弾いていて楽しいピアノ音源 – 数多くあるピアノ音源から普段弾きに最適な音源をアドバイス

RECORDING

は、DTM で曲を作ったりするより、楽器を弾いている方が幸福感が高い。休日、Lyle Mays の追悼で James という曲をピアノで練習してたんだけど、最近追加した音源も含め、どのピアノ音源が演奏しやすいか試してみた。書き始めると次々に未発掘のピアノ音源が出てきて大変なことになった(笑)。一応、おすすめ順になるように評価してみたので参考に。

リアルな音源=弾きやすい音源ではない

伝説的で高価なピアノをとんでもないサイズでリアルサンプリングした音源が「弾きやすい」かというと、全くそうではないことは分かってもらえると思う。では、どんなピアノ音源が「弾きやすい」「弾いていて楽しい」のか、ちょっと考えてみた。

ベロシティの設定が適切であること
サンプルがいかにリアルであっても、pp から ff までのびやかに弾けないと「嘘っぽい」音源になってしまう。残念ながら、多くのピアノ音源が「高品質サンプルを再生する」ことに注力していて、このベロシティ設定がいいかげんな音源が多い。ベロシティレイヤーをどう設定するかはノウハウなので、単なるサンプル音源メーカーだと「弾けない」音源になってしまう。

また、MIDI のキーボードは多くが「打鍵の速度」でベロシティを出力している。なので「早く打鍵するんだけど、着地が優しい」なんてことは表現できない。YAMAHA KX-88 は鍵盤が重めでクラッシックの曲も弾きやすいが、一方でプラスチック鍵盤だと、やはりベロシティがオーバーぎみになるし、ベロシティカーブ通りに検出されない。打鍵速度でみているので仕方がないんだけど。なので、キーボードの特性ごとにベロシティプリセットをスイッチできると満点だ。

だからこそ、ベロシティ設定がいいかげんでいいはずがない。プリセットのデフォルト設定が悪いと編集もできない。個人的には「リニアカーブ」が弾きやすい。後述の Synthogy Ivory はプレイのためのパラメータがきちんと用意されているので使いやすい。

連続打鍵のサンプル再生
最近のメーカーはこれは大丈夫になってきているんだけど、同じ音を打鍵した際の音がリアルでないと気持ち悪い。同じサンプルを連続再生するとやたらに音量があがったり、不自然な発音になる。連続打鍵時の自然さが大切だ。

和音の響きが大切
実際のピアノは複数の音が鳴った際に弦が共振する。なので単音と和音で響きが異なる。これはピアノの方向性にもよるんだけど、和音の響きが美しい音源がいい。Steinway のピアノ音源は比較的弾きやすいものが多い。一方で、Bösendorfer だと単音が重めの響きなので、和音にした途端につらくなる音源が多い。「クラシックなので Bösendorfer」という選び方をした際に「あ、これ弾きにくいなぁ」と思う音源が多い。一方で YAMAHA は軽めで低音の響きが薄い音源が多いので、ちょっと可哀そう。

ポリフォニー
ペダルを踏んだままたくさんの鍵盤を弾くと、再生和音数を越えた際に音の響きがカットされ、不自然になる音源もある。低音からのパッセージを弾く際に、再生限界を超えて低音が抜けるとずっこける。これは技術的には CPU や I/O との相談になるんだが、1つのサンプル容量が少ない(もしくはレイヤーが少ない)ものの方が、結構、弾きやすかったりする。バランスですね。

実際の音源はどうか

ということで、弾きやすい音源の観点整理はこんなところ。市場にあるピアノ音源を全部持っている訳ではないんだが、持っているピアノ音源を評価してみる。一応、おススメ順に紹介する。

