少し遅れた話題ですが、KORG Gadget for Mac の話。週末いろいろ触ってみたのでその感想など。
そもそも何で出遅れたのか。発売前は買う気満々で準備していたのだが、Mac App Store で発売されるとみて App Store のチャージカードで資金を確保していたんですよ。で、発売されてみれば、思ったより高い価格 と自前のストアでの販売 で出鼻をくじかれ、当初の割引キャンペーンの後半になってやっと買った、というところ。まいった。
まぁまぁいい値段する Mac版
まず価格。「うわっ、高い!」と思った人、多いんじゃないでしょうか。iOS版が通常価格 4,800円としっかりとした値段。iOS版は一部の音源モジュール(ガジェット)が App内課金で、これまた1つ 600 から 1,200円といい値段するので、全部入りの Mac版だとまぁまぁの値段を覚悟してたものの、15,800円から 19,800円、これが発売記念セールで 10,000円くらい、と思い込んでいた人も多いはず。
結果としては 29,800円(発売記念、税込 19,800円)となりました。うーん、高いよね。
「高い価格に見合うのか」という話ですが、どうでしょう、19,800円なら十分、価値あるんじゃないでしょうか。定価だと高くて手が出ないかも。
現時点で30種類のガジェットが付いてくる。どのガジェットもそんなにカブることなく、どれも面白い音源。これが他の DAW でも AU、VST、AAX、NKS プラグインとして使える訳だから、「目くじら立てるなよ、お得だろ」というのが事実。「KORG の音源はこれでいいや、もう満足」だし、KORG はこれまで音源プラグインシリーズのアップデートに消極的だったから、これがコケられたら困る、という感じでもあります。
結論として、KORG Gadget for Mac 単体で使うには高いけど、プラグインとして使えるなら安い、というところじゃないでしょうか、と書きたいのだが、単体のシーケンサーもはじめてきちんと使ったけど分かり易い。これ、アマチュアに最適なアプリだから、この価格はやはり高いよな、と思うことしきり。
ひょっとしたら KORG Gadget for Mac 単体と、プラグインになる Gadget Collection が別のアプリ、またはセットになって、リプライスされる日がくるかもしれません。うん、それがいいと思う。
初心者に分かりやすいインターフェイス
初心者にも使いやすい本格 DAW 、というのは、ありそうで無い話、言葉としては存在するけど実際には有りえないと思っている。DAW が扱う要素は実に多いし、インターフェイスがシンプルな DAW もバージョンアップとともに初心者には扱えないものへと変貌する。Ableton Live が典型的だし、Propellerhead Reason もしかり。
そんな中、この KORG Gadget は非常にいい線いってると思う。あと数点の改善要望点はあるけど、「セカンドDAWとしても最適」というキャッチ、うん、これで完成でいいと思う。
シーケンサーはパターン型とピアノロールの組み合わせ。左にパターン、右にピアノロールがくる。パターン型の宿命で、時間軸とともに延々と録音することは出来ず、最長 16小節のパターンを組み合わせることになる(ソロやメロディもブツ切りに)。各パターンは「シーン」と呼ばれ、シーンは複数の「トラック」で構成される。シーンは一番長い小節を持つトラックの長さとなり、他のトラックはその長さにあわせてリピートされる。シンプル。
シンプルでありながら、シーケンサーとして自由度も非常に高い。というのは、ガジェットのノブやスライダー、トラックのインサートエフェクトの操作をパラメーターとして録音することができるのだ。録音モードだと画面で触った操作はきちんとオートメーションとして記録される。ここら辺は一体型シーケンサーの強み。
正直、ここまで使いやすいとは思わなかった。KORG Gadget はファーストバージョンからのユーザだが、自分の初代 iPad mini だと思うように動かないのと、やはりノート入力がタッチパネルだと思うように打ち込みできず、あまり使わずにいた。
Native Instruments KONTROL S61 や MASCHINE が繋がっている自宅の環境だと、ガンガンに打ち込める。最高。
KORG Gadget for Mac 買ったよ。こいつはこいつで入力する方がやりやすい。いいサンプル入ってるなぁー。 #KORGgadget #KORG pic.twitter.com/V7Z1vvCo1n
— TKS (@takefumi_s) 2017年4月23日
マシンパワーを試してみる
KORG Gadget は一部のガジェット除けば非常に軽い。例えばサンプラー系のサンプルは2.7GBしかないし、プラグインのライブラリ総量も763MBだ。Roland TR-606 TB-303 クローンの Chicago を21台並べた楽曲を作ってみた。音源は Chicago しか使っていない。
動作環境は 3.4GHz Intel Core i7 + 8GB + SSD の iMac 。ちなみに KORG Gadget の環境設定の「マルチプロセッシング」はオンだ。
右上に CPU モニタを表示してみた。全然軽い。ちなみにこのプロジェクト、iPhone 7 でも楽々再生できる。
逆に CPU 負担が大きいのがピアノ音源である Salzburg 。ライブラリ自体は 12MB しかないが結構重い。どうせ重いならどこまでいけるか試したいもの。こちらも並べてみた。
9台くらいで iMac もギブアップ。トラックをフリーズしないと再生もおぼつかない。リバーブ系の処理に CPU を食っているのだろうか。マルチプロセッシングをオンにしても、負荷が綺麗に分散していない。
KORG Gadget for Mac 「発売記念セール延長決定!リミックス・コンテスト予告」にある通り、発売記念セールは5月末まで延長されました。ゴールデンウィークにぜひどうぞ。
初回のレビューはこんなところで(最初あった Tips は別エントリーにします)。
あ、Allihoopa(アリフーパ)への曲の書き出しは「エラーが発生しました」メッセージを表示して失敗することが多いですね。毎回、レンダリングするので面倒だが、回避方法がないです。Allihoopa は Figure や Take を作っっている会社が提供している楽曲共有ソーシャルネットワーク。元はPropellerhead のサービスだったかと。
アカウントを作った のでよかったらコメントください(微笑)。
コメント
ピアノ曲、素敵でした!
ありがとうございます!
ChicagoはTB-303クローンでは?
そうだ。