以前に、Inside Steve’s Brain で紹介した書籍の和訳本が発売されました。
スティーブ・ジョブズの流儀 です。値段はちょっと高い 1,890円(税込)。英語版を1回読んでいるので、「あら、これ日本語版持ってたっけ?」とヒヤヒヤしたのですが(もう記憶が曖昧この上ない)、新刊です。
いわゆる Apple 本( Steve Jobs 本)ですが、これまで語られてきた話題が出典付きで事実を参照しながら読めることと、 iPhone の発売などの新しい話題を盛り込んでいるところが特徴です。個人的には Steve Jobs が Apple に復帰する頃(あのどうしよもなかった時代)から書かれているので面白く読めました。
前のエントリーにも書きましたが、これまで「噂」として実しやかに語られてきたいくつかの逸話の実像が書かれています。エレベーターで Jobs の質問にうまく答えられなかった従業員をその場で解雇した話や、大鉈を振るって片っ端から事業を削減していった話などは、おそらく噂より事実に近いと思われる証言が掲載されています。ま、 Newton を葬り去ったことは事実なんだけどね。
シリコンバレーの伝説の1つとして語られる「Apple 暗黒時代からの復活・Steve Jobs の凱旋」期の歴史は、かなりエキサイティングなものです。 Windows PC に完敗して、クローン戦略で業績を悪化させ、 命運を懸けた新OS の開発は暗唱に乗り上げ、 SUN への売却が失敗してと、やることすべてが失敗し、何一ついいことがなかったあの暗黒時代。
NeXT と BeOS を天秤にかけ、NeXT を採用した経緯(ジャン・ルイ・ガゼーが欲張りすぎた)、アメリオの更迭とジョブズの凱旋、豊富にあったプロダクトラインナップをたったの4つ( PowerMacintosh / PowerBook / iMac / iBook )に絞ったこと(しかもこの商品戦略の発表当時は4つのカテゴリさえ揃っていなかった)、 iMac の大ヒットとその後の iPod の発表、 MacOS X への移行、 Intel プラットフォームへの移行と、まさにジェットコースターのごとくめまぐるしく変化したあの時代。とんでもない時代でした。
その頃を読み解く本でお薦めなのは(推薦順)
- アップル薄氷の500日:前 CEO ギル・アメリオ著、当事者だけに内容盛りだくさんだけど、ぶっちゃけすぎ。
- スティーブ・ジョブズの流儀:今回の本、当時の経緯はさらっと。
- アップル・コンフィデンシャル―誰も書かなかったアップル・コンピュータ20年の真実 :ダメダメになっていく Apple の歴史と復活劇。
- アップル・コンフィデンシャル2.5J(上下):ダメダメになっていく Apple の歴史と復活劇の詳細版。
- アップル〈上と下〉―世界を変えた天才たちの20年 :Apple の歴史の詳細版。成長とともにどんどんダメになる会社の話。Think Different まで。
- スティーブ・ジョブズの再臨:Steve Jobs サイドからみた Apple 歴史。
- スティーブ・ジョブズ-偶像復活:最近の本。うまくまとまっているが、偏狭な書きっぷり。
- 番外編:スティーブ・ジョブズの道:Steve Jobs に嫌われて、かつ取材とともに彼が大嫌いになった(だろう)著者が書いた Steve Jobs 本。NeXT で失敗するまで。最後に著者がいかに彼を嫌いか絶叫する部分があって笑える。酷い本だが、Steve Jobs が Cannon からいかに資金を調達したかなど、 Steve Jobs のイカレ時代の証言本。在庫があれば必見。
最後の本は入手困難。偶然見かけたらコレクターズアイテムとしてゲット(笑)。上記以外にもあるけど、たくさん持ってるなぁ。
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