1. KORG Module Pro の Dark Grand ★★★

KORG plugKEY
なんと第1位は、iOS版もある KORG Module に収録されている Dark Grand という音源。価格も他音源に比べて激安だが、いかんせん、「つなげたらすぐ鳴る」ハンドリングがいい。日常では、これを使って弾いていることが多い。音質も結構いい。決して悪くない。もちろん、ピアノの再限度でいくと後述の製品に劣るが、和音を弾いた時の響きがいい。KX-88で弾いた時の鍵盤の重さと出力音質のバランスもよく、「イメージ通り」の音が鳴る。ベロシティカーブも編集できる。注意点は、レイテンシー。最速に設定すべきだ。意外でしょ。サンプル容量がすべてではないのだ。

2. Synthogy Ivory 2 Grand Piano ★★★

Sythogy Ivory2
やはり、一番信頼しているのがこの音源 Synthogy Ivory。Steinway は美しく鳴るし、Bösendorfer でもちゃんと弾ける。やっぱりベートーベンは Bösendorfer で弾きたい。German Steinway D9 Concert Grand、Bösendorfer 290 Imperial Grand ともにいい。YAMAHA C7 Grand はそんなに使わないかな。

Synthogy Ivory 2

Ivory はパラメーターの設定が多彩で、演奏系のパラメータも多い。ベロシティカーブのみならず、打鍵の個性にあわせたプリセットがあり便利だ。

音質も実に自然だ。「ハーモニック・レゾナンス・モデリング技術による、リアルなストリング・レゾナンス共鳴」機能がうまく機能しているんだと思う。77GB を越えるサンプルも軽々と再生してくれる。

ちなみに、KORG Gadget や Module で Synthogy Ivory 由来のサンプルを追加購入したのだが、これが全く Ivory II と異なる。サンプルは似ているが、やはり膨大なパラメータ、共鳴・共振やエフェクト込みのバランスの良さが商品の決め手なんだ、と痛感した。

3. Native Instruments Una Corda ★★☆


このブログでは大絶賛している新世代ピアノ音源、Native Instruments Una Corda。Una Corda がグランドピアノではないので、そこは勘弁。弾いていて楽しい。グランドピアノではない気づきもある。箱なりが激しいアップライトピアノ音源よりずっと使い物になると思う。

クラシックは無理目だが、Jazz はイケる。

4. Native Instruments NOIRE ★★☆

Native Instruments NOIRE
同じくブログでも紹介した Native Instruments NOIRE 。ピアノという楽器の可能性を広げる新世代のピアノ音源だ。主にノイズや機械音、エアーという点で響が豊かだ。普通にピアノとして弾いていても気持ちがいい。リアルなピアノの再現ではなく、少しドリーミーなピアノのサウンドが多いが、ピュアなピアノの音も出せる。練習用には華美だが、弾いていて楽しい。詳しくは前述のエントリーを読んでくれ。

5. Native Instruments THE GRANDEUR ★★☆

THE GRANDEUR
Native Instruments のピアノ音源シリーズ筆頭の Native Instruments Native Instruments THE GRANDEUR。クラシックをちゃんと弾ける。本家からのライセンスはないと思うが、Steinway D がベースと思われる。

Native Instruments の Kontakt 音源はどうしても Kontakt っぽくなってしまう。音が固いというか狭いというか。弾いていてちょっと違和感があり「サンプラー弾いてるなぁ」という気分になる。しかし、この THE GRANDEUR はピアノらしいきちんとした音源になっている。

Synthogy Ivory 2 を持ってなかったらもっと出番が多くなっていると思う。少しアンダー目(やわらかめ)の音源だが、TONE できちんと補正できる。個人的には上記の画面で弾くと気持ちがいいと感じる。優しく弾いた時に真価を発揮する丁寧なピアノ音源だと思う。

6. MOTU Universal Loops & Instruments Concert Grand Pno Classical ★★☆

MOTU Universal Loops & Instruments Concert Grand Pno Classical
MOTU の DP 10 を買ったら付いてくる MOTU Universal Loops & Instruments の中の Concert Grand Pno Classical。これが結構イイ。軽くて上品で脚色がない。響の調整プリセットも気持ちよく動作して、イメージ通りのピアノ音になる。練習には最適かなと思う。意外な見つけ物、という感じで嬉しい。これは日常的にも使うと思う。

