赤いシンセサイザーソフトウェア Europa synthesizer をリリースしている Propellerhead Software が Europa の iOS 移植版 Reason Compact を発表した。iPad のほか、iPhone にも対応、ダウンロードは無償。同時に 9月30日までにアカウントを作ると Reason Lite が無料で入手できるキャンペーンも実施中。
明らかに Europa の移植アプリなのに、名前は Reason Compact 。無償で配布しているところからも、Reason の知名度向上につなげたい、という思惑が見え隠れする。Propellerhead Software は古くは ReBirth の iOS 版アプリを作っていたり、Figure を開発(後に別会社化)したりと iOS アプリでは経験が豊か。Reason のシンセサイザーモジュール Thor の iOS 版もリリースしている。が、DAW アプリは出していない。Reason Compact という名前から、「おおっ、ついにか!」と思った(古くから Reason を知っている)ユーザは多いんじゃないだろうか。
Reason Compact = Europa + Figure コントロール
Reason Compact はアプリは無料、サウンドやコントロールをアプリ課金で購入するようになっている。利用するには Propellerhead のアカウントが必要。 Europa とメロディコントロールで構成されており、作成したソングデータは Reason 10 にエクスポートできるようになっている。特徴は以下の通り。
- Reason のフラッグシップシンセサイザー Europa のアメージングなシンセサウンド
- ワールドクラスのプロデューサーによるプリセットでインスパイアされよう
- スマートキーボード・ノートグリッド・コードツールで素早く作曲。
- パワフルなフィルターやビルトインエフェクトでトーンを作ろう
- 他の iOS アプリと連携して使おう(nter-app audio / Ableton Link)
- アイデアを Reason 10 にエクスポートしてファイナライズしよう
Europa のシンセコントロールはアプリ課金
シンセサイザー部、いわゆる Europa パートは、標準の状態で Distortion / Reverb / Delay の3つのエフェクトと、Filter / Waveform の 2つのコントロールが用意されている。それより詳しい音色エディット系機能はアプリ課金(今日現在、Unavailable と表示されて買うことができない)。音色プリセットが用意されているのと、Filter があるので、十分楽しめる。というか、プリセット、本家の Europa より良くないか?これ(笑)。
音程、メロディやコードのコントロールは Figure に似ている。Figure に似た鍵盤スロットとアルペジエータ、コードキーボードが用意されている。
エクスポートは Europa Sound Patch / Reason / Sound file の3種類。Reason 10 へのエクスポートは MIDI データ、シンセサイザーパッチ、ソングファイルに対応。Europa ベースのシーケンスパターンなら Reason とシームレスにつなげることができる。また、Allihoopa にも対応、作ったソングをアップロードすることができる、と書いてみたものの、Allihoopa への書き出し方法が分からない(苦笑)。
少々粗削りだが、Propellerhead版 Figure を目指してほしい
現バージョンでは少々粗削りだが、Figure からシンセサイザーを抜き出した感じのアプリになっている。Figure はシンプルなインターフェイスなポケット・トラックメイキングアプリ。実際、Allihoopa でユーザが作ったループを聴いていると、Figure がかなり面白いループを作れることびっくりするはずだ。
それは、Figure のプリセットと音色コントロール配置が優れているから。Reason Compact も同じ方向を目指せば、かなり面白いことができるだろう。
Reason Compact はシンセサイザーアプリとみればいいのだが、Reason のような DAW や Figure のようなトラック(ループ)メイキングツールをイメージすると、そもそもトラックの概念がなかったり(これ致命的だろう)、まだまだだ。せいぜいマルチティンバーにして欲しい。
Reason の知名度を上げるためのフリーのシンセアプリなのかもしれないが、ここがスタートポイントに成長すると考えれば、今後が楽しみだ。Europa を試したい人にもおすすめだ。
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