出せるモノ寄り設計のシンセサイザーになっている。LFO の SPEED も minologue の倍設定まで持っていけて実に過激だ。
2VCO ながら完全にモノフォニックなシンセサイザーなので、minilogue の発音を全部重ねたユニゾンサウンドとまではいきませんが、かなりいい音がします。
構成は2VCO、1VCF、1EG、1VCA、1LFO。オシレーターの倍音を形成するウェーブ・シェイプや、シンク/リング・スイッチといったminilogue同様の特徴的な回路に加え、フィルター部分には2ポール・フィルターを採用してより攻撃的なサウンドに。また音に倍音や歪みを加えるドライブ回路を新搭載し、ファットなベースや鋭いリード・サウンドも思うがまま。さらにLFOの周波数スピードはかつてない超高速領域まで可変でき、空間を切り裂くような凶悪なサウンドを生み出します。
凶悪なサウンドを生み出します というのがね、コンプライアンス的にどうなんだ。「御社は凶悪なシンセサイザーを作ってますよね、ウラはとれているんです。」とか(笑)。
シーケンサーは minologue より強化されていて、ボディは小さいのにボタンも8から16に増えている。monologue はフルプログラマブルなシンセサイザーなので、モーション・シーケンスにも対応している。なので、ステップシーケンスの16音を全部違う音色に設定できる。瞬間に出せる音は1音だけだが、リズムパート入りシンセアルペジオだってできる。このステップシーケンサーへの期待が非常に大きかった。
記録できるモーションは4つまで。MASTER(ボリューム)、TEMPO、OCTAVE 以外のスイッチやノブの動きを記録する。記録・再生できるのが4つ、ということなので、GATE(DECAY)やフィルターをパフォーマンス時に自由に変化させたければ手で操作すればよい。
シーケンスパターンの長さは1-16で設定できるので変拍子やポリリズム的なシーケンスの実行も可能。Swing 設定もできる。SLIDEでTB-303 的ウニウニな使い方もできる。
ノブ・スイッチで操作できない領域がある – エディット・モード
プリセットの中には、ノブやスイッチの操作では実現できないものがあるのに気がついた。例えばプリセット64のシーケンサーの速度は TEMPO ノブでは再現できない。何かある。
ポルタメントのノブ・スイッチもない。鍵盤はスリム鍵盤ながらベロィティに対応しているが、ベロシティをトリガーにする CUTOFF / AMP パラメータがない。
はい。マニュアル読むと、エディットモードがありました。シーケンサーの16のボタンは PROGRAM EDIT / SEQ EDIT / GLOBAL EDIT の各モードで細かいパラメータを指定するボタンになっています。そう、最初に買ったシンセ、KORG POLY-800 を思い出す(笑)。
例えば SEQ TEMPO はノブでは 240 BPM までしか指定できないが、このエディットモードなら 600 BPM まで指定できる。指定にはマトリクスチャートがないとわかんないです。
このエディットモードで可能なマクロチューニング、Aphex Twin が作ったというらしいのですがまだ使っていません。
コンパクトながら高級感あふれるハードウェア
価格が安い割にデザインも質感もいいです。初代の microKORG より全然いい。本体の金属パネルは特殊な加工をしているので、光のあたり具体で色が結構変わる。表情があっていい。
鍵盤はスリム鍵盤で E からはじまる25鍵盤、ベロィティに対応している。Roland SYSTEM-1 はミニ鍵盤でベロシティ非対応なんだけど、ミニ鍵盤にベロシティ付けたってマトモに弾けませんから。その点で monologue のスリム鍵盤はちゃんと弾けます。ソロをとるにはいいかも。
電池駆動、単3形アルカリ乾電池 6本で6時間動きます。けど、ACアダプターは別売りだが買っておいた方がいいかもしれない。手持ちのアダプターで使えるものがないか探し中。コンパクトなボディで 1.7 kg。写真左上の SYSTEM-1 が 2.4kg だからかなり軽い。
コンピュータとの接続性
monologue には USB端子があるが、やりとりされるのは MIDI データだけのよう。オーディオも送ってくれるとよかったのだけど。専用のライブラリアン monologue Sound Librarian も用意されている。
ちなみに monologue のシステムは 2017.01.06 の System Updater 1.1 が出ている。購入した monologue のシステムは SYSTEM 1.10 だったのでアップの必要はないのかな(ちなみにシステムバージョンの確認方法はシーケンスボタン[16]を押しながら起動する)。
コルグの公式サイトでは新サウンド・コレクション Sound Packs vol.1 “Electronic score and Retrocade” が無償で公開されている。たぶん、既存の音色を置き換えることになるのでまだ試していない。
オシロスコープが表示する様々な波形にただ興奮
考えてみればアナログ回路のシンセサイザーを所有したのは KORG monologue がはじめてだ。アナログがいい、いやデジタルがいい、なんてことはあまり考えてないが、やはり電子ブロックよろしく電子回路が通電して音が出ているのは楽しい。世代的にも電子回路世代だから、オシロスコープの波形をみているのも楽しい。
ちなみに取扱説明書は「ブロック図」からはじまる。回路概念図からはじまる電化製品なんて、ここ30年以上みてなかったよ!
コメント
乾電池、6時間は難しいです。ACアダプタ必須ですね。