7. UVI Model D ★★☆

UVI Model D
やはり Steinway Concert Grand Model D をサンプリングした音源、UVI Model D。容量が軽めでセットアップも早い。が、弾いていてなんか重い。サンプリングの特性か、打鍵してから発音までのラグはないんだが、音量のトップが少し遅れる感じか。音質はロック向き。クラシックだとフォルテシモのサウンドが薄い感じがする。結果、よくも悪くもない感んじだが、リバーブの音は良い。

8. Native Instruments THE GIANT ★★☆

Native Instruments THE GIANT
意外にも出番が多い Native Instruments THE GIANT。元々が全高 3m、重量 20トン、という規格外の「世界最大級のアップライト・ピアノのサウンド」をサンプリングしたピアノ音源なのでサウンドも響が凄いんだけど、これが結構使える。THE GIANT には個別にプリセットもあって、いろんな音が出せるのが特徴。クラシックグランドっぽいのからポップ、ジャズ、アップライトまでシミュレートする。凄い。

9. Native Instruments THE MAVERICK ★★☆

THE MAVERICK
「THE MAVERICKは、1905年にプロイセン王国王子のために製作された、非凡な音を誇るコンサート・グランドの完璧な再現です」という説明のある Native Instruments THE MAVERICK。古いグランドならいいのか、という話があるが、ピアニッシモが基調の音楽を弾くならこいつは使える。逆にハード目のサウンドに伸びがなく、使い所を選ぶ感じ。

10. IKE MULTIMEDIA SampleTank Grand Piano SE ★☆☆

定番サンプラーに付いてきていた Sample Tank Grand Piano SE 。個性のないピアノ音源ながらこれ以下のピアノ音源よりよっぽど使える。スクリーンショットは撮り忘れました。Sample Tank 持っている人は探してみて。

11. Native Instruments THE GENTLEMAN ★☆☆

Native Instruments THE GENTLEMAN
Native Instruments のアップライトピアノ THE GENTLEMAN。「1908年製のアップライトピアノをベースにしたサンプル・インストゥルメント」という触れ込み。うーん、アップライトの特性なのか音が狭いよね。あと響きもこもり気味。普段使いにはならないかな。

12. Native Instruments NEW YORK CONCERT GRAND ★☆☆

Native Instruments NEW YORK CONCERT GRAND
はい、Kontakt 音源ですね、という感じの Native Instruments NEW YORK CONCERT GRAN 。いろんなオケやバンドのサウンドの中で、割り切れば使えそうピアノ。ポップスやフュージョンなど、実際こんな感じでしょう、という音源。サウンド・音質ともにレンジが狭いがピアノっぽい音は鳴る。今回の趣旨の「弾いて楽しい」という点では「使わない」音源。

13. Native Instruments UPRIGHT PIANO ★☆☆

Native Instruments UPRIGHT PIANO
音楽室にあるチューニングがいい加減なアップライトのような音がリアルに鳴る。弾いていいて気持ちがいい訳ではないが、なんかリアルにダメなアップライトを再現している感じが新鮮。嫌味ではなく、「あー、こんなのあるよねー」というピアノ音源。有りか無しといえば有りだが、どこに使えばいいんだろうか。

14. Native Instruments BERLIN CONCERT GRAND ☆☆☆

Native Instruments BERLIN CONCERT GRAND
ひと昔前の電子ピアノに収録されているピアノ音源のような Native Instruments BERLIN CONCERT GRAN 。ピアノっぽいけど安っぽい。これだったら NEW YORK CONCERT GRAND の方がいいよな、という感じの典型的な Kontakt 音源。

15. Native Instruments VIENNA CONCERT GRAND ☆☆☆

Native Instruments VIENNA CONCERT GRAND
これまた、Kontakt 音源ですね、という感じの Native Instruments VIENNA CONCERT GRAND 。安っぽいです。ピアノの存在感を薄く入れたい時以外は使わないでしょう。VIENNA の名前が泣いてます。